2007-11-26

294 祝民法改正 27 -11-2007(火)

 一昨日日曜日正午グラナダ市で家庭内暴力反対のデモがあった。それだけスペインでは一大社会問題になるほど流行っていると言う訳だが、何せ総てのデモ隊は日本語情報センタ-の真下を通ってすぐ横の市役所前広場で気勢を上げて解散するのだから否が応でも目と耳に入って来る。   
 この国では国民性を反映して自らの義務は問わず権利だけ主張する傾向のデモが大半だが、今回の主役は旦那に暴力を振るわれる主婦達なのだから、その点だけに限れば誰がどう見ても理に適った主張であることには違いない。ただし、肉体的に男性に引けを取るから家庭内暴力の犠牲になるだけで、実際は気が強く、後に引くことを知らない闘牛の牛みたいな強気一辺倒のスペイン女性も多く、その上すぐに口答えするので、旦那も殴りたくなって当たり前と言う場合も多いと思われる。最後は腕っ節に物を言わせることを除けば、一概に旦那の方が一方的に悪いとは言えない。
 時間は前後するが、その前日のニュースに拠れば、例えば夫婦が離婚して、片方が第三者と再婚しても、この人の退職後の年金は喧嘩別れした元配偶者に支給されていたのが、新しい現配偶者に支給される様来年には民法が改正されるそうである。何のことはない。離婚大国スペイン故に現行の民法では時代錯誤の矛盾が生じ(コルムナ288)、離婚率7割弱を誇る現場に似合った改正が急を要する・・・と言えばいかにも何でも国民のためと能書きを垂れがちな現社会党政権らしいが、結局離婚激増と言う国民の人としての基本的モラル破壊の後始末を来年3月の総選挙を見据えてやっているだけの話。なるほど相当数の有権者が離婚しているのだから、それに応じて尻尾を振ってご機嫌を取った方が投票してもらえるのも道理か。

 人が変わらなければ社会は変わらない。-----或る昔の偉い人

 皆事後処理に過ぎません。離婚多発により年金受給者を変えるより、離婚のない社会を目指す方が根本治療です。膿を出さずに民法改正印の包帯を巻くより、隣人を尊重する人作りの方が東洋医学的です(先週のコルムナ)。そうすればまさか国民が大挙して離婚はしないでしょうし、旦那も奥さんを殴る蹴る、メッタ刺しにして灯油をかけて火を点ける様なこともしないでしょうし、奥さんも報復に子供を抱きこんで元旦那から養育費や財産を毟り取って新しい愛人を囲う様な悪知恵も浮かばなくなるでしょう。
 人の悪に厚化粧する民法や、街のど真ん中で“家庭内暴力反対!!”と憂さ晴らしのデモで叫んでも社会は変わりません。人がその性根から真の隣人愛で変わらなければ社会が変わる訳がないのです。
 “真の隣人愛”。絵に描いた餅かも知れませんが、世の中の総ての人の性根が真の隣人愛に変われば、離婚や家庭内暴力どころか、連日新聞ニュ-スを賑わせているあれやこれやの事件など一つも起こりゃしません。それどころか民法も刑法も警察も軍隊も要らず、家の鍵さえかけなくてもよくなりますが・・・。 人間様の現実は全く逆です。残念ながらこんなこと言えば言うほどユ-トピア漫才で、笑われるだけかも知れませんが、デモ隊を組んで声を張り上げなくても、まずは真の隣人愛の小さな一石を家庭学校職場近所で謙虚に投じれば、小さな何かが真に変わって来るはずです。やはりミクロなくしてマクロなしなのです。

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