2011-08-29

485 やっぱり負けた第一戦 30-08-2011(火)

 前シーズン末、ミスジャッジで昇格戦に勝って偉そうに1部リーグに上がった筆者の地元グラナダCFは先週土曜日ホームグランドで開幕戦。32年ぶり1部リーグでの試合は明らかに実力が上の相手チームの猛攻を粘って凌いで0‐0の試合終了間際、後半43分ディフェンスの乱れから1点入れられ万事休す
 筆者は興味はありませんので、試合の終盤だけラジオを点けたとたんにGol!!
 見ている地元のファンはハラハラドキドキだったでしょうが、解説は一応にいつ点が入ってもおかしくないほどグラナダCF(白い方のユニフォーム)の優勢負け。順当な結果だったとはマスコミの一応な評価です。

 舌は苦味を甘みより100倍感じる。-----或る昔の偉い人

 しかし、後2分持ち堪えれば引き分けだったのですから、格別苦かったことでしょう。人間、こう言う負け方の方がより記憶に残るものかも知れません。入れ込んでいるファンほど100倍苦かったりするんでしょうね。
 だったら、人生物事は取り様です。サッカースタジアムから帰るべき自らの山河を持っている人なら苦味は少ないはずです(コルムナ 13&14&220)。

459 映像で見る競売で売れなかったタレガ直筆『アルハンブラの想い出』オリジナル楽譜 30-08-2011(火)

 コルムナ452でFrancisco Tarrega(フランシスコ・タレガ)直筆のRecuerdos de La Alhambra『アルハンブラの想い出』のオリジナル楽譜が競売に掛けられ、買い手がつかなかったことをお知らせしまいした。
 その時のニュース映像がYoutubeにありました。これは興味深いですね。冒頭が競売の様子。このFernando Alonsoと言うおじさんが所持者だそうです。以下ナレーションを訳してみました。

 これが作曲家フランシスコ・タレガが1899に作曲した『アルハンブラの想い出』の調べです。大演奏家達が漏れなく弾いた名曲で、中国、日本、アメリカ、南米など、世界中で聴かれています。5ページのオリジナル楽譜の保存状態は極めて良好です。時が時ならコレクターが大枚はたいたのでしょうが・・・。競売本部は公的機関に打診しましたが、折からの不景気で興味は示しても、今は経済的余裕がないとの回答でした。スペインギターは中国、日本でも人気があります。この『アルハンブラの想い出』は数多くの練習生にとって避けては通れない作品です。誰も故郷では預言者とは成り得ません(故郷に錦を飾るの意)。タレガは当時最高のギター演奏家でしたが、彼もまた例外ではありませんでした。それは今日その最も著名な作品の直筆のオリジナル楽譜に買い手がつかないことにも例えられます。

2011-08-22

484 これが本当のお徳用サイズ 23-08-2011(火)

 筆者は貧乏性ですから、スーパーに行けばどうしてもお徳用サイズに目が行ってしまいますが・・・。
 先週ロンドン大騒乱の影に隠れて余りニュースになりませんでしたが、時を同じくしてスペイン北部の歓楽街で暴動が起こりました。02:00頃ディスコの冷房が故障した腹いせに客のガキどもが街に繰り出してご覧の様な破壊行為。警察とぶつかりましたが、一般市民の商店や住宅に手を出さない限りこの程度では今のスペインでは普通の軽犯罪です。大した事件ではありません。
 筆者がそれでも面白いと思ったのは、ニュースで女性リポーターが手に持って紹介していた、このディスコで売られていた酒のグラスと言うか、何と言うか、映像がないのが残念なのですが・・・。
 カクテル一杯40ユーロ也。約4500円。日本の如何わしいキャバレーよりまだ安いかも知れませんが、青少年相手ですから高いですよね。
 いえ、10リットルですから安いですよね。読者はお分かりでしょうか?
 女性リポーターが手に持って紹介したのはグラスではなく、何とバケツ!? バケツに色んな酒を瓶丸ごと流し込んで10リットル40ユーロ。これならお徳用で安さ爆発!?
 筆者は酒は養命酒以外飲みませんが、一昔前までスペインでも酒は仲間内の会話のツマミであることが普通でした。しかし、今日スペインの青少年にとって酒を飲むとは単にアルコールを体内に流し込むことになってしまっているからこそ、売る方もお徳用サイズのバケツと言う発想になってしまうのです。当然買う奴がいるから売っているのでしょう。極めて低次元な需要と供給です。

