2012-10-30

543 グラナダがNHKに出る!! 30-10-2012(火) 

 とは言え、グラナダ県の海岸の話。
 昨日の新聞の記事の見出しの一つに何とUna televisión japonesa graba un reportaje en Almuñécar(アルムネェカルで日本のテレビがルポを撮影)。
 Almuñécar(アルムネェカル)とはグラナダ市から車で1時間15分の地中海亜熱帯海岸の町。
 副見出しLa cadena nipona NHK se interesa por los frutos subtropicales que se cultivan en la finca San Ramónは日本のNHKがSan Ramón農場の亜熱帯果物に注目
 グラナダ市民の海水浴場でもあるこの町のすぐ後ろでは山の裾野を開墾してビニールハウス栽培が盛んです。
 ちょっと見難いですが、この記事の写真のテーブルの上の緑の果物が気候の関係でグラナダ県の亜熱帯海岸のこの辺りでしか採れないChrimoya(チリモージャ)。味はヨーグルト。2つに割ってスプーンで掬って食べます。日本ではカリフォルニアから輸入されてチリモヤと呼ばれ、一個2000円するとか20年ほど前に聞いたことがありますが、筆者は日本では見たことがありませんね。日本でも都会に住んでいる読者はどうでしょう?

 自分の畑を耕す者は食料に飽き足り、虚しいものを追い求める者は貧しさに飽きる。-----或る昔の偉い人

 番組名は “Suppain go”で、24シリーズの内の一つだそうですが、これで検索しても出て来ません。おそらく、NHK教育テレビスペイン語教室の番組内での紹介じゃないかと思いますが・・・。暇な読者は捜して見て下さい。
 畑とは言え千差万別。亜熱帯には亜熱帯の畑があるのです。

527 復元、1895年のくるみギター(4) 30-10-2012(火)

 とは言え、名工さんでは高いですので、名は知られていないが腕は確かなFrancisco Albaに復元を依頼しました。それでも新品一台分位しましたが・・・。
 
★何せボディの薄さ75mm。厚さと言うよりこれは薄さです。
★糸巻きがなかった時代ですので、三味線と同じく差し込み栓。調弦が苦手な弾き手はまず無理でしょう。
★古風な文字通り骨抜きブリッジ。昔は皆こうだったんでしょう。
★その横にハート型のくるみ製ゴルペ板。当時プラスティック、ましてや薄いシールみたいなものはなかったんでしょうね。
★その下にひげみたいな、これは単なる装飾でしょう。総てくるみ製。
★そして、極めつけは総重量何と880g!?

2012-10-23

542 スペインで人工地震 23-10-2012(火) 

 読者は東日本大震災の2ヵ月後、スペインのロルカ(Lorca)と言うところでも地震があったことを覚えているでしょうか? まるで地震がないのを想定した様な耐震構造などない建物の国ですので、日本では倒壊ゼロみたいな震度でも結構な被害となり、想定外の地震被害に免疫のないスペインでは大騒ぎになりました。
 その地震が地下水の汲み上げ過ぎが原因だとの昨日の新聞記事。検索していたら日本語の記事もありました。

 明日のことを誇るな。一日の内に何が起こるかあなたは知らないからだ。----或る昔の偉い人

 1960年代から断続的だったそうですから、50年後に付けが回って来たことになります。
 なるほど、いわゆる何とか断層のズレで起こるべくして起こった地震ではなく、こんな地震の原因もあるとは意外です。地震学に新たな一ページを書き記したかも知れません。
 ある意味後先考えずに徹底的に水を汲み上げた結果、小規模な地滑りや地面陥没だけではなく、大規模な地震まで引き起こしてしまったと言うのは一途な国民性のスペインらしい出来事だったと言えるでしょう。
 50年間タバコ吸いまくって肺がんになった・・・みたいなものじゃあないかも知れないと言えないことはないかも知れない~のか!?
 

526 復元、1895年のくるみギター(3) 23-10-2012(火)

 本来ギターの場合、修復すると言う動詞を使います。例えば、ネックが反ったので真っ直ぐに矯正する、フレットを打ち直す、割れを裏から補強する、セラックニスで塗り直す、などです。
 ところが、このJuan Moya(フアン・モージャ)のくるみ製ギターの場合はスクラップ同然でしたので(1)&(2)、敢えて復元と呼ぶことにしました。何せ、裏板は側面板から剥がれて、元の位置に戻そうにも7、8mmの隙間があり戻せない。文字通り隙間風通しがいいの何の!?
 なるほど、木材は伸縮します。日本でも一昔前の木造家屋の扉など、雨が降った日は締りがキツくなるとかありましたよね。しかも、ギターの表面板、側面版、裏板の厚さ、いや、薄さなどせいぜい2mm強。ましてや115年も経てば激しく湾曲しない方がおかしいのです。
 そして、湾曲すれば、いくら膠とは言え接着部分から分解して行きます。そんな状態で筆者が買ったのが10年ほど前。余りのヒドさに放っておいたのですが、今回これ程ヒドい状態のギターが復元出来るのか、興味本位も手伝ってやってみることにしました。
 さて、誰に依頼するか・・・。

