2008-10-13

314 左手&右手各指の独立性を歌心で総括(2) 14-10-2008(火)

 左手でC7を押さえて、小指だけ動かしてSi♭~Solのスラ-(もしくはハンマリング)を繰り返してみましょう。一見簡単ですが、小指だけ動かして後は総て休んでいるとなると結構難しいものです。
 復習になりますが、“左右両手各指の独立性”とは、最後は歌心に帰着する訳ですが、それは“右手も左手も使っている指以外は徹底的に休んでいること”です(コルムナ247)。
 あの頃のコルムナ(同245~250)ではCを押さえて中指だけのハンマリングを例に取りましたが、今週似た様なC7の小指を例に出すのは、この両手各指の独立性をコルムナしながら、最近筆者自身このC7における小指が軽くなった、独立性が養われた、残り3本の指は弦を押さえたまま休んでくれて小指だけ最小限の力で動いてくれている、と言う実感があるからです(同250&251)。 
 出来てから気付くことは、何も独立性と言われたから独立性を目指して各指を鍛錬するのではなく、意図的に力を抜こうとするのでもなく、ある時ふと我に帰ると、小指だけ何気なくスラ-(ハンマリング)していた、力は全く入っていないけど大きな音が出ていた・・・。これが理想じゃないかと言うことです。するのではなく、やってしまっていたこと。すると言う私が主語の現在から未来への意志ではなく、『ありゃ、いつの間にか出来てしまっていた』ことです。
 ある意味無責任ですが、この意識無意識が意外と鍵だと今回自ら学びました。指は意識すればするほど独立性を失い、歌心に集中すれば無意識の内に指のことは忘れて勝手に独立性してくれます。
 責任感の強い人ほど真面目で、私が私の指を何とかしようと思い込んで、遂に指の独立性とは無縁のギタ-人生を送ってしまう・・・。意外やこんな人が多いとすれば、日本人の生真面目さはむしろ自ら進んで自らを束縛するサイドブレ-キです。
 何年か前に書いたと思いますが、アクセルを踏み込んでも車が動かない時、それはエンジンや運転技術が悪いのではなく、サイドブレ-キが掛かっていることに気付かず無理にアクセルをふかせるからオ-バ-ヒ-トします。同様に指が指が~と考え過ぎることが精神的束縛となり、指には却ってサイドブレ-キが掛かり、その上生真面目に無理矢理アクセルを踏み込めばギタ-人生も燃え尽き症候群です。
 歌心に乗って指を忘れれば、ある日急に『え、たったこれだけのことだったのか』とサイドブレ-キの束縛から解放された独立性に気付く・・・。意外とこんなものかも知れません。
 中々指が言うことを聞いてくれない読者の皆さん。指自体ではなく束縛のサイドブレ-キこそ問題じゃありませんか。そんなもの歌心で無意識に外せば指は解放されて独立性を得ます。

2008-10-06

339 呪いのス-パ- 07-10-2008(火)

 その昔筆者が学生時代名古屋にいた頃、確かSPARと言う名のス-パ-のチェ-ン店があったはずだが、読者の地域ではどうだろう。実はスペイン南部にもある。もちろん、名前だけの偶然の一致だが、ただし、正確にはつい最近まであったと言った方が当っている。
 もう3ヶ月前の話になるだろうか。世界中で原油が高騰し、日本でも漁船が漁に出るだけ赤字になるので漁を取り止めたニュ-スはまだ読者の記憶にも新しいだろう。こちらヨ-ロッパではトラックなど陸上輸送業界が一斉ストで政府にガソリン税優遇などの特別措置を迫った。ストが長引くに連れ各業界共品薄となり、庶民にとって一番顕著だったのは日常生活品を扱うス-パ-の陳列棚だったのかも知れない。筆者には猫の砂がないのが一番堪えた(日本語情報センタ-に5匹!?)。
 それでも10日程でストも収まり、事態は沈静化して行ったと記憶している。徐々に市内各ス-パ-にも元通り商品が揃って来た。ところが、このSPARだけは何故か何週間経ってもスト当時より少しはまし程度にしか商品は戻らなかった。やる気あんのかとか思ったが、毎週のコルムナでお分かりの様に、元々余りやる気はない民族なので、筆者も大して気にはしなかった。
 そうこうする内に、一ヶ月位前になるだろうか、日本語情報センタ-の真下をあるデモ隊が通って行った。総てのデモ隊はすぐ横の市役所前広場に集結して気勢を上げて行くので、それ自体は珍しくも何ともないが、今日は何の騒ぎかと3階の窓越しに良~くプラカ-ドを見ると、SPARの従業員達のデモだった。結局ずさん経営でいくつかの卸売業者が借金を払うまでは商品を卸さないことに不安を感じた従業員達が経営陣に一体どうなっとるんじゃと詰め寄ったらしい。
 結局SPARはまもなく倒産店閉い。従業員達は・・・当然失業して失業保険だろう。

