2008-12-29

351 回る回る洗濯機は回る 30-12-2008(火)

 カトリック社会のクリスマスは来年1月6日まで。まだ中日だ。明日あさっての大晦日元旦もクリスマスの一環である。もちろん、街中まだクリスマスの飾り付けは今がたけなわ。
 さて、もう年末だが話は先週のクリスマスドリ-ムジャンボ宝くじに戻る。一週間経ったので詳しい額は忘れたが、日本円にして確か一億円弱の2等賞がどこかの県のおばさんに当った。大当たりだった。おばさんは抽選前に2等大当りの宝くじをボケットに入れた衣類をいつも通り洗濯機に投げ入れ、宝くじはグチャグチャに。まさか何分か後にそれが2等賞に輝くとは!?
 涙に暮れるおばさんの映像とインタビュ-が全国ニュ-スで駆け抜けたのだった。
 ま、こう言うことが現実に起こるのだと言う漫画みたいな実話だが、筆者にとってはどうでもいい。それより、このおばさんも、先週の数億当った一等賞当選者も、皆結構年寄りが多かったのが記憶に残っている。一体そんな額の金どうすんの? 今から老い先が大して長い訳でもあるまいに・・・と、思わず羨まずに素朴な疑問が降って湧いた筆者であった。
 時を同じくして、地元グラナダの地方紙に拠れば、4年前の一等宝くじ(こちらは週一の週間宝くじ:約6500万円)大当たりの女性が、共同で買った相棒に一銭もやらずに訴えられた裁判のニュ-スが載っていた。当ったら山分けの約束だったらしいが、確かに二人共まさか当るとは思ってもみなかったのだろう。しかし、まあ、どいつもこいつもどいつもこいつもだ。

 『欲望の墓』とは何と余韻に富んだことばであろうか。世の真相はこの一語に尽きている。人は欲の化身として存在しているではないか。彼等の終わりはみな『欲望の墓』である。-----或る昔の偉い人 

 世界中でたくさんの立派な欲望の墓が崩れ始めたのが今年の下半期でした。まだ始まったばかりです。来年はドミノ現象が更に追い討ちを掛けそうです。
 結局は実体経済以外の架空経済とその関連企業は自らの架空芝居の代価を支払う羽目に陥り、その余波で実体経済までもグラつくのですからいい迷惑です。
 それにしても実体と架空・・・。結局はひまわりの花と実に帰着するのだとすれば、スペイン週間コルムナもまんざらじゃありませんか(コルムナ9&10)!? 来年も続けてお読み下さい。ご一緒に欲望の墓以外の何かを建てたいものですね。  

325 鳴らねど鳴れば良いギタ- 30-12-2008(火)

 一般的に表面板松材は最初は鳴らないが、弾き込むほどに音量音質を増し、杉材は最初から鳴る、と良く言われます。もっとも、これは高価な手工ギタ-選択の基準として覚えておいて、量産ギタ-(普及モデル)なら表面板松杉に拘らず、鳴っている方、好きな音色の方を選べば宜しいでしょう。
 この松と杉の違いはともかく、どんなギタ-も、お、これは鳴っているなと言うギタ-と、これは今一じゃ、と言うギタ-があります。第一印象の話です。鳴っているギタ-については先週コルムナしました。今週は第一印象が鳴っていないギタ-の場合です。
 そのまま鳴らないギタ-と今は鳴っていないが、弾き込めば鳴る手応えのギタ-があります。
 昔甲子園で注目されたあるピッチャ-がいました。コンビを組んでいたキャッチャ-も中々の打撃実績でしたが、ドラフトではキャッチャ-の方は見向きもされませんでした。事実その選手は大学野球では鳴かず飛ばずだったそうです。プロのスカウトの目とはそう言うものだと、筆者の観光ガイド時代、団体の中にいた良く野球業界を知っていた旅行者の人に聴いたことがありますが、永久に鳴らないギタ-と今は鳴っていないが弾き込めば鳴るギタ-を見分けるのにそこまでの眼力は要りません。
 永久に鳴らないギタ-はいつまで経っても湿気った煎餅、将来性のある鳴り方の当面鳴らないギタ-は野に解き放たれる前の鎖に繋がれた野獣か、ウサギか猫か犬か・・・。これは弾き込めば解き放たれそうだと言う確かな感触の問題です。感触の問題なら何をどうことばで説明し様が今一釈然としませんが、結局何本も弾き比べて音を識別する耳を養うしかありません。