 明日は死ぬのだ。さあ、飲み食いしようではないか。-----或る昔の偉い人

 飲み食い歓楽が人生の総てと心から信じ込んでいる愚かな人間を描写したこの昔のことばは正に文字通り図星ですが、これは酒以外でも言えることだとすれば、決して人事ではないのが人の愚かさ一般かも知れません。
 かも知れませんが、人生犯して悔い改めればまだ修正の利く愚かさと、犯せば一生重度の後遺症を課される愚かさが存在します。
 バケツで酒!? 久しぶりにこのことばを使いますが、末期がん漫才ですね。合掌・・・。

458 故マヌエル・カーノ先生のお宅の居間 23-08-2011(火)

 先々週の続きです。

 先生とレッスンをした居間。右が未亡人の奥さんで、背中が筆者。

 正に『夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡』ですね。

 筆者は足軽かも・・・。





2011-08-15

483 絵に描いた様な無責任感の塊 16-08-2011(火)

 筆者はこちらで10年間現地添乗員として働きました。地元グラナダを拠点に、毎週の様にセビージャ、コルドバ、マラガ、たまにマドリード、トレド、ラ・マンチャ、バルセローナへ。観光バスの最前列でマイク片手に日本人団体さんを案内して回ったものです。
 今は自らが案内することはありません。日本語情報センターに引き篭もって案内させる方です。先週いつもの様に洞窟フラメンコに申し込んだお客さんを21時に送って一件落着。ショーの後、ユネスコの世界遺産アルバイシンの丘をガイド付ナイトツアーして、ホテルまで送迎してお終いです。
 その夜23時前、急に携帯が鳴りました。いやな予感・・・。うちから参加している6名の日本人を含めて10名がアルバイシンの丘のサンニコラス展望台でアルハンブラ宮殿夜景を団体で観た後置き去り!?
 筆者がもし団体を引き連れるガイドなら、スポットスポットで、或いはバスに乗った時点で人数を確認しないでしょうか? スペイン人ガイドはそんな面倒なことはしないのです。
 それにしても、バスの座席に着いて10人いなきゃ分かりそうなものですが、全く気付きもしない究極の無神経。しかも、大型バスではなく、遥かに目立ち易い25人ほどのマイクロバス!? 運転手も運転手じゃ!? これで一切良心のお咎めなし。
 スペイン人と結婚したり、一緒に仕事をすると如何に火星人の異次元空間ごっこになるか、読者も少しは想像出来るでしょうか? 筆者の毎週のコルムナはちょっと書き過ぎじゃないかと思っている読者もいるかも知れませんが、実は筆者が極めて控えめな書き方をする謙遜遠慮深い人間であることは今週のコルムナが物語って釣銭までくれます。

 あなたの隣人をあなた自身の様に愛しなさい。-----或る昔の偉い人

 あれもこれも、人がもし隣人愛の精神を持ち合わせていれば、ほとんど総ては起こらない問題や事件で世の中は満ちています。社会も世界も人間も、実はただそれだけのことなのです。

457 追悼モライート・チコ 16-08-2011(火)

 先週水曜日フラメンコギタリストの大御所、モライート・チコが咽頭ガンで死亡。
 筆者は面識はありませんでしたが、実は手工ギターを作ってもらっているフランシスコ・サンチェス氏が知り合いで仲介してもらい、当サイトで宣伝のモデルになってもらいました。
 ジプシーらしい持って生まれた野生のリズム感にモダンな作風
 2日後、グラナダ市内の知り合いのレコード屋の親父と会いましたが、故人と昔何度か一緒に飲んだことがあるそうです。しっかり薬を一緒にやったとか!? そりゃ、咽頭にもなりそうです。
 54歳没。ちょっと早過ぎましたね。

2011-08-08

482 やっぱりハッタリYes,we can. 09-08-2011(火)

