2011-04-25

470 離婚してもロ-ンは折半 26-04-2011(火)

 昨日の新聞に載ったスペイン最高裁のある判決。
 子供の養育費にあれやこれや別れた奥さんに搾り取られ、おまけに残った住宅ロ-ンの支払いまで押し付けられた離婚男性が訴えた挙句、ロ-ンの80%の支払い義務を命じた2007年の地方裁判所の判決を不服として上告した最高裁の最終判決は今後離婚65%の離婚大国スペインで論議を呼びそうです。まず、スペインでは住宅ロ-ンの契約は夫婦両者との契約であることを念頭に置いて・・・。
 何と離婚夫婦(もう夫婦じゃないかも!?)は残ったロ-ンは折半せよ。最高裁ですから覆りません。お互いの経済状況ではなく、あくまでも夫婦の共有財産としての観点からの判決だそうですが・・・。

 知恵のある女は自分の家を建て、愚かな女は自分の手でこれを壊す。----- 或る昔の偉い人

 もちろん、これは男性もですが、自ら建て上げたものを自らの手で壊すのは愚かだったと言うことに他なりません。ましてや、夫婦や家庭ならなお更。
 壊さない秘訣は何でしょう? どちらの意見が正しいかではなく、お互いの正しい意見を譲り合う精神が根底にあることじゃないでしょうかね? 人は結局その根底にあるものが言行に出て来る存在ですから。この譲り合う精神さえあれば多少金が無くても夫婦は上手く行くでしょうし、これがなければ離婚に至らないまでもギクシャクする方が当り前です。
 だから譲り合う精神のない個人の集合体である国家や社会がギクシャクする・・・。美しい日本がすぐにギクシャクして死語になったのも、日本の離婚率が3組に1組の夫婦と家庭の崩壊にあるのかも知れません。久し振りにこのことばを使いますが、ミクロなくしてマクロなし。ミクロの健全なくしてマクロの健全もありません。
 離婚後に残ったロ-ンの配分とか、裁判所の事後処理なんかどうでもいいことです。離婚しなきゃいいだけの話し。その秘訣は知恵でしょうか? 真の知恵で自らの家を建てれば、自らこれを壊す愚かさを犯すことも、ロ-ンの割り当てもへったくれもないはずです。

444 きれいに別れる良いギタ-の材質(4) 26-04-2011(火)

 日本は国難の時ですが、続けてスペインギタ-コルムナして行きます。
 新品でも使用木材が古いほど音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる新しい良いギタ-(先週のコルムナ)。これは意外と盲点ですね。
 どうも古いと聞けばガタが来ていると同意語だと思うのが人の先入観の様ですが、建材は知りませんが、こと木製楽器の使用木材に関しては却って音質向上の決め手でさえあります。
 ですから、無理矢理機械乾燥させる量産ギタ-は論外ですが、手工ギタ-の品定めの一つは使用木材の古さです。  
 例えば、工房やギタ-専門店でこのギタ-の木はどれ位寝かしてありますかと質問すれば、この客は少しは分かる客みたいだから侮れないなと思わせる間接的な駆け引きにもなっています。
 もちろん、いい気になって量産品丸出しの10万円のギタ-を指差してこの質問をすれば、自らの無知を曝け出して商業主義に侮られることにもなります!?

2011-04-18

469 金は稼げるうちに 19-04-2011(火)

 今週欧米社会はイ-スタ-。地元グラナダのホテルは連日満杯で、アルハンブラ宮殿も4月10日には既に5月3日まで予約完売状態。
 あたかも世界的大不況など存在しないかの如き遊び三味ですが、理由はご存知アラブ世界の政情不安です。本来あちらに行く筈だった旅行者がスペインに流れて来て大盛況なのですから、これは絵に描いた様に風が吹いて漁夫の利を得る桶屋そのものです。
 イラク戦争の時、あれほど騒いだ反戦デモ隊のスペイン人もアラブ人同士が殺し合っている分には一切無感動無関心。けったくそ悪いアメリカが絡んでなければ反戦気分にはならないのです。結局反戦ではなく反米だと素直に言えないところが人間様の身勝手さなのは世界的傾向かも知れません。