2008-12-22

350 クリスマスのしるしは七面鳥の代わりにチキン!? 23-12-2008(火)

 筆者はクリスマスが嫌いである。キリスト様の誕生を祝うどころか、キリスト様を出汁にいかに飲んで騒いで消費欲を満たすか。これがスペインを初め欧米の欲望クリスマスの本質であり、他は何もない。
その昔筆者は大学卒業後スペイン行きの資金稼ぎに5ヶ月程あるサ-ビス業で働いたことがある。良く朝礼で『サ-ビス精神のない人にサ-ビス業は向かない』と言われたのを思い出す。サ-ビス業務自体を事務処理的に完璧にこなす能力はあっても、肝心のサ-ビス精神に欠けるならどこか冷たく、次から利用したくなくなる気持ちは拭えない。同様にスポ-ツマンシップなきスポ-ツ、酢加減の滅茶苦茶な華僑の握る寿司(ヨ-ロッパには多い)、そして、日本人に一番分かり易く言えば、義理で贈ったり貰ったりする中元歳暮!? 『余計な出費させやがって・・・』『またお返しか・・・』 なるほど、美辞麗句はコマ-シャルだけで、肝心の真心が感じられなければ喜ぶのは商店と宅配業者だけ。結局贈る側と貰う側の金のかかる社会的伝統的偽善儀式に過ぎない。
 クリスマスも肝心のキリスト様の誕生にかこつけて自らの欲望の剣を振り回している人が圧倒的大多数だろう。日本に居ればまだそれほど感じないかも知れないが、スペインを初めヨ-ロッパではクリスマスプレゼントを贈らなければならないと言う社会的強迫観念さえ感じられるほどクリスマスはプレゼントの時期なのである。ツナミ(日本語とは知らない様だが、スペインマスコミは今日このことばを良く使う)の如き社会的消費熱だと言っても良い。もっとも、年に何度か連休やお祭りを適当にばら撒いてツナミを起こさないと経済が回って行かない面も大いにある。それには宗教的祭りを利用するのが一番手っ取り早く、その意味では世界のどこの国も多かれ少なかれ政教一致社会なのかも知れない。
 もちろん、キリスト様の誕生を祝っている人はほぼ皆無。何故ほぼ皆無と言い切れるのか? 義務感だけの中元歳暮を義務感からだと決め付けるのに理屈は要らない。真心より義務感の香りがする、ただそれだけのことだ。同様に欧米のクリスマスは肝心のキリスト教的真心の香りがしない、ただそれだけのことだ。

 あなたがたは布にくるまって飼葉桶に寝ておられるみどりごを見つけます。これがあなたがたのためのしるしです。-----或る昔の偉い人

 昨日スペインでは朝から各局クリスマスドリームジャンボ宝くじ抽選会実況生中継。全国が固唾を呑んで見守った(コルムナ338)。一体どこがキリスト様の誕生日なのじゃ!? しかも年明けにはクリスマスドリ-ムジャンボ宝くじ第二弾!?
 清く貧しく美しく・・・。こんなことばは美辞麗句過ぎて却って敬遠される21世紀の今日でしょう。しかし、クリスマスの原点は飼い葉桶です。ケ-キやプレゼントでもなく、車やハンドバックでもなく飼い葉桶です。
 それでも、さすがに世界的大不況で今年は七面鳥の代わりにチキンの明日のクリスマスイブの夕食のスペイン人家庭も多いとか。日本でも突然解雇に内定取り消し・・・。しかし、大雑把な言い方ですが、人は飼い葉桶まで落ちれば後は何でも我慢出来るのではないでしょうか?
 ある意味逆転の発想で飼い葉桶を自らのしるしと受け取れば、後に何も残らない社会的伝統的偽善儀式や金銭物欲至上主義の人生から脱却を図れるのかも知れません。確かに一般論からすれば人生下を見ても飼い葉桶を見ても進歩はありませんが、真に上を見上げるために真に下を見ることに意義を見出すこともあるなら、それは真のクリスマスの意味に一歩踏み込んだことになるのかも知れません。
 

324 鳴り過ぎれば熱さ忘れる良いギタ- 23-12-2008(火)