 逃げる雀の様に、飛び去る燕の様に、いわれのない呪いはやって来ない。-----或る昔の偉い人

 ニュ-スなど見れば原因はあくまでずさん経営であり、今日の世界的不況の犠牲者と言う訳ではなかった様ですが、それにしてもよりによって筆者が29年前最初にスペインに来た頃から買物していたス-パ-が潰れるとは。これも時の流れかも知れませんが、単に時の流れだけで逃げたり、飛び去ったりするほど雀さんも燕さんも薄情ではないはずです。人間と違って、動物には悪い奴も悪女も一人もいないのです。
 いわれのない呪いもいわれのない吉事も一つもないはずですが、何でもない普段平素からのいわれこそ惰性に流さず留意していなければ呪いの方が多いのが世の常でしょう。少々のことなら反省して踵を返せばやり直しは利くかも知れませんが、不渡り倒産で再起不能だとすれば、やはり雀も燕も永久に去って行ったのかも知れません。 

313 左手&右手各指の独立性を歌心で総括(1) 07-10-2008(火)

 それでは逆に左手&右手各指のの独立性が養われれば何が一体どうなるのでしょう? 筆者は一年以上前からこの点についてコルムナしながら自らの指を観察して来ました。
 何より指が勝手に弦を押さえ、勝手に弦を弾いてくれる感触があると言うことです。多くの人はどうしても私が私の指を鍛えて、私が私の指で弦を押さえて、私が私の指で弦を弾くのがギタ-じゃないかと何の疑いもなく思い込む傾向にありますが、上手い人は皆指に勝手に弾いてもらって本人は楽をしているのです。
 それでも上手い人を評して『良く指を動かしますねえ』とは言わず、普通は『良く指が動きますねえ』と言います。日本語のあやもあるでしょうが、実はこの自動詞他動詞の違いがギタ-人生の分岐点の図星を無意識の内に突いているのです。ところが、無意識の内に真理をど突きながら、続いて『一体一日何時間練習すればそんなに動く様になるんですか?』とか指の筋トレに違いないと勝手に確信し、結局何も分かっていなかったことを暴露してしまいます。
 指の筋トレモ-ドに入れば入るほど腱鞘炎になります。おかしな癖が付きます。何より指の独立性を失います。指自体は却って考えないのが一番なのです。スペイン人フラメンコギタリストは楽譜が読めないので教則本に書いてある基礎練習など一切しません、と言うか、基礎練習と言う概念が頭から存在しないのです。筆者の知り合いのプロは家にギタ-さえありません!? また、指自体をそんなに気にする人はいません。だからこそ指の独立性が無意識の内に養われて指が勝手に弦を押さえて爪弾いてくれるのです。
 筆者の場合、同じ曲でも気分(歌心)が乗っている時とそうではない時は指の軽さ(独立性)が違うのが分かります。要は歌心です。

2008-09-29

338 マジでやるか!? 30-09-2008(火)

 スペイン人はマジでやるのだと言うお話。もちろん今週も毎週の様に週間実話。一昨日日曜日の地元新聞の一面大見出し。
 グラナダでは不景気が厳しさを増すに連れ、宝くじの売り上げが急上昇!!
 最後の!!は筆者が付けたのだが、それにしても、筆者は別に予言者でも何でもないのに大当たりにも程がある(コルムナ330)。筆者の方が賞金を貰いたい位だ。ついでに小見出しは・・・。
 これらの宝くじ(何種類もある)はロ-ンに喘ぐ多くの家庭にとって最後の命綱なのである
 日本人なら庶民の夢と書くのだろうが、最後の命綱とはさすがは新聞記者も情熱のスペイン。その反面、ロ-ンに喘ぐ多くの家庭と冷静に真実を世に伝える使命は全うしている。
 それにしても、愛は盲目と言うが、当る訳もないのに、抽選日まではクリスマスプレゼントをもらう子供みたいに心はずませるのだから、スペイン人の宝くじへの入れ込み方は全盲だ。そして、全盲の国民をハイリスクハイリタ-ンのバクチで騙して金を盆に載せて献上させるのだから、この国の政治家もまたワルだ。
 因みに、グラナダ県全体として今年上半期に県民がこうした公営ギャンブルに使った総額は統計によれば6940万ユ-ロ(約108億円)!? これは前年度に比べて6.21%増しで、スペイン全国平均の2倍の上昇率とのこと。
 一般的には言われない、南ほど貧しいくせにそれでも働くことを厭う南北問題の本性が活火山のマグマの如く噴き出している様でゆかしい。そう言えば先々週のロサンジェルス在住の日本人もスペインのクリスマスドリ-ムジャンボが20ユ-ロ(3350円)と聞いて、2ユ-ロの間違いじゃないのかと思わず絶句していたが、スペイン人にはさぞかし人間の器が小さいと見えることだろう。