2012-10-16

541 亡命と移民、どっちがどっちもどっちか!? 16-10-2012(火)

 筆者はサッカーは興味がありませんが先日の読売新聞『キューバ選手、W杯予選のカナダで数人所在不明』。思わずベルリンの壁と旧共産圏東ヨーロッパが崩壊した頃のことを思い出しました。
 筆者がアルハンブラ宮殿近くで日本人観光バスでマイクを持って案内をしていると、前の観光バスに見慣れないアルファベット文字。ワルシャワとありました。バスも一目見てオンボロと分かるとんでもない代物。筆者が昔モスクワに言った時もボロ車だらけでしたから、キューバなんてもっとトンでもないんでしょうね。
 本当にトンでもないのはツアーの後。共産主義の束縛から解放されてポーランドからスペインまで観光に来たのは極一部。半分以上はそのままスペインに居残って仕事を探す亡命ツアー!? 男性は工事現場、女性は家事手伝いとは言え、実際は老人の介護だと相場は決まっていた様です。
 筆者は仕事の途中、頻繁に日本人団体さんの人数を確認しましたが、ポーランド人の添乗員さんはどうしたんでしょうかね? と言うより、今思えばツアーを企画した側も亡命目的を十分承知で募集したんでしょうね。

 野菜を食べて愛し合うのは肥えた牛を食べて憎み合うのに優る。-----或る昔の偉い人

 ところが、最近は地元グラナダからも国内外に移民が出始めているそうです。共産圏崩壊と世界同時不況では状況が異なるとは言え、歴史は繰り返していることになります。
 日本に生まれて良かった。

525 シべレスよお前もか 16-10-2012(火)  

 筆者はギターは元より付属品に至るまで徹底的にスペイン製に拘ります。
 もちろんギターケースもですが、日本語情報センターに置いてあるスペイン製ギターケースは飼い猫7匹に爪を研ぎ澄まされて相当数は売り物にならない!?
 この傷だらけのスペイン製ギターケースにギターを入れて先日Antonio Raya Pardo(アントニオ・ラジャ・パルド)氏に修理を依頼しました。数日後電話があり、地元有名フラメンコギタリストのLuis Mariano(ルイス・マリアーノ)がお前の猫の爪痕だらけのギターケースをえらく気に入って自分のと交換して欲しい言うとるけど、どや?
 ギターの話かと思ったら、筆者は一瞬耳を疑いましたが、確かにフラメンコやってる連中は変わり者が多いのですぐに納得しました。それに、どんなボロケースでもあれよりはマシだと咄嗟の判断も迷わず働きました。
 ところが、翌日Antonio Raya Pardo氏の工房にギターがてら行ってみると、全く傷なしのほぼ新品。しかも、有名ケースメーカーのCibeles社のライトケース。
 一瞬しめた(せしめた!?)と思いましたが、すぐにAntonio Raya Pardo氏がこりゃ中国製や。このモデルだけではなく。現在Cibeles社の圧倒的大多数のギターケースは中国製とのこと。そのおかげで手工ギターケースBausach社も近年店仕閉いしたそうです。
 もちろん、Cibeles社も原産国証明も減ったくれもなし。悪徳中国製スペインギターと同じです。最後は軍事増強費となって日本を狙うのが中国の国策なのですから、安くて儲かるからとへらへら笑って商売している日本人業者も腑抜けです。

2012-10-08

540 わしゃミヤギさんか!? 09-10-2012(火) 

 昨日筆者が仕事柄ほぼ毎日の様に予約の電話を入れる洞窟フラメンコLos Tarantos。予約係のAngusと言う女の子は筆者が電話すると三回に一回は『ミヤギさん!!』。
 ミヤギさんと言うのは映画『空手キッド』の老先生。わざと筆者のことをそう呼んでいるのではなく、何にも考えずに反射的に口に出てしまうとのこと。この映画のおかげでどうやら日本人は皆ミヤギさんだと思っている潜在意識が原因らしい。
 筆者のスペイン滞在30年の経験からしても、良くも悪くもスペイン人は思い込みの強い国民性です。例えば『ホームページ作ったから明日から注文がドバドバ入って来る。』『住宅ローンは難なく払えるだろう。』『この番号なら当たりそうだ(宝くじ)。』『非は相手にある。私は悪くない。』『アメリカ人だからどうせ悪い奴だ!?』など、心から疑いなく確信に至るのですから始末の悪さは情熱のスペイン。離婚率65%も頷けます。

