2011-07-25

480 何の原理じゃ、原理主義!? 26-07-2011(火)

 ノルウェーにも気違いはいることを証明した22日の事件でした。
 爆弾に散弾銃。どうやら原理主義と名がつけばロクな奴がいないのは世界共通の様です。今回のキリスト教原理主義、ご存知イスラム教原理主義、ユダヤ教原理主義・・・。
 原理と言う言葉自体は如何にも我こそはとあたかも核心を突いたニュアンスですが、いずれも宗教を隠れ蓑にしたヒトラーの親戚に過ぎないことはアルカエダや今回のテロが十分その行いで説明してお釣を顔に叩き付けて返してくれます。
 飲む打つ使うが遊びがあり過ぎて制御不能で事故を起こすハンドルやブレーキだとしたら、こうでなきゃいかん、それ以外は邪道だ、ガス室だとわめき散らすのは逆に遊びが全く無いぎすぎすしたハンドルやブレーキだと言えます。全く真逆に思える両者ですが、両者共制御不能で事故を起こし、時として甚だしく他人を巻き込むに至る共通点があります。
 中学校の理科の授業だったと思いますが、先生がいわゆる火傷も低温火傷も治療は一緒と言っていたのを思い出します。両極端な様で症状は同じなのです。

 偉い人になるな。清い人になれ。-----或る昔の偉い人 

 この犯人によればスペインのサパテロ首相はイスラム教徒に魂を売ったんだそうです。確かに地理的に近いこともあり、スペインにはモロッコの移民が多いのですが・・・。
 偉い人になり過ぎると上から人を見下して爆弾を投げて銃で撃ち殺したくなる・・・かも知れないとすればこれは一理ありますね。なるほど、清い人なら確かに政治家みたいに汚職はしないでしょうし、ましてや無差別テロなど起こり得ない話なんですよね。
 現代社会の元凶は偉い人が多過ぎるためかも知れませんね。

454 大したギターはセラック手塗り(1) 26-07-2011(火)

 5年ほど前になります。製作家のフランシスコ・アルバ氏とセラックニス塗装の重さを量る実験をしました。セラックニス(通称セラック)とは総ての高価を装った中堅ギターに施される訳ではないが、本当の高級手工ギターなら総てそうだと言ってもいい、最高級塗装のことです。
 つまり、グラム単位の精巧な量りでギタ-をセラックで塗る前と塗り上がった後の重さを計量してみました。何とマイナス2g!? 何かの間違いだろうとしか思われず、もう2本のギタ-で実験してみました。結果は2本共差し引きゼロ、つまり、セラックを塗っても塗る前と全く同じ重さでした。これには私はもちろん、製作家の氏も意外だった様です。セラックには木材の湿気を吸収する作用があるのでしょうか? これについては研究の余地有りで結論付けることは出来ませんが、セラック塗装は正にワイシャツ、しかも、ごく薄手のワイシャツだと言えます。音の出、伸び、遠達力など、総てにおいて層の厚いピストル塗装に遥かに優ることは疑い様のない事実です。

2011-07-18

479 ラジオから学ぶ正しい家庭 19-07-2011(火)

 筆者はくだらない番組の洪水みたいなテレビは見ません。4、5年前から見てはいませんでしたが、スペインは1年ほど前、既に地デジ完全移行。これを期に古いテレビは捨てました。
 その分ラジオは聴きます。とは言え、気が向いた時に日に3、4回毎時のニュースを聴くだけなのですが・・・。
 先週ニュースに付随するニュース解説か何かで聞いた次の一句が印象に残りました。
 家を建てるとは家ではなく、家庭を建て上げること。
 バブル崩壊に伴うローン倒れ、差し押さえの多いスペインの世相を反映したニュース解説か何かでしたが、バブル大国スペインの割には事の本質を衝いたまともなコメントじゃないかと思いましたね。