 若者をその行く道にふさわしく教育せよ。そうすれば、年老いてもそれから離れない。-----或る昔の偉い人

 コルムナ330で『不況で金がなければ日本人はまだ“よし、働こう”と言う民族ですが、スペイン人は迷わず“よし、まずは宝くじで運試し”と言う思考回路に生まれついている連中が結構、いや、滅茶苦茶多い』と書きました。読者は『また、人を笑わせようとして大袈裟に~』と思ったかも知れませんが、ご覧の様にこれは誇張でも何でもなく等身大の真実なのです。
 しかし!! 天の摂理は質実剛健です(同323&328)。
 しかし!! パソコンにワ-ドのプログラムが入っていなければワ-ドが機能するはずがない様に、質実剛健と言うプログラムが入っていない人間は、悲しいかな質実剛健に振舞い様がないのです。 
 そして、正に三つ子の魂百まで。必要なプログラムは幼少期に入れてやらなければ後から入るものではありません。スペイン人の大半は・・・例え200年後に来ても変わっちゃいないでしょう。
 日本人の命綱はどうでしょうか? 目が眩んで全盲の故にマジで銭ゲバ人生劇場を演じる連中がいることはいつの時代も避けられませんが、多くはないことを望みます。

312 良いタッチと良い音は右手各指の独立性から:歌心で総括(2) 30-09-2008(火)

 今まで各指の独立性という観点から左手右手をコルムナして来ました(コルムナ244~)。今思い返せば、この各指の独立性と言うことば自体いかにも教則本的でお堅い響きです。
 実際日本に居た頃手に入れたホセ・ルイス・ゴンザレスのテクニックノ-トなるガチガチのギタ-教則本に載っていたことばです(同246)。ホセ・ルイス・ゴンザレスと同じ位音楽的才能豊かな人なら真似しても血となり肉となるでしょうが、我々その他大勢にとってあの様な基礎練習の連続波状攻撃は却ってギタ-を早々と投げ出す絶好のきっかけにすらなり得ますので、頭から辞めた方が身のためです。
 昔からの読者はご存知ですが、スペインギタ-週間コルムナの基本精神の一つは基礎練習ゼロで上手くなろうなのです。こちらの方が楽しいじゃあ~りませんか。
 しかし、筆者はそれでもこの教則本に出会って心から良かったと思っています。それはこの左右各指の独立性と言うギタ-演奏における基礎概念に遭遇したからです。人生は出会いで決まるとすれば、ギタ-人生もそうでしょう。筆者にとってはそうでしたので、今まで長々とコルムナして来た訳なのです。
 そして、左右各指の独立性は指の筋トレではなく、結局は歌心に比例して自然に養われるもの。それがコルムナの結論です。指が思う様に動かないと指で悩んでいる読者の皆さん。歌心で悩んで下さい。決してしっかり基礎練習して指を動かそうなどとバカな発想は辞めましょう。そうアドバイスする悪魔のささやきにも耳を貸してはいけません。左右各指の独立性なることばを教えてくれたホセ・ルイス・ゴンザレスには感謝しますが、その著書に書いてある詳細な基礎練習をすれば独立性は養われるかの如く読者に錯覚を与えるなら、これはまた別問題です。あれは天下の大ギタリスト、ホセ・ルイス・ゴンザレスだからこそ役に立った練習方法で、我々一般庶民がやっても時間の無駄です。ただ、天下の大ギタリスト、ホセ・ルイス・ゴンザレス故に左右各指の独立性と言う発想は大いに追及して価値あることです(同247)。指をいじくってではなく、歌心で追求すればの話です。
 歌心に乗って弾けば指は左右両手共に歌心程に勝手に動き、勝手に良いタッチになってくれ、勝手に良い音を探してくれます。これが各指の独立性です。

2008-09-23

337 たまにはいいこと言うじゃないか!? 23-09-2008(火)

