2008-04-28

316 高橋英子物語 29-04-2008(火)

 先週土曜日グラナダ市郊外サクロモンテの丘ラ・チュンベラ劇場において千葉県出身の日本人フラメンコ舞踊家高橋英子の何度目かのリサイタルが行われた。20年ばかり住んだグラナダを後にして、数年前から東京を中心に活躍しているエ-コちゃん(と筆者呼んでいる)とは10年間同じ旅行代理店でガイドとして働いた元同僚でもある。 
 地元トップスタ-の歌い手とギタリストを引き連れてメインを張るのだから大したものだ。しかも、会場は超満員。既に地元フラメンコ通には知られた存在でもある。
 もちろん、誰でも努力すれば上手くなると言う世界ではない。誰でもがり勉すれば東大に行ける訳ではなく、汗と涙を流した高校球児が皆甲子園に行けないのと同じである。特に、フラメンコの様な民族音楽では、努力や練習以前にその国に生まれなければ分からないと言う血の問題が何より不可欠と言っても良い。例えば、いくら日本人が練習したところで、ブラジル人のサンバのあの腰の動きは絶対に真似出来ないことは誰でも分かる。ブラジル人に生まれることが大前提なのである。或いは、ウイ-ン国立音楽大学声楽家主席卒業者に『そんなに歌が上手いんだったら、日本の演歌を歌ってみてくれや』と言うのと同じである。
 それをやり遂げたエ-コちゃんは凄い。何より、決して独りよがりや自己満足ではなく、スペイン人ア-ティストやファンからも高い評価を得ていることが凄い。だからこそ今回グラナダ市役所からお呼びが掛かったと言うことでもある。

 人にはおのおの負うべき自分自身の重荷があるのです。-----或る昔の偉い人

 もっとも、エ-コちゃんは踊りは上手いが、世渡りは抜群に下手です。実力はあってもビジネス感覚は極めて貧困で、たまに日本でリサイタルを行っても自己満足の赤字興行が多いとか。本人曰く『私ってバカだからさあ~』。
 重荷とは重そうですが、エ-コちゃんの様に例え多くの人の目に留まる様なことではなくても、私はこれだと言うものを持っている人は、それがその人のライフワ-クであり、生きがいであり、本人にとっては重荷とならない重荷かも知れません。

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