 人は天から与えられるのでなければ、何も受けることは出来ない。-----或る昔の偉い人 

 住居の本質は人が住むこと。そして、そこに家族が住んで家庭を築くこと。つまり、銀行に借金してまでいい家に住みたい、転売して売ろうと思った不純な動機の時点で事の本質を激しく踏み外しています。
 ボタンの掛け違えと同じで、それ以降のボタンをどんなに真面目に誠実に、或いは謙遜にさえ掛け続けたとしても、全体の着こなしがぎこちないことは避けられません。それ以降のボタンの問題ではないのです。
 人もまた人生が上手く行かない時、掛け違えたボタンまで遡らなければ、真に人生をリセットすることは出来ないのかも知れません。
 それでも住宅ローンに関しては首が回らなくなってからでは遅過ぎると言えます。
 それは国レベルでも言えるから怖いギリシャかな(筆者)。
 対岸の火事どころではないかなスペイン(筆者)。
 それに引き換え、本気で尻に火が点いたか、先週末の意外と早いイタリアの対応には正直驚きました。裏を返せばイタリアの経済状態はそれほど悪いと言うことでしょう。
 皆受け様受け様と自らの強欲で中身のない風船を膨らませて弾けて、急激にしぼみ始めてあちこちガタが来ているのが今の世界経済かも知れません。
 ローン倒れの人もローン完済マイホームの人さえも、建物自体の金銭的処置ではなく、その中の家族家庭が如何に人として建て上げられているかの礎石に注意しなければ、気が付けば崩れ落ちて何も受けてはいなかった事態に人生陥ることは国と時代を問わないかも知れませんね。

453 大したギターじゃない塗装(2) 19-07-2011(火)

 前回の続きです。Tシャツに短パンの高橋尚子選手かセーターにトレパンの高橋尚子選手かを見分けるギターの塗装の薄い厚いは塗料の溜り易い角度のある木の接合部分、特にギターの竿(ネック)と側面板の接合部、そして、ブリッジ周辺が目につき易い箇所です(コルムナ450)。
 読者のギターのこれらの部分に塗料が溜まっていれば、少なくとも塗装に関しては安物か、大したギターではないことになります。溜まり方にもよりますが・・・。
 しかし、塗料なんだから、多かれ少なかれ、厚かれ薄かれ、溜まらない塗料なんてないんじゃないですか?
 あったらどうしますか? 次回は大したギターの塗装です。

2011-07-11

478 臨終間際に大当り 12-07-2011(火)

 たまにコルムナに登場してもらう行きつけのBarのオヤジ。スペイン人には珍しく酒もタバコもやりませんが、唯一の楽しみは宝くじ。
 先日朝カウンターでコーヒーを飲んでいると宝くじが当った叔父さんの想い出話になりました。
 20年ほど前の話で、300万ペセタ。ペセタ(peseta)とはユーロになる前のスペインの通貨で、当時のレートは覚えていませんが、大体500万円ほどじゃないかと思われます。大金ですね。
 やったーとは本人は思わなかったらしいです。抽選の日、本人は病床で昏睡状態。家族も知らせることなく臨終。
 運命の皮肉や宝くじ(絶句)。だったりするかも知れません。

 人は天から与えられるのでなければ、何も受けることは出来ない。-----或る昔の偉い人

 多くの人の価値観が金と物であることに民族の違いなどありません。
 真に何かを受けるための秘訣は、まず金と物以外の価値観人生観を持つことだとこの金言は図星を衝いているはずです。
 何も、と言ったら何も・・・でしょうね?