 自分の口ではなく、他の者に貴方を誉めさせよ。自分の唇ではなく、よその人によって。-----或る昔の偉い人

 日本が世界に誇る星飛雄馬の『思い込んだら~試練の道を~』とは全く異質の思い込みですが、迷わず優良映画の主人公呼ばわりするのは毒気のない思い込みです。
 そう言えば、筆者が初めてスペインに来た1979年、かなりのスペイン人に空手を知っているかと聞かれました。当時はブルース・リーの空手映画全盛期。日本人なら皆空手が出来ると毒気なしに思い込んでいたんでしょうね。
 今はさすがにありませんが、当時グラナダ市内に東洋武術を教える道場があり、空手(Karate)、柔道(Judo)、そして、忍者(Ninja)ちゅうのが看板にありました。手裏剣でも投げたんでしょうかね。一度見に行かなかったのが悔やまれます。

524 復元、1895年のくるみギター(2) 09-10-2012(火)

 このJuan Moya(フアン・モージャ)のギターはくるみの木を使っています(1)。実は数年前日本語情報センターを訪れてくれた近代ギターの開祖アントニオ・デ・トーレス:Antonio de Torresのひ孫、故フランシスコ・サルバドール・ヒメネス氏にこのギターを見てもらいました。
 当時の安物だろうと言うことでした。と言われなくても、素人が見ても何となく分かりそうな、如何にも並みの下みたいな安っぽい使用木材。もっとも、当時は木材が大して豊富ではなかった時代でしたので、アントニオ・デ・トーレスでさえ今では量産ギターにも使われない様な粗悪な材質でギターを作らざるを得なかった時代の話ですので、むしろこれは当時としては当り前のことでした。ましてや、二昔前西部劇のロケも頻繁に行われた砂漠に囲まれたアルメリア:Almeriaなら、当時は物流も木材も乏しかったことでしょう。
 ただ、近代ギターの開祖アントニオ・デ・トーレス:Antonio de Torresがこの様なろくでもない木材から極上の音色のギターを製作したことは以前も書きました(コルムナ475)。この様に必ずしも極上の木材から名器が出来る訳ではありませんし、並の木材からでも名器は生まれ得るからこそギターは面白いと言えます。
 そう思って筆者はこのJuan Moya(フアン・モージャ)のくるみの木ギターを修復することにしました。とは言え119年前のギターですからボロボロです・・・。

2012-10-01

539 禁断の聖域にまで手を出したスペイン政府 02-10-2012(火) 

 8月末に待ち切れず発売されたスペインのクリスマスドリームジャンボ宝くじのコルムナを書きました。サッカーと宝くじが日本人の想像の範疇を超越して大好きな国民性なのです。
 ところが、先日スペイン政府は2500ユーロ(約25万円)以上の宝くじの賞金には20%課税する新税法をあっと言う間に国会通過。
 元々公営ギャンブルは国が国民の金を吸い取る手段なのですが、それはその他圧倒的大多数のハズレた連中の払った金で十分商売になったはずです、今までは。
 現政権も国民の一番痛い所を突けば支持率が落ちること位分かっていながらの暴挙に出たことになります。宝くじが大好きなスペイン人にすれば聖域を侵された訳ですから暴挙でしょうね? しかし、だからこそ、これでやっと今回の金融危機は人事じゃない、本気だと目覚めたスペイン人も多いのではないでしょうか?

 しかし、どうしても必要なことは僅かです。いや、一つだけです。-----或る昔の偉い人

 スペインの財政が切羽詰っていることは最近日本の新聞サイトにまで記事になるほどですから本気です。その分ギリシャ並みに緊縮増税に反対するデモが増えています。ここグラナダ市では、総てのデモは日本語情報センター横の市役所前広場に集結してがなり立てるのですから、うるさいの何の。
 こうなったら宝くじ賞金課税反対デモでもやって欲しいものです。

523 復元、1895年のくるみギター(1) 02-10-2012(火)

 実は筆者はJuan Moya(フアン・モージャ)と言うスペインの製作家のギターを10年ほど前から持っています。とは言え、この製作家は日本で言えば江戸時代末期から明治末期のスペイン人です。
 ここに出身地スペイン南部アンダルシア地方のアルメリア:Almeriaの英語の製作家一覧表があります。上から9番目のJuan Moya Martinez (Almería, b. 1859 active c. 1880-1930)です。更に上二人が弟。その下が親父で、もう一つ下がおじさんと言うギター製作一族だった様です。皆同じMoyaの名字が見えます。
 ところで、アルメリアと言えば近代ギターの開祖アントニオ・デ・トーレス:Antonio de Torresの出身地でもあります。一番下の写真入の項がそうです。冒頭にギター界のストラジバリウスと紹介されています(筆者もこれ位の英語は何となく解る!?)。親父のMelchor Moya Redondo (Almería, b. 1827- d. 1891)が同世代。そして、今回筆者の所有するギターを作ったJuan Moya Martinez(Martinezは2つ目の姓。スペイン人は名前の次に親父の姓、次に母親の姓を名乗る)もアントニオ・デ・トーレスの影響と恩恵を大いに受けたであろうことが想像出来ます。
 そして、そのギターは?