2011-09-27

スペイン週間コルムナ&スペインギター週間コルムナ今週はお休みのお知らせ

こちらはパソコンがパンクして慌しい週明けです。落ち着いていい文章が書けそうにもありませんので、スペイン週間コルムナ&スペインギター週間コルムナは共に一週間お休みさせていただきます(筆者)。

2011-09-19

488 何が何でも11月20日までに結婚 20-09-2011(火)

 これは先週土曜日の地元新聞のニュースです。スペイン語が分からない読者も20-Nが11月(noviembre)20日位は想像がつくのではないかと思います。
 11月20日と言えば、今の青少年はともかく、それ以上の年代のスペイン人なら誰でも知っている、独裁者フランコの死んだ日です(1975)。と同時に、むしろ多くのスペイン人にとってはスペイン民主主義の幕開けの日と形容した方が当っている国民感情でしょう。
 今年は何とこの11月20日に前倒し総選挙。現在与党の社会党(PSOE)のふがいなさの結果でもありますが、前倒しして政権を交代させなければスペインもギリシャと同じで財政破綻するとの噂も噂には聞こえない緊迫した経済情勢はイタリアに先を越された感がありますが、南欧ぐうたらクラブの絆で遅かれ早かれ一蓮托生でしょう。
 ところが、かと言ってこの新聞記事は総選挙の記事でもありません。見出しを訳すと『誓います。でも11月20日までに。』 小見出しは『オカマとレズ達は大衆党(PP)が勝って同姓婚合法が非合法になる恐れから結婚を前倒し』
 前倒しは総選挙だけじゃない訳です。つまり、リベラルな現在与党の社会党(PSOE)ではなく、硬派の野党第一党の中道右派大衆党(PP)が前評判通り政権を取れば、かつて2005年9月に社会党(PSOE)政権が合法化した同姓婚が再び大衆党(PP)新政権下非合法になる可能性のある11月20日の前倒し総選挙。そうなる前の駆け込み結婚が目立っていると言うニュースです。男同士、女同士で!?

 自然自体があなたがたにそう教えていないでしょうか。-----或る昔の偉い人

 11月20日は前哨戦の統一地方選挙で大勝した大衆党(PP)が勝つでしょうが、だからと言って急に同姓婚を廃止する政策には出ないと筆者は予想します。何せスペイン人の有権者の相当数はこの気があるから現社会党政権は8年前の総選挙で同姓婚を選挙公約に第一党になった訳ですからね。
 いつの時代も有権者に尻尾を振って騙して投票させるのが政治家の習性だとすれば、国民全体の60%が、若者だけならその76%が同姓婚を容認している事実は無視出来ないはずです。
 しかし、自然は自然、男は男、女は女。何も空に煤煙を撒き散らし、海に汚水を垂れ流すだけが自然を汚すことではないはずです。自然に反することは広い意味で総て人間の罪悪です。筆者がそう言うからではなく、自然自体がそう教えてはいないでしょうか?

462 小さな音で弾けと教える先生( 2) 20-09-2011(火)

 きれいな音のために小さな音で弾けと教えるとんでもない日本のクラシックギターの先生(先週のコルムナ)。
 故マヌエル・カーノ先生は古い世代のギタリストだったこともあるでしょうが、マイクを好みませんでした。マイクを通すとどうしてもギター本来の音色が伝わらないからです。そうすると、マイクなしで観客に聴かせるためには音量がなくては話になりません。音が小さいなど論外です。小さなきれいな音色と、か細い音は別物です。
 まずは音をしっかり出すこと。いい音(きれいな音)を出すのはその次だと言う考えです。これは息子のホセ・マヌエル・カーノも全く同じ路線です。
 そのためには力を抜いて最大の音を出す弾き方と良いギターを持つことです。大きな音を出すための秘訣は力を込めないことであることはこのスペインギター週間コルムナの初期にしっかりコルムナしたところです。
 ギターに限らず、どんな楽器でもその人が上手かどうかの基本的な見分け方は、音楽表現は別にして、大きな音で一定の演奏が出来ているかどうかです。

2011-09-12

487 ギリシャは射程内 13-09-2011(火)

 34歳以下の若者の半分は収入が全く無い。これは昨日の地元新聞に発表されたグラナダ県だけの数字ですが、凄まじいですね。筆者は地方都市の県庁所在地、それも観光都市の華やかな所に住んでいますので、まだ街を歩いて肌で感じると言うことはありませんが、スペイン全土でも大体似た様な状況でしょう。
 これはもうデモとかストライキの段階ではなく、いつ暴動が起こっても不思議ではない論調の社説がポツポツ目につき始めた最近のスペインのマスコミです。
 しかも、数字には表れませんが、相当数はアル中薬中で労働意欲なし。
 要するにこの前のイギリスの暴動と同じです。仕事が無いと騒ぐ割には、いざ仕事をやると仕事したくない奴らばかり。
 スペインは11月に前倒し総選挙があります。しかし、これでは首相が代わろうが、政策が良くなろうが、根本的には何も変わりません。何故なら・・・。

