2009-09-28

390 絶景アルハンブラ宮殿 29-09-2009(火)

 観光立国スペインのドル箱アルハンブラ宮殿はユネスコの世界遺産。先日、さすがに今年は世界的経済危機で観光客は明らかに減少しているとのニュ-スがあった。と言うことはホテルもレストランもお土産屋さんも飛行機もバスもTaxiも一蓮托生の運命にあることは容易に想像が付く。
 ところで、グラナダ市内には2つ、つまり、もう1つユネスコの世界遺産がある。アルハンブラ宮殿真向かいのアルバイシン地区。昔の日本語観光ガイドブックではアルバイシンの丘となっている。スペイン語でEl Albayzin(エル・アルバイシン)。訳せばザ・アルバイシンなので、純粋に訳語としてはアルバイシン地区の方が近いが、誰がどう見ても明らかな丘なので、アルバイシンの丘の方が日本語としては遥かに現物に近い。筆者は旅行者にはアルバイシンの丘と言うことにしている。
 このアルバイシンの丘。何があると言う訳ではないが、丘全体がユネスコの世界遺産に指定されている。元々517年前までグラナダに居たアラブ人が作った街並みはとにかく細い。暑いアラブの国やスペイン南部の旧市街では日陰をたくさん作るため、道と言うより細い路地が主体になる。また、迷路の様な造りは当然当時の軍事的理由もある。
 ところが、これが今日強盗して逃げるには格好の街並みであり、頻発と言う訳ではないが、首絞め強盗もたまにある。犯人を捕まえてみたら皆見事にモロッコ人!? 最初は日本人だけ狙ったのではないだろうが、盗んでみれば日本人の財布が一番入っているので、当然稼働率で日本人と言うことになる。連中もモロッコで貧乏するよりはスペインで日本人の首を絞めている方が豊かな人生を送れると言う訳だ。やられた中年夫婦にいくら財布に入っていたかと訊けば平然と20万円です~!? 後から来る日本人のために良くない。もちろん、盗む奴が悪いのだが、是非とも盗まれる側ももう少し気合を入れてもらえれば未然に防げる被害はいくらでもある今日のスペインなのだ。
 そのアルバイシンの丘の一番の見所は何と言っても一番高い所にあるサンニコラス展望台から正面に見るアルハンブラ宮殿。筆者は旅行者には危険なので、少なくとも上りは市バスを使う様に勧めている。とは言え、細い道だらけなのでマイクロバスの市バスだ。ヌエバ広場から乗る時、運転手さんに一言サン・ニコラス(San Nicolas)と言って置けば教えてくれる。これだけの景色が見えれば言われずとも誰でも分かると思うところだが、実はバス停は展望台の一歩下にあり、ここから宮殿は微塵も見えないので、初めての来訪者は運転手の声を頼りに降りて、そこから30秒上に歩いて展望台に上ることになる。

 気違いは燃え木を死の矢として投げるが、 隣人を欺きながら、ただ戯れただけではないかと言う者もそれと同じだ。-----或る昔の偉い人 

 と、先日も日本人男性旅行者2人にそう言って送り出しました。2人は確かに乗る時に運転手さんに筆者が教えた通りサン・ニコラスと言いましたが、すぐに運転手さんに携帯が入り、ずっと喋りっ放し。結局すっかり忘れられ、一周して元に戻ったとか!? いや~、スペインを満喫しましたよ(談)!?
 筆者は別に驚きもしませんでした。日本人から見れば火星人の様なこのスペイン人の無責任感はまさにパタリロの異次元空間ごっこ(←分からない読者はお父さんに訊いてね)。笑いの種には最高です。もちろん、スペインでも携帯片手の運転は一応交通法違反で罰金ですから、自己中漫才の上塗りにも手抜きは一切無し!?
 しかし、他人の漫才を見て笑っている内はいいですが、こう言う連中と共同生活や共同事業となれば話は全く次元空間ごっこ。
 やはり、現実離れした漫才は見るだけにして、首を突っ込まない方が身のためです。自らの首を絞めることにもなりかねません。今年のグラナダは国際結婚の離婚ラッシュです。

364 良いギタ-は売れるギタ-か!?(1) 29-09-2009(火)

