2008-03-03

308 お盆に載せて・・・!? 04-03-2008(火)

 学生の卒業旅行シ-ズンたけなわの今日この頃。先週土曜日ある二十歳の学生(男性)がやって来た。前日コルドバ(スペイン南部の観光都市)でドイツ人旅行者と知り合い、お互い英語が通じない国だな~とか話している内に何となく勝手に親近感を覚えさせられ、一時間位して『実は金を盗まれて今8ユ-ロ(約1250円)しかない。明日土曜日ハンブルグで仕事があって帰らなきゃいけないんだが、700ユ-ロ(約11万円)貸してくれないか。向こうに10:40に着き次第君のVISAに送金するから。僕の名前と住所、メールアドレスも書いておくよ』とか言われ、VISAで700ユ-ロ下ろして貸してそれっきり!? どうしたらいいかと日本語情報センタ-に泣きついて来た訳である。それから日本大使館の緊急連絡先や日本のカ-ド会社に電話したり大騒動。結局翌日曜日にはカ-ドの引き出し上限額を設定し直してATMで現金引き出し可能となり旅行は継続出来ることとなったが・・・。
 イスラム系移民のドイツ人も多いので顔形など訊いたが、白人系だったそうなのでいわゆるドイツ人だろう。だとすれば、この哀れな日本人学生を差し置き、筆者はまずこのことを個人的に残念だと思わずにはいられなかった。筆者の経験でもヨ-ロッパの中ではドイツ人、スイス人、オ-ストリア人、北欧の人間は一般的に教育もあり信用出来ると思っていたのだが、今回の件でやはり“一般的に”過ぎないと言うことを認識しない訳にはいかなくなった。おそらく、一時間の会話でいかにも気が弱そうで、言われたことを信じる性格を見抜いた上での手の込んだ演技だったのだろう。
 今世界中で物価が高騰し、世の中ますます経済的に厳しくなっているのは読者も良くご存知のはず。そこで、だからこそ一生懸命働こうと思うのはごく少数で、むしろ、だからこそ手の技より口の技で上手く立ち回ろうとする連中が今後ますます世の中氾濫して来ることは容易に想像が付く。世間知らずの学生さんなどいいカモかも知れない。
 今回の件を金には人一倍執着するスペイン人に話せば皆異次元空間漫才としか思わないことだろう。

 鳩の様に純真で、蛇の様に聡くあれ。-----或る昔の偉い人

 一方、この学生さんには他人への同情と純真さを失って欲しくはないとも思いました。他人の綺麗事かも知れませんが、騙すより騙される方がより人間的です。 
 しかし、鳩の様に純真なだけではイカれます。純真な人ほど新興宗教の教祖に金品をお盆に載せて(スペイン語の言い回し)献上奉る様なことに陥り易いのかも知れません。また、蛇の様に聡いだけなら蛇に成り下がります。この純真さと聡さはいわば人生のアクセルとブレ-キかも知れません。両方を上手く使い分けてこそ安全運転が可能です。
 そして、アクセルにもブレ-キにもハンドルにも遊びが必要です。遊びがなければ過敏反応でぶつけ、遊びがあり過ぎても操作不能で人生の交通事故です。
 ま、しかし、世の中悪い奴はいるもんです。しかも、本当に悪い奴ほど聡くオブラ-トを被って鳩の様にやって来るから厄介です。

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