 人が変わらなければ社会は変わらない。-----或る昔の偉い人

 何かどえらいことが起こる予感は預言者でなくとも感じられる時代に我々は生きているのかも知れません。
 日本はどうでしょう? 正社員だから安心でしょうか? 年金制度は大丈夫でしょうか? 
 皆、金、かね、カネ・・・。経済さえ良くなれば総ては上手く行くみたいな錯覚が全人類的に蔓延ってはいないでしょうか?
 誰しも金に左右されている内は大した人間じゃないのかも知れません。スペインの犬の教えです。  
 同じく昨日の新聞によればギリシャは10月までしか公務員の給料と年金の資金が無い!?
 暴動はスペインよりドイツの方が先だったりするかも知れませんね。

461 小さな音で弾けと教える先生(1) 13-09-2011(火)

 先週クラシックギターをやっていますと言う若い男性旅行者がやって来ました。ギターを弾くために生まれて来たのかと思うほどの長い指。そして、そんな長い指からそんな音しか出ないのか思わずにはいられない小さな音。
 聞けば先生から小さな音で弾く様に教えられたとか!?
 きれいな音と小さな音の区別がつかない日本人に多いタイプですね。この場合、先生も生徒もです。
 ギターを探していた様でしたが、あの音では仮に名器を手にしても、あたかもベンツを買って市内40Kmの安全運転みたいなものです。安全運転なら高速道路で時速100Kmぶっとばしても安全運転なら安全運転ですが、これが分からない日本人ギター奏者は意外と多いことを痛感した一時でした。
 しかも、先生自らそう教えるとは!? こんな時故マヌエル・カーノ先生ならどう言ったでしょう?

2011-09-05

486 美しい犬死 06-09-2011(火)

 先週偶然街でやつれた顔の知り合いのスペイン人男性とバッタリ。いきなり『昨日親父が朝倒れた思うたら、そのまま逝てもうてな。今日は今から葬式や・・・』。
 数日後またも遭遇すると、今度は『ある友達からうちの親父の悔やみを言われた思うたら、今度はそいつの親父が次の日急に死によってな。人生とは一体何やねん・・・』。
 スペイン人から『人生とは・・・』と言われるのも珍しいかと、不謹慎にも場違いな感動をした筆者であった。
 それなら・・・。人生とは気が付けば既に消えた朝露の如し(筆者)。

 死に至るまで忠実であれ。-----或る昔の偉い人

 それでも朝露には朝露の意地があるとすれば、それは一体何でしょうかね?
 人の心に残す余韻かも知れません。余韻なら死後も響きます。
 それなら単に『あの人はしっかり稼いだ』『あの娘は美人だった』『やっと死んだか、せいせいした』余韻より『優しい人だった』『無言の教えを受けた』余韻の方が感動の余韻ですよね。
 薄っぺらい感動が多過ぎる21世紀の真っ只中にあって、決して余韻の絶えない不朽の名作を書くことは容易ではないでしょうが、自らの欲以外に忠実であれば、それは無意識の内に意外な名作となって人の心に響き続けるものなのかも知れません(コルムナ60)。 

460 大したギターはセラック手塗り(3) 06-09-2011(火)

 重量0gのセラックニスが音響効果抜群であることをコルムナしています(コルムナ454)。
 筆者はセラックと言うと、いつもゼロ戦を思い出します。機動性と航続距離を最優先にしたゼロ戦は攻撃に回れば滅法強かったのですが、防御を無視した軽量設計のため、一度被弾すると滅法モロかったのでした。
 セラックも同様で音響に優れますが、ボタンやベルトの金具などに当ればあっと言う間にキズがつき、放っておいても木材がセラックニスを吸って自然に劣化します。また、十分乾いていても、温度が上がれば軟化します。筆者は昔セラック塗装のギターの下に楽譜を入れてギターケースにしまっておいたら、楽譜が裏板にひっ着いていたことがありました。従って、高級品は何年か毎に再塗装するのが普通です(が、また金がかかる!?)。
 また、量産品の様に層の厚いポリウレタンではありませんから、セラック塗装ほど木材自体が割れる危険が高くなります。温湿度には神経を使います。
 つまり、極端な話、セラックが塗装として優れているのは音響だけで、強度は安くて手軽なピストル(ガン)吹き付け塗装に遥かに劣ります。