 人は天から与えられなければ何も受けること能わじ。-----或る昔の偉い人

 しかし、せいぜい一週間のイ-スタ-とメ-デ-連休の盛況なら今日のパンに明日は空腹(スペイン語の言い回し)です。隣国ポルトガルがギブアップした今、明日は我が身と分かっているからこそ、先週サパテロ首相もわざわざ中国までスペインの赤字国債の売り込みに行って来たのでしょう。
 蜻蛉の様な束の間の観光立国スペインの連休景気に、魂胆丸出しの笑顔で世界の赤字国債を買い漁る意地汚い中国。
 最後に何も受けること能(あた)わじとか言われたらショックでしょうね。最後にと言うのは人生の最後にと言う意味かも知れませんし、もっと早期の場合もあるでしょう。我々のことです。
 いえ、受ける価値観から与える価値観に大転換してこそ、実は受けること能うのが人生の逆説の大真理だとすれば、これは立ち止って考えてみる価値はありそうです。アラブ諸国の独裁者達はいい気になって立ち止って考えてみることさえ頭を過ぎらなかったからこうなったんだったりして!?

443 きれいに別れる良いギタ-の材質(3) 19-04-2011(火) 

 日本は国難の時ですが、続けてスペインギタ-コルムナして行きます。
 どうしても人は古いより新しい方に目が行きます。例えば、オバはんより若い娘!? 確かにそうかも知れませんが、演歌なら人生の経験を積んだオバはん歌手の方が年季が入っています。一概に総て新しいのがいいとは言えないはギタ-も同じです。
 それでもどうせ買うなら新しいギタ-と思うのが人情かも知れませんが、それなら古い木材を使った新品のギタ-でどうですか?
 ギタ-は古いほど、そして、新品でも使用木材が古いほど音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる新しい良いギタ-であり得ます。
 もちろん、ギタ-も木も生物ですから理詰めの規則とはなり得ませんが、古さこそ良いギタ-の秘訣だとはっきり言えます。

2011-04-11

468 我欲に赤旗 12-04-2011(火)

 大地震と大津波から1ヶ月経ってまだ1万数千人の行方不明者。物凄い大災害だったことが伺えます。
 結構行われているチャリティ-イベントなども総ては無料奉仕の様です。当り前と言えば当り前ですが。 ところで、筆者の学生時代、下級生で学内で熱心に赤旗を配っている奴がいました。そんなエネルギ-があったら他のことに使えよ、と面と向かっては言いませんでしたが、今でもそう言いたくなるであろうことに違いはありません。誰がソ連や中国の共産主義を見て憧れるでしょう?
 ところが、スペインに来て何年か経った頃、皆が誰の物を誰の物とも思わず、皆で生産して必要に応じて分け合えばいいんじゃないのか? そうすれば総ては丸く収まるし、そうなったらもはや金も警察も刑法も要らないし、と思いつきました。
 そして、すぐにあれ、こりゃ共産主義じゃないか、と気付きました。
 そんな崇高な共産主義を強欲で身勝手な人間様に実現出来ると思ったことが共産主義の大失敗の元凶であり、共産主義自体はむしろ理想であると筆者は現在思っています。ただ、人間が人間である以上、これは実現不可能であり、現に人間社会は理想郷どころか、全く逆方向に歪みに歪んだ奇形社会になってしまったのが人間様の現実です。 そんな中、今回ボランティアに無償奉仕に差し入れ・・・。これは正に、被災地区限定ですが、共産主義の実践じゃありませんか?
 仮に税率が平均収入の30%なら、社会形態は資本主義ですが、それは30%の共産主義だと言えなくもないはずです。そして、こう言う時こそ税金を被災地に回すのが税金の本筋のはず。隣人愛の精神に基づいた税金なら大いに結構じゃないですか。

 受けるより与える方が幸いです。-----或る昔の偉い人

 こう言う日本人の隣人愛と共産主義の精神が垣間見える今回の無償奉仕に差し入れだと筆者は感じます。物資やチャリティイベント自体ではなく、その根底にある精神の問題です。垣間見えるのではなく、謙遜に丸出しでやれば、かつて死語となった美しい日本も夢じゃないかも知れません。
 そのきっかけが大災害なのが皮肉ですが、痛い目をしないと分からないのもまた愚かな人間様の本性かも知れません。
 人間様にはこの元来持って生まれた我欲の愚かさと、与えることを惜しまない隣人愛の両面があるのかも知れません。両面備わっていない人はいない、しかし、隣人愛の側面の顕著な人ほど、いわゆる良い人であると言えるのでしょうね。
 とか何とか言いながら、世の中おかしくなると後醍醐天皇の建武の中興みたいな世直しや今回みたいな無償奉仕やタイガ-マスクで持ち直し、そして、持ち直してはまたダレて上流からか下流に流されて行くのが人間様とその歴史かも知れません。
 受けるより与える方が幸い・・・。今回のポルトガルとEUには当てハメても当てハマらないことは明らかですよね(先週のコルムナ)。