 日本から出ない人には興味のない話かも知れないが、ここ2週間ばかり円がユ-ロに対してかなり上がっている。ここ4年ばかり忍従の日々を送った円にやっと光明が刺したと言ったところだが、アメリカ経済が腰砕けになったのと、ユ-ロ片手に好き勝手にいい気になって値を吊り上げて来たヨ-ロッパ経済が遂にバブり始めたことによるもので、決して日本経済自体が強くなったからでも何でもない訳だから、日本人旅行者にとっては束の間のぬか喜びに終わる可能性もまた少なくはないだろう。
 そして、確かに世界は全世界的規模で経済不安定な時代に直面しつつあるのかも知れない。石油が上がれば総てに予想外のしわ寄せが来ると世界中で痛感したのはつい最近のこと。石油非産出国の日本人は特に骨身に沁みたはずである。スペイン人は相変わらずノ-天気だが、石油は100%輸入である以上、第一ラウンドで食らったボディ-ブロ-の様に今後必ず効いて来る。
 それではその解決策は・・・。これは世界中の政治家の仕事かも知れないが、そんな解決策があるはずがない。
 折りしも、筆者は見なかったのだが、知り合いのスペイン人の言うには先週テレビである政治家が『今回の世界的経済危機の根本原因は人間の強欲だ』と言ったそうである。

 人間が変わらなければ社会は変わらない。-----或る昔の偉い人

 特に選挙の前などいいことしか言わないインテリな嘘を吐く傾向にある政治家ばかりですが、総選挙が終わって半年経ったこともあってか、最近サパテロ首相を初めスペインの経済危機を認める政治家の発言が増えて来ました。もっとも、来年がピ-クで収拾に向かうとか、極力庶民に不安を抱かせない一時凌ぎ的な内容だと見受けますが、一時どころか、時間無制限経済力消耗デスマッチはまだ始まったばかり。
 そうした中、この政治家の発言は久々に人間の正体の図星を突いていると感心しました。確かに、人間様が強欲で身勝手な存在である以上、強欲で身勝手な現代の様な社会になるのがむしろ当然です。仮に自分だけ料金を据え置きたいと思っても、原価が上がれば最終価格も上げざるを得なくなります。人間の強欲こそ人間自体を飲み込むブラックホ-ルかも知れません。
 日本でも最近中高生に何が一番欲しいかとアンケ-トを取ればお金とか・・・。何と色気のない・・・。NHK青年の主張(まだこんなのはあるのだろうか?)は一体どこへ行ったのじゃ!? せめて少数の残された者達が金銭以外の価値観を持たなければ日本は銭ゲバ地獄社会に突入します。もう突入していたりして!?
 日本人が変わらなければ日本は変わりません。そして、日本人が変わる様に日本は変わって行きます、良くも悪くも・・・。ところで、NHK青年の主張で毎年立派なことを言っていた青年達の『あの人は今?』とか番組を作ってみると結構面白かったりして!? 主張も大切ですが、それに伴う行いこそよりその人の人となりのはずです。

311 良いタッチと良い音は右手各指の独立性から:歌心で総括(1) 23-09-2008(火)

 『指先やタッチのことなど忘れてしまうこと。これが意外と良いタッチ、良い音の秘訣なのです(先週のコルムナ)』とは言われても、指先やタッチのこと忘れたら指先やタッチはどうなりまんねん!?

 昔からのスペインギタ-週間コルムナの読者はご存知かと思いますが、こう言う時こそ歌心、結局は歌心なのです。歌心に集中すれば指先やタッチや爪の形や正しい姿勢など枝葉のことは忘れます。
 金はあっても健康を損ねては人生立ち行きませんが、金はなくても健康でありさえすれば人生何とかなります・・・かどうかは各自の人生経験次第かも知れませんが、少なくとも前者より後者の方が希望が持てることは確かです。同様に歌心さえ健全であればギタ-人生何とかなります。歌心が健全と言うことは歌心が健全な音、しっかりした音、良い音を自ずと求めると言うことです。そうすれば自然にタッチも良い音を探すタッチになり、いつの間にか以前より深めのタッチになっており、指も疲れはするでしょうが、以前の様な徒労感覚ではなく、明日に繋がる心地良い疲れ方をしてくれるはずです。総て歌心が健全ならばの話です。後は何とかなります。良い音を出すためには肉体的な指先のタッチではなく歌心を探りましょう。
 疲れて付いて行けなくなった時こそ、疲れた指や手や腕のことは忘れて歌心に帰りましょう。そうすれば肉体的な疲れも抑制出来ます。
 疲れて指がしがらんで来た時こそ、疲れた指や手や腕のことは忘れて歌心に帰りましょう。しがらみが取れて各指の独立性はこうして結局は歌心によって養われます。
 結局は良いタッチも良い音も右手各指の独立性も健全な歌心と言う一つの基礎の側面に過ぎません。側面を磨くのではなく、まず基礎を磨いてやれば側面も輝きます。側面が基礎以上に輝くことはないのです。