筆者はコ-ラ&ファンタは夏の暑い日に人から勧められれば喜んで美味しくいただきますが、自分から金を払って飲むことはしません。砂糖毒色水に金を払う価値を見出さないからです。普通英語が母国語の国は飯がまずいのが常識ですが、いかにも食文化がなく金に目聡いアメリカ人が思い付きそうなビジネスです。
 二束三文の砂糖毒色水の最小の投資で最大の利益を上げる訳ですから、ある意味確かに理想のビジネスなのですが、日本の味噌汁やスペインのガスパッチョの様に歴史や食文化の香りが一切しないところが筆者は鼻に衝きます。単に金銭的利潤だけを唯一の目的としているからこの様に飲んで栄養にも何にもならない商品を世界中にばら撒いて何とも思わないのでしょう。
 ところが、母ちゃんの味噌汁の方が遥かに栄養も愛情もあることは白日の下に明白ですが、ビジネス的価値は遥かにコ-ラ&ファンタなのです。
 売れる食品が栄養価が高いとは言えませんが、栄養かビジネスか・・・? ギタ-の場合はどうなのでしょう?

2009-09-21

389 友情余って憎さ致死量!? 22-09-2009(火)

 日本ではどうか知らないが、スペインではたまに普段おとなしい飼い犬が急に人に激しく噛み付いて重症や死亡に至るニュ-スが報道されることがある。
 また、ある人が檻の中のネズミ達に四六時中ハ-ドロックを聴かせる実験をしたところ、ネズミ達は凶暴になり、オカマになったとか!?
 そして、先週スペイン地中海岸の主要都市バレンシア市のがぶ飲み屋街近くである若いのが別の若いのと喧嘩になり殺してしまった事件が今全国ニュ-スで話題となっている。
 ディスコ帰りで薬と酒が入った連中同士の殺傷事件なら、文字通り右を向いても左を見てもバカと阿呆の絡み合い(鶴田浩二談)。これだけなら今日のスペインでは大したニュ-スにならないだろうが、一緒に飲みに行った、長年気心の知れた友人同士が加害者被害者だったことが世間の関心を惹いているらしい。  
 日本でも親しい友人にしつこくマルチ商法を勧めて長年の友情をぶち壊す奴がいるらしいが、これは関係ないか!?

 あなたの隣人をあなた自身の様に愛せよ。-----或る昔の偉い人 

 友人でありながら、実は個人的な怨恨がなかったのかどうかこれから警察が調査するのでしょうが、何もそんなに難しく考えることはありません。
 知性のないネズミさえ猛毒を食らえば更に知性を失うとすれば、薬と酒と悪魔的な音楽に脳みそが漬かった哺乳類のヒト科だけが発作を起こさない方が不思議なのです。
 人間には他の動物にはない良心や友情の抑止力があります。しかし、これをぶち壊す発作起爆剤があることも世の多くの事件、そして、今回のこの事件が大便しています。
 その解毒剤はやはり隣人愛しかありません。良く考えれば簡単なことなのですが・・・。
 

363 良いギタ-は良い素材か!?(5) 22-09-2009(火)

 先週先々週と悪い素材から生まれた良いギタ-&良い素材から生まれた悪いギタ-の実例をご紹介しながらコルムナしてみました。
 それではこれら2本の商品価値はどうなのでしょう? ことばを変えれば、これら2本を目の前にしたギタ-ショップ経営者の心境は如何なものでしょう? 
 まず、先々週の様に見た目は悪いが良いギタ-の場合。と言うか、名工の骨董品なら話は別ですが、見た目が悪ければ製作者も日本向けには送らないでしょうし、業者も頭から扱いもしないでしょう。それでも、もし店にあるとすれば、なるべく安く売って金に変えてお終いでしょう。従って、名工の骨董品で歴史的価値があり、しかも抜群に鳴ると言う場合以外このケ-スは考えられません。早い話、見た目は悪いが鳴りは良いギタ-は悪いギタ-だとギタ-市場では烙印を押されると言うことです。
 次に、先週の如き良い素材から生まれた悪いギタ-。見た目も木工としての仕上げも文句なしの場合。まず、鳴らないのですから利く耳を持っている客なら買わないでしょう。店主もそれは分かっていますから、利く耳を持っていなさそうな客に『これは有名な製作家の作品で、しかもハカランダを使った最高級品ですが、これだけにしておきましょう』とか適当なことを言って、何とか捌こうとするのでしょう。売れ残りにする訳にはいきませんからね。
 結局、いずれにせよ素材の良し悪しと外見の比重が高いことになりますし、あくまでギタ-を金に換えて何ぼの商品としか見ないことになりますね。
 しかし、レオ-ナではあくまでギタ-は音色で判断します。今後もお付き合い下さい。