 労せずして音が出る、いや、勝手に音が出てくれるギタ-こそ良いギタ-の第一条件だと言うことをマヌエル・ラミレスのギタ-を例に(コルムナ316~319)、また、軽くアクセルに足を乗せるだけで勝手に加速する良い車と常にアクセルを踏み込んでいなければ止まるボロ車、そして、パリッとした煎餅と湿気った煎餅に例えてコルムナして来ました(同321~323)。
 確かに車と煎餅ならこの見方でいいかも知れませんが、ギタ-に関しては100%そうは言い切れない面もあると言うのが今週と来週のお話。
 まず今週は鳴り過ぎるギタ-、来週は買ったばかりの頃は鳴らないギタ-について。
 あたかも暴れ馬の如く、鳴り過ぎるが故に却って敬遠されるギタ-など存在するのでしょうか? 鳴らなくてどう仕様もないギタ-より鳴り過ぎる方がましなことは想像出来ますが、論より証拠、筆者の友人でもあるグラナダ在住フラメンコギタリスト、カルロス・サラテ氏は来日公演二度。その強いタッチから弾き出される音は正に日本人離れの大音響で、しかも、本人は全く疲れを知らない!? そして、押し相撲一辺倒のパワ-ファイトだけではなく、凄まじい速さと音量のピカ-ド(スケ-ル)にアルペジオにトレモロ~と技巧も十分。おまけに、楽譜も読めないくせに大聖堂(A.バリオス)の第三楽章を耳コピで涼しい顔で淀みなく弾きこなすのだから手が付けられません。
 こうなると才能ある人間には敵いませんが、そのカルロスの言うには鳴り過ぎるギタ-はうるさくて耳障りなので、少々鳴らないギタ-の方が却って好みなのだそうです!?
 ま、こう言う良いギタ-&良くないギタ-の判断基準も存在すると言うことだけでも読者は覚えておけば将来のギタ-選択の引き出しの数も多くなります。ただ、一般的にタッチの弱い日本人奏者にはむしろこうした言わば過敏なギタ-は大歓迎かも知れません。 
 ここで勘違いしてはいけないのは、パワ-で押し捲るからと言って、決してカルロスは力任せではなく、逆に、驚くほど力は入っていないからこそ指が疲れず速く動き、音もバカでかいのです。これは逆説の真理であり、コルムナ315以前に散々述べて来たことでもあります。

2008-12-15

349 何か変なのだ 16-12-2008(火)

 今年の日本の世相は一字で『変』!? 今年も日本もスペインも変な一年だったのでこれは納得。変な事件が起きるのも、変な社会になったのも、変な人が増えたから!? なるほど言い当て妙だが、もっともっと変な年になる来年は一体どんな漢字を選べばいいのか!?
 結局早い話が毎年行く年来る年去年の『偽』にしとけばいいのだ。毎年どんな漢字が選ばれ様が、所詮皆この偽の従兄弟はとこには違いないのだから。
 もし、これがいい意味の漢字なら翌年生まれる赤ん坊の名前になって流行ったりもするのだろう。愛なら愛子、義なら義男・・・とか。しかし、毎年人間様の本質を衝いた様な否定的な漢字だけしか選ばれ様のない現実が日本社会の迷宮入り的閉塞感を良く表している。そして、経済も景気もそれ自体の表向きの数字ではなく、実は急激に変になって来ている日本人の質に大まかに比例している現状に一体どれだけの日本人が気付いているのだろう。 

 人が変わらなければ社会は変わらない。-----或る昔の偉い人

 11年ほど前になるでしょうか。筆者は観光ガイド時代の最後の方に、ねずみ溝まがい商法で読者にも大いに聞き覚えのある、日本のある組織の総会の通訳に呼ばれました(於:マドリ-ド)。空港アシスタントや買物の手伝いなど簡単なことだけでしたが、ボス格のおばさんの宝石を散りばめた様なド派手な付け爪が印象に残っています。ある有名俳優(故人)の奥さんでしたが、他のガイド仲間と『ありゃ魔女の爪か!?』とか笑い合ったのを想い出します。しかし、最近こんな爪の若い日本人女性旅行者が多くなりましたね。まさか中高生もとは思いますが、まさかが通じない変な世の中です。
 筆者は付け爪には大反対です。あれでは頭から私はギタ-を弾く気はありませんと言っているのと同じじゃないですか(筆者の収入源はスペインギタ-輸出)!? ましてや、魔女の爪で社会が良く変わるはずがないのです。
 人生一事が万事、万事は一事です。いや、総てのことは突き詰めれば二事に分かれるとすれば、それは『真』と『偽』であり、人間も経済も景気も付け爪も総てがこのニ事の内どちらかに帰着すると言う一事に尽きます。そして、それは政治家や学校の先生や会社の上司の他人事ではなく、実は他でもない我々自身の問題であることに尽きます。
 日本人もスペイン人も来年はどちらに尽き果てるか・・・。それは付け爪とギタ-人口に大まかに比例するのかも知れません。合掌・・・。 