442 きれいに別れる良いギタ-の材質(2) 12-04-2011(火) 

 日本は国難の時ですが、続けてスペインギタ-コルムナして行きます。
 誰でも消費者なら古いものは嫌うかも知れませんが、ギタ-は生鮮食料品ではなく、枯れるほどに味わいが深まるいぶし銀だと価値観を一変して下さい。古いほどいいのです。
 古ければ商品価値が落ちるかどうかはともかく、こと音に関して言えば、ギタ-は古い方が良く鳴ります。良く鳴ると言うことは現在コルムナのテ-マである音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる良いギタ-だと言うことです。
 木材の気孔内部の樹液が年月の経過と共に乾燥し、木材自体の音の通りが良くなるためです。 逆に言えば、音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる良いギタ-の条件の一つは古いギターであると言うこと。そして、新しいギターでも古い木材を組み立てた新しいギターかどうかと言うことです。
 死んだ目の魚の出来立ての上手い刺身はあり得ませんが、古い木材で作られた、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる新しい良いギタ-はあり得ます。

2011-04-04

467 次はポルトガルか!? 05-04-2011(火)

 東日本大地震とリビア情勢で影に隠れた感がありますが、先月22日自らが提案した引き締め経済政策を国会で野党に拒否されたポルトガルのソクラテス首相が頭に来て辞任。ギリシャ、アイルランドの次はポルトガルが風雲急を告げそうです。
 翌23日EUはより強力な経済引き締めを条件にポルトガルに750億ユーロの融資を検討
 30日ポルトガル政府は2009&2010年の赤字が公表よりもかなり多かったこと発表(嘘を吐いていたのか!?)。
 同日遂にポルトガル議会が解散し、朝日新聞にまで掲載
 元々経済力も産業もないポルトガルが倒れてもEU自体大した影響はないと言われてはいますが、隣国と言うこともあり、かなりのスペイン資本も投入されているポルトガルが破産して無事でいられるはずがないスペインとも言われているこちらのマスコミです。
 確かにギリシャの4倍の経済力のスペインがEUとIMFの介入を受ける事態にでもなればドイツ人もこれ以上黙ってはいないでしょうし、相当の金をIMFに注ぎ込まざるを得ない日本ももう少しギャアギャア言ってもいいのかも。
 まずはポルトガルかも知れませんが、ヨ-ロッパには近い将来別の津波が押し寄せるのかも知れません。

 誰に対しても何の借りもあってはいけません。ただし、互いに愛し合うことについては別です。-----或る昔の偉い人

 これは借りとは金の貸し借りだと言う低次元な概念を超越した崇高な借りの定義です。我々はもし隣人に対して、そして、動物や自然界に対してさえも施すべき愛や誠実を施さないなら、それは彼等に対する道義的な借りを負うことになります。思えば様々な社会問題や国際問題はこの人としての借りを作り、その借りを借りとも思わず更に踏みにじることに拠って生じた不良債権(借り)とも言えます。
 借金を重ねればバブルがはじけ、愛と誠実の借りを踏み倒せば人間自体が基盤沈下します。隣人愛の精神だけが零落した人間にとって唯一の再浮上の道です。浮くか沈むか。人として沈まなければ借金地獄に沈むこともないでしょう。

441 きれいに別れる良いギタ-の材質(1) 05-04-2011(火) 

 日本は国難の時ですが、続けてスペインギタ-コルムナして行きます。
 それでは、それを聴き分ける耳があるかないかは別にして、音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる良いギタ-を木工の面からコルムナしてみましょう。とは言え、筆者は力木の太さや配列など内部構造と音の因果関係については分かりませんので、主として材質と塗装の観点からコルムナします。
 まず、ギタ-なら材質は木ですが、この木よりあの木の方がより音が分離し易いと言う木材の比較ではなく、どんな木材のギタ-も古いほど音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる良いギタ-だと言えます。
 日本の常識は世界の非常識なることばがありますが、それはギタ-に限らず楽器選びにおいてもそうかも知れません。トランペットなど金管楽器は知りませんが、ギタ-に限らず木製楽器は、事音に関しては古い方が音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる共通点があります。
 一般的に古い物は新しい物に比べて軽視されがちですが、ギタ-の音色に関して言えばこの常識は逆転します。