2009-09-14

388 スペインで脳みそシェイク 15-09-2009(火)

 筆者は今右肘が痛い。1ヶ月前石鹸の泡で足が滑って風呂場でコケた。滑ったと思った瞬間既に真後ろに向って激しくコケている最中だった。一瞬ちょうど3ヶ月前にバックドロップで亡くなった三沢光晴選手のことが頭を過ぎったので、不意打ちにならない様、とにかく後頭部に意識を集中することを咄嗟に思い付いた。
 と思ったら、それと同時に真後ろに後頭部から床にぶつかっていた・・・らしい!? それでも意識していたのが良かったと見え、気を失うことはなかった。
 気は失わなかったが、これが脳みそシェイクと言うのか、しばらく脳震とう状態で頭が放心状態に陥った。2、3分だっただろうか、意識がしっかりするまで待って、しっかり休んで立ち上がった。
 いくらマットとは言え、バックドロップは利くだろうなと思った。やはり、人間自ら痛い目に遭わなければ経験として分かるものではないことも良く分かった。
 そう言えば、確か力石徹の死因はダウンした際ロ-プで後頭部を打ったことだったと記憶しているが、あれはあながちマンガだからとも言えまい。
 ところが、後頭部に全神経を集中した分、気が付けば思い切り右肘をタイルの床に叩き付けていた。まだ痛い。エルボ-ドロップの自爆もまた痛いと言うことを身を持って体験した。 

 逃げる雀の様に、飛び去るつばめの様に、いわれのない呪いはやって来ない。-----或る昔の偉い人 

 当たり前のことですが、年齢と共に反射神経が鈍って来ましたし、階段を上れば足がすぐ疲れ、息切れもします。そんなことは人間なら万国共通です。
 それでも日本人がスペイン人に限らず欧米人より肉体的に優っているとすれば、それは老けるのが遅いことでしょうか。筆者より年下で更年期障害みたいなスペインのおばさんは数知れず。見た目は完全に初老です。
 今週はこじ付けコルムナかも知れませんが、人生鍛え様のない急所に意識を払わなければ不慮の事故で脳震とうで後遺症かも知れません。しかし、一度痛い目をしなければ急所が何かさえ経験的に分からないのもまた事実です。それはスポ-ツのみならず、社会生活や経済活動など様々な分野にも言えることかも知れません。
 それでも普段から人生おかしな〝いわれ〟をつくらない様に注意していれば致命傷は防げそうです。対策はファ-ルカップか!?

362 良いギタ-は良い素材か!?(4) 15-09-2009(火)

 先週は最悪の素材で最高のギタ-が出来た究極の逆説の真理の例を背理法で挙げてみました。正に〝ボロは着てても心の錦~♪〟か!?
 今週は良い素材の場合です。高価な良い生地だからと言って、仕立てを間違えれば良い服にはならないと言えば分かり易いでしょうか? 
 筆者はある同じ製作家のハカランダのクラシックギタ-2本持っています。
 ハカランダは英語でブラジリアン・ロ-ズウッドと言われ、ワシントン条約で絶滅危機品種として伐採交易を禁止制限されています。ここ数年ギタ-雑誌やギタ-店サイトからこの表記が消え、代わって中南米ロ-ズとなっているのはこのためです。かぼちゃを南京と呼んで税関を欺くかの如くですが・・・。
 この2本のうち1本は極上の出来です。もの凄い音量にスペインギタ-らしい乾いた深みのある音。やはりハカランダは違うと納得させられます。しかし、もう1本はこれが同じ製作家が同時に作ったものかと思わず目を覆いたくなる様な酷い出来です。思わずハカランダにもハズレはあると納得させられます。
 一方は売りたくなくなるほどの出来映えで、他方は最高の素材でも今一ギタ-になり得ると言う、このコルムナの生き証人として手元に残しておきたいほどの出来の悪さです。
 一方は指先が軽く弦に触れるだけで大きな音が出ますが、他方は力を込めなければ音が出てくれません。
 同じ製作家で2本同時製作。作りも材質も全く同じなのですから不思議です。
 もっとも、ギタ-でも何でも仕事はその人柄を反映するものでしょう。良く観察していると、国民性も手伝って、むらっ気のあるスペイン人製作家には意外とこの出来不出来の差が目に余ることも珍しくない様です。