323 ファ-ストコンタクトで見抜けるのか良いギタ- 16-12-2008(火)

 まさか腹に入ってしまえば歯応えのある煎餅でも湿気った煎餅でも、煎餅なら何でもいいと言う人はいないでしょう(先週のコルムナ)。麺も歯応え、ビ-ルは口当たり(注:筆者は酒は養命酒のみ)。ファ-ストコンタクトが勝負なのです。
 良いギタ-選びもファ-ストコンタクトが勝負です。その後の味、後味、余韻も大切ですが、まずは弾いたその瞬間の音の立ち上がり方こそ問題です。
 何はさて置き、軽く爪弾いた第一印象がパリッとした煎餅か、湿気った煎餅か。これが良いギタ-、良くないギタ-の見分け方の第一印象、ファ-ストコンタクトでもあります(同321)。
 するめイカならともかく、歯に力を込めなければ割れない湿気った煎餅など、アクセル踏み込みガソリン浪費ボロ車、そして、力を込めなければ音が出ないボロ車ギタ-と同じです。
 発音した後の音色の味は各自の好みがあるでしょう。それは各自の自由ですが、それはまずパリッとファ-ストコンタクトで心地好く割れてくれる煎餅であることが前提なのです。
 とは言え、初心者の方には抽象的過ぎる表現かも知れません。こうなると確かに何本も弾き比べて耳を肥やすしかありませんが、①アクセルに軽く足を乗せるだけで勝手に加速してくれる良い車か、アクセルを踏み込まなければ音が出ないボロ車か、②パリッとした煎餅か、湿気った煎餅か。常にこの二つをイメージしながらギタ-を吟味すると舌も肥えて来ます。取り敢えず煎餅の方が分かり易いかも知れませんね。

2008-12-08

348 呪われそうになったス-パ- 09-12-2008(火)

 今週は別にコルムナ339の続編と言う訳ではないのだが、先週金曜日知り合いの仕事場に用事で行くとその友達とか言う男性が居た。聞けば地元のス-パ-勤務で、立ち話になると大声で止まらないスペイン人らしく、訊きもしないのにベラベラ内幕を聞かされた。
 まず、給料が1200ユ-ロ(約15万円)。筆者は初対面の人にいきなり給料はいくらかと訊くほど漫才師ではない。あくまで向こうが勝手に喋り捲るのである。良く言えば極めてオ-プンな性格だが、こちらも下手なことを言えばすぐ噂を広められそうだとの身の危険を感じたのは言うまでもない。もっとも、不動産バブルで物価高で~と言う会話の流れの中で自然に(!?)口をついて出て来た具体的な額かも知れないが、こんな給料で家が買えるか、いや、買った共稼ぎの同僚はいるんだが~と話は続いた。
 聞けば、昔安く買った持ち家があるのに昨今の不動産バブルのお立ち台に自ら志願して乗って、21万ユ-ロ(約2600万円)の家を転売して濡れ手に泡で一儲けし様と住宅ロ-ン。ところが、今回の金融危機で住宅価格は暴落するは、買い手はつかず、おまけに銀行の支払いは滞るはで、持ち家までやばいとか。どっかで聞いた話だが、別の知り合いの工事現場の日雇いのおっさんもBMWを買ったとか・・・。そう言えば、筆者の知っている宿屋を3軒経営しているおじさんの言うには、もう2年位前の話だが、雇い人の掃除のおばさんがベンツを買ったとか!? 
 更にこの男性曰く、未遂だったので大きな記事にはならなかったが、ついこの前閉店間際に強盗が押し入り、隙を見た従業員が警察に通報。ピストルを突き付けていた奴だけパトカーに気付かず御用。残りの連中はトンズラ。また、早朝買い付けに行く卸売市場でもこうしたピストルナイフ強盗や窃盗が最近多くなって来ているとか。