452 不況で競売不成立アルハンブラ 12-07-2011(火)

 これは何と、畏れ多くも賢くも(漢字は合っているか?)、Francisco Tarrega(フランシスコ・タレガ)直筆のRecuerdos de La Alhambra(アルハンブラの想い出)のオリジナル楽譜です。
 ギターを弾いてみ様かと言う人のほとんどが『禁じられた遊び』かこの『アルハンブラの想い出』がきっかけになっている名曲です。1899年作曲。
 晩年アルハンブラ宮殿を訪れたFrancisco Tarregaが宮殿の水音にインスピレーションを受けて作曲したそうです。読者もいつか訪れると分かりますが、庭園はおろか、宮殿内部まで自然の圧力で水をふんだんに引き込んだ、水に我々以上に価値観を持つ砂漠の民族アラブ人にとって贅沢を尽くした設計です。
 そして、これは先週土曜日9日にバルセローナで行われた、畏れ多くも賢くも競売の記事です。
 しかも、発値80000ユ-ロ(約950万円)から誰も欲しがらず競売にならず!?
 それが良かったのか悪かったのか・・・。

2011-07-04

477 自分で栽培すれば利益倍増 05-07-2011(火)

 先週人は蒔いたものを刈り取るとコルムナしましたが・・・。
 一昨日日曜日の地元新聞一面のニュースによれば、筆者の地元グラナダ市及びグラナダ県全域でマリファナの自家栽培が流行っているそうです!? と言うことはスペイン全国でも似たり寄ったりでしょう。
 警察によれば今年の検挙はまだ7件だけですが、意外と簡単な栽培方法と利益率から考えて、相当拡がっているだろうとのことです。
 170鉢で6Kgの収穫は末端価格で約24000ユーロ(約300万円)。街では1グラム4ユーロ以上で売られているそうです。
 そして、このネット記事に寄せられたロクでもない市民のコメント2つ。
何が4ユーロじゃ。1グラム2ユーロで買えるぞ。警察に騙されちゃいかん。
ついこの前アムステルダム行ったけど(麻薬合法国家オランダ)、バルのテラスで良質の草(マリファナ:販売は同店内)を吸う気分は最高じゃ。もちろん誰も何も言わんし、言われることもない。皆人間が出来とるわい。

 人が若い時にくびきを負うのは良い。-----或る昔の偉い人

 これはいわゆる日本語の諺で言う“若い時の苦労は買ってでもしろ”と言う意味のくびきのことでしょう。ま、極めて残念ながら、今の日本の若い親達もそうでしょうが、スペインでも可愛い息子・娘にくびきなんかとんでもないと言う、結局我が子を激しく害するに終わる、何でも買い与えて叱ることを知らない様な甘いしつけのバカな親が多過ぎます。その結果がマリファナとは、この国では決して飛躍し過ぎた想像でも何でもありません。売る方も売る方ですが、買う方も買う方なのです。
 しかし、毒は毒。毒を飲んで、しかも、好んでがぶ飲みして健康でいられる人はいません。死に至るくびきを自ら好んで自らの首にがっちりハメるだけです。首が回らない借金地獄の方がまだ麻薬よりましです。
 人は蒔いたものを刈り取る。この真理を子に教えてやるのが親の義務のはずですがね・・・。

451 ある所にはあるもんじゃ!? 05-07-2011(火)

 先週末うちの量産ギターを依頼しているPrudencio Saez社長が遊びに来ました。製作所の夏休みまでまだ1ヶ月ありますが、スペイン南部の得意先を回っているとのことでした。
 別の都市のギター専門店を訪れた時のこと。偶然あるお爺さんが古めかしいカビの生えた様なギターケースを持って入って来たそうです。
 糸巻きが古うて動かん。新しいのと換えてくれや。
 そこで店の主人がギターを見てみると、何と1862年のAntonio de Torres(アントニオ・デ・トーレス:1817~1892)!! 近代ギターの開祖。ギター界のスタラジバリウス。それまでか細い音しか出なかったマイナー楽器ギターを現在の形にした大製作家。
 いくら同じスペインとは言え、こんなものがポ~ンと目の前に出て来るか、と思わず眼を疑ったPrudencio Saez社長と店の主人。材質はハカランダで製作番号は22と書いてあったそうです。
 ところが、この爺さんはAntonio de Torres言うて誰や!? 
 無邪気は時としてバチ当りかも知れませんね。いや~、筆者も見たかったです。