2009-09-07

387 白昼堂々愛の口づけ!? 08-09-2009(火)

 筆者は見た。これは家政婦は見たと同じノリだと思ってもらっていい。ここまで長寿番組だとは思ってもみなかったのが不幸中の幸いか。いや、当事者達が幸いならそれでいいのか、いや、悪いのか!? 何が何だかさっぱり分からんのが今週のテ-マ。
 スペインは3年ほど前から男同士女同士が合法的に結婚出来るオカマ大国なので、今まで見なかった方が不思議だったのかも知れないが、筆者はあんなの初めて目の前で見たのだ。
 白昼堂々と街のど真ん中でうっとりした目で愛の口づけを交わす若い男と男!? どうやら愛を確かめ合っているらしい。
 昨日やって来た日本人旅行者に日本でもたまには見る光景かと訊けば、そんことはないと言う。当たり前じゃ。あって堪るか。しかし、情熱のスペインではもう何でもありなのだ。
『グラナダとカリフォルニアは良く似ている。一つ、同じく同じ名前のシエラ・ネバ-ダ山脈がある。二つ、同じくオカマが多い!?』とは地元で昔から言われるジョ-クだが、何のことはない、ジョ-クどころか真実の串刺しなのだ。
 そう言えば、もう8、9年前の話。ある旅行者が気軽に入ったつもりのBar(バル:日本で言う喫茶店)でどうも雰囲気がおかしいと思ったら、その辺で男同士がディ-プキスで舌を絡め合っていたので、ヤバイと思って逃げる様に飛び出したそうだ。

 自然自体がそう教えてはいないでしょうか。-----或る昔の偉い人

 ヤバイ連中が大挙して投票すれば、それが民主主義の正義の横車法案でヤバイ法律にさえなる。ヤバイ世の中になったものです。
 昔オカマの天罰に天から硫黄が降って滅んだソドムと言う町があったと記憶していますが、ヤバさも極めれば天罰もまたジョ-クには聞こえません。ただ、世の大半の人には天罰などジョ-クなのでしょう。
 日本でも法律にこそ成りはしないでしょうが、どうせ容認の風潮があるのではないでしょうか?
 人間同士お互い分かりあい同情し合うことはむしろスペイン週間コルムナの目指すところでもありますが、自然を歪めての愛情や同情など単なる真実の歪曲であり、真実の歪曲を寛容と取り違えれば天罰が下っても不思議ではないのが21世紀の現代社会かも知れません。困ったものです。

361 良いギタ-は良い素材か!?(3) 08-09-2009(火)

 それは知る人ぞ知る、近代スペインギタ-の開祖アントニオ・デ・ト-レスの小振りのギタ-でした(先週のコルムナ)。
 本体はシコモ-ロ材。かえでの親戚のこの木は現在でも安い木材です。しかも、ギタ-全体節目だらけ。何せ1世紀以上前の話。生前のカ-ノ先生に拠れば、当時は木材の流通が現在ほどなかった時代だったので、ト-レスも現在個人製作家なら絶対使わない様な質の良くない木材でギタ-を作る以外手はなかったそうです。裏板が3枚寄せと言うのも、大きめの材料がなかったのでその辺にあった小さめの余った木を継ぎ足したとのこと。別に皆が2枚寄せにするから3枚寄せにしてみ様と言う奇抜な発想でも何でもなかったと言うのが真相です。
 要するにどうでもいい木の、更に節目だらけの最低最悪の木材で作ったこのギタ-こそ弘井俊雄先生に拠ればカ-ノ先生のコレクションの中で最高のギタ-だったと言う訳です。
 これ一本で十分背理法が成立して余りありますね(同359)。
 歴史的名工の作とは言え、少なくとも悪い素材から必ずしも悪いギタ-が生まれる訳ではないことが十分証明されています。