 誰でも自分の利益を求めないで他人の利益を心がけなさい。-----或る昔の偉い人

 今住宅建設も自動車業界も頭打ち。確かに得意気に強欲傲慢の頭突きを所構わず食らわして我が世の春を嘔吐していた様な連中ばかりですが、天罰の頭打ちには勝てません(コルムナ328&329)。銀行から借りた金で相撲を取る奴に大物はいないのです。
 そして、どんなに学歴があろうが、社会的地位があろうが、財産が多かろうが、自分だけの利益を求めて止まない連中が大物であるはずがないのです。
 人は誰でも窮地に追い込まれれば地金が丸出しで垣間見えます。故に、こんなご時世だからこそ地金の真価が問われます。それは世の多くの人にとっては意味不明で奇想天外な他人の利益を心がけることによって輝くとすれば、これこそ究極の逆転の発想かも知れません。
 来年は更に厳しい一年が予想されています。借金でせしめたかに見えるだけの家や高級車の真の価値を天罰で思い知らされる人も強盗も後を絶たないことでしょう。

322 やっぱり良い車、良くない車はギタ-かな!? 09-12-2008(火)

 筆者の知り合いのヒターノ(ジプシ-:中世にインドからスペインにやって来た遊牧民族でフラメンコの創始者)にアホな奴がいまして、免許を持ってないのに中古車を買いました(スペインではよくある話し)。ところが、すぐに奥さんが急病になり、買ったばかりのその中古車で救急病院に最初から最後までロ-ギアでぶっ飛ばしました。可愛そうにエンジンは一晩でオ-バ-ヒ-トの憂き目に会いました。
 この話は随分前にギタ-は力を込めて弾くとこうなる引き合いに出しました(コルムナ8)。そして、つい最近までギタ-奏法は究極のところ歌心。歌心に指を乗せれば指に力は入らない(ロ-ギアではなくトップギアに入る)ことを長々と、ギタ-自体ではなく、指について何年間もコルムナして来たとも言えます。そして、最近(同316)から楽器としてのギタ-自体のコルムナに入っている訳ですが・・・。
 しかし、アクセルを踏み込まなければ音が出ない様なボロ車ではアクセルを踏み込んでガソリンを無駄使いしなければエンストですから(先週のコルムナ)、アクセルを踏み続けなければならないことが悲劇なのです。
 カ-ライフもギタ-人生も悲劇に遭遇したくなければボロ車とボロ車ギタ-と今日世界中を席巻している中国製スペインギタ-は頭から避けることです。
 ボロ車ギタ-とは軽く爪弾いた第一印象が湿気った煎餅の如し(先週のコルムナ)。味の好みはともかく、まず噛んだ瞬間パリッと来なければギタ-も煎餅もボロ車です。

2008-12-01

347 呪われた試合 02-12-2008(火)

 日本でもプロサッカ-リ-グが根付いて来たこともあるのか、最近スペインにサッカ-観戦目当てにやって来る日本人旅行者が結構多い。日本で言えば巨人に当るレアル・マドリ-ドは昨シ-ズンダントツの首位独走で驕り高ぶっていたバルセロ-ナFCを終盤の終盤で追い抜いて奇跡の逆転優勝。ちょうど今年の巨人阪神と同じだったと思えば分かり易い。
 今シ-ズンも今のところパッとしないレアル・マドリ-ドを尻目にバルセロ-ナFCはほとんど連戦連勝の首位独走中で去年と同じ様な展開だが・・・。
 球蹴りに何の興味もない筆者にとってはどうでもいい話。全国のファンはせめてサッカ-に浮かれて熱くなってる時位、世の不況と自らの金欠病を忘れて至福の時かも知れない。猫が我を忘れて鰹節にしゃぶりついているのと大差はないが、鰹節が終わった後の現実を考えている風でもない。もっとも、ヨ-ロッパのどこの名門チ-ムも金融危機で大スポンサ-がコケればスタ-選手を放出か・・・、と言った仮説が現実味を帯び様としている今日この頃、経営陣こそ実は気が気じゃないのかも知れない。
 そんな中、3年前会長選落選でレアル・マドリ-ドを追われた元会長が息子を引き連れ、財政難に喘ぐ筆者の地元グラナダFCを買収して全権を掌握した。チ-ムは当時も今も2リ-グB。1リ-グ、2リ-グAの下だから、実際は3リ-グのロ-カルチ-ムだ。30年位前は1リ-グに居たらしいが、もはや伝説。
 12年ほど前、この試合に勝てば2リ-グAに昇格と言う試合が地元スタジアムであり、ちょうど試合が終わった頃、応援グッズを手にした市民達と同じ市バスで偶然乗り合わせた。騒いでなかったので負けたのは想像出来たが、後からニュ-スを見ると90分過ぎた時点で一点リード。ロスタイム終了間際相手が最後の反撃。ゴ-ル前方にフワッと上がったボ-ルをディフェンスがヘディングで逸らしたと思ったら、味方ゴ-ルキ-パ-の頭上をフェイントの如く飛び越え、見事自軍のゴ-ルに逸らして昇格ならず。翌日の新聞の見出しは『呪われた試合』。
 それ以後チ-ムは何年間も振るわず、しかも財政難で選手にギャラも払えず、そこに3年前札束を持って元レアル・マドリ-ド会長が救世主の如く登場したのだった。実際この一家は様々な事業を手がける大富豪なのだそうだが、大金持ちのはずのこのオ-ナ-はつい2ヶ月ほど前にコルドバ市(グラナダ北165Km)の銀行窓口で怪しい約束手形を不正に現金化し様として御用になりかけ全国紙を賑わせたばかり。

 嘘は花は咲かせるが実は成らせない。-----或る昔の偉い人

 地方の財政難のチ-ムなら比較的安く買えるし、補強して強くして昇格して近い将来1リ-グに殴り込み、と言う皮算用だったらしいのですが、皮算用どころか、最近の経済不況も追い討ちをかけ、チ-ムも現在降格ゾ-ンで市民も付いて来ず、再び選手にギャラが払えない大赤字でチ-ムを手放すハメに。都落ちから再び上京どころか、大枚叩いて大赤字。借金地獄固めで再起不能になる前にギブアップを選んだ様です。もっとも、この不景気で買い手も付かなければチ-ム自体の存続も危うくなるのでしょう。
 実が成らなかったと言うことは、どこかに嘘があったのではないか・・・。どんな業界でも広い意味でそう言えるとは思いますが・・・。

321 良い車、良くない車はギタ-かな!? 02-12-2008(火)

 筆者は31年前の学生時代、名古屋で塾の先生をしていました。近くの自動車教習所で免許を取ることにしたので、まず教習を受けてから塾に通うスケジュ-ルだったと記憶しています。因みに4年前帰国した際四半世紀振りに行ってみましたが、塾の方は見つけられず。区画整理されたらしく、何が何だかさっぱり分かりませんでした。
 教習期間中、一日だけ今でも記憶に残っていることがあります。何故かその日だけ、かなりエンジンを吹かさなければすぐ止まる様な、初心者マ-クでもこれはボロ車だと分かる様なボロ車を割り当てられました。今思い出しても、とてもあれで外回りの教習をしていたとは思えません。これ以外は毎日まともな車でしたので余計に記憶に残っています。
 しかし、もし毎回こんな車だったら、あれが車と言うものかと思い込んで、微動だに不思議がらなかったでしょうし、中年のおっさんになった今覚えているはずもなかったことでしょう。
 たまに反面教師に出くわせば反面教師のインパクトも大でしょうが、毎回反面教師では反面教師マヒです(先週のコルムナ)。
 あの日幸か不幸か筆者の青春の一ページに残ってしまったあのボロ車・・・みたいなギタ-をいつも弾いていれば重度のギタ-審美眼マヒを煩います。
 音が勝手に出てくれるギタ-(同318&319)とはアクセルに軽く足を乗せるだけで勝手に加速して、勝手に坂を登ってくれる良い車。逆に、打てど響かないギタ-はこの31年前のボロ車の如し。
 余り安物ギタ-は頭から辞めておいた方が賢明です。アクセルを踏みっ放しでガソリンの浪費癖は付くは、力を入れ過ぎて腱鞘炎予備軍にはなるは、いつ止るかと本人も同乗者も気が気ではなく、とても快適なドライブも演奏も出来ません。 
 現在日本で売られている国産スペイン製外国製を問わず、安物ギタ-の大多数はラベル以外純中国製です。農薬に産地偽装に原産国表示無しの中国製スペインギタ-で歌心がマヒして痙攣して健康を損なわない様注意して下さい。
 まずは軽く爪弾いた第一印象がパリッとした煎餅か、湿気った煎餅か。これが良いギタ-、良くないギタ-の見分け方第一印象でもあります。