 スペインでもアメリカ国債格下げニュースが大きく報じられています。
 EUも動揺イタリアが先か。中国まで偉そうにアメリカ批判
 そして、週明けの昨日のスペインのニュースでは『リスクプレミアムは300点下がり、(スペイン)株式市場は上昇』。下に見えるサブタイトル2つは『BCE(ヨーロッパ中央銀行)の市場介入を受け、Ibex(スペイン株式市場)は2%上昇。アメリカの国債格下げ後恐れられていたブラックマンデーを回避する&ミラン市場も4%上昇し、安全地帯に』
 しかし、そのすぐ下のリンクをクリックすると見出しは『BCE(ヨーロッパ中央銀行)がイタリアとスペインの負債を買う』。その下の小見出し3つの3つめは『フランスとドイツは関係各国に早急に迅速かつ十分な対策を策ずる様緊急要請した』。
 そりゃ、緊急要請するでしょうね。一蓮托生でユーロ丸が沈んで、ブラックユーロじゃ溜まりません。

 受けるより与える方が幸いである。-----或る昔の偉い人

 筆者は子供の頃軍艦のプラモデルが好きで、今でも日本の実家には高校の時分作らずに溜め込んだものが100以上あります。まさか老後の楽しみになるとは思いもよりませんでしたが、おかげで軍艦の専門用語はいくつか分かります。小破、中破、大破、大破着低、撃沈、轟沈・・・。
 円もドルもユーロも世界経済も、一体どれに当てはまるんでしょうかね? 本来は沈むところが沈まず、常に沈みかけに見える大破着低が似合っているとすれば、人の金で一事凌ぎに蘇生した様に見えても、またすぐぶり返すのもまた見え見えかも知れません。
 今思えばYes,we canの大合唱はハメルンの笛吹そのものです。アメリカ人も大して利口じゃないかも知れませんが、経済さえ良くなればあたかも世界に平和がやって来るみたいな錯角もまた利口じゃないのかも知れません。
 常識の逆を突けば結構上手く行くのが人生の多くの問題の解決だと筆者は直感します。例えば、ギターで大きな音を出したければ力を抜く方が遥かに得策etc。金銭についての価値観も実はそうなのです。そうじゃないからこの世はこんなんなのです。それを近い将来目に物見せてくれるのはイタリアかスペインか。それともアメリカか・・・。 

456 故マヌエル・カーノ先生のお宅 09-08-2011(火)

 マヌエル・カーノ先生が亡くなったのは1990年1月。未亡人の奥さんとは年に一、二度会う程度ですが、5月に結婚した筆者の嫁はんを連れて昨日久し振りに先生のお宅に挨拶に行って来ました。
 弾き手のいない何台ものギター、数々の表彰状や記念品。思わず『強者どもの夢の跡』と浮かんで来ました。後から検索してみれば松尾芭蕉の『夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡』だったんですね。
 1984年の着物姿の島田陽子のカレンダーまで壁に架けてあると思ったら、その横の小さな古びた、帽子を被って馬に乗った女性の写真には英語で『親愛なるマヌエル・カーノ氏とそのご家族へ心から』とのサインは何とジャクリーン・ケネディの直筆。年代は1961年だったでしょうか。スペイン来訪の際、コンサートに来た時じゃないのかと奥さんは言っていました。そう言えば、筆者が観光ガイド時代セビージャで団体さんの休憩がてらいつも立ち寄ったBarにも彼女の写真がありました。
 ここで先生自身が練習し、日本を初め世界各地にここからコンサートに出向いて行った・・・。感慨深いですね・・・。正に夢の跡かも知れません。

2011-08-01

481 真夏の狂宴真冬まで 02-08-2011(火)

 スペインでは珍しくも何ともないことですが、例年通り先月7月12日、待ち切れないとばかりにクリスマスドリームジャンボ宝くじ全国一斉発売開始!!
 え~加減にして欲しいけど、起死回生の逆点の一発に賭けるスペイン人気質は世の中が不景気なほど研ぎ澄まされる様です。
 金20ユーロ(約2200円)也。一枚買うのに!? 100円や200円の宝くじでは人間の器が余りにも小さいのです。当ればデカい一等300万ユーロ(約3億3000万円)。大物はハイリスク&ハイリターンで起死回生の逆点の一発を狙って、バットにかすりもせず凡退。ゲームセットだったりすればスペイン国税局のボロ勝ち。
 抽選は12月22日ですが、国民を手玉に取るためには真夏にクリスマスドリームジャンボ宝くじ発売が国策マーケッティングなのか情熱のスペイン。

 人は天から与えられるのでなければ、何も受けることは出来ない。-----或る昔の偉い人 

 完全な財政破綻のギリシャがあたかも脚に結わえられた鉛の様にまとわり着いてアップアップのEU共同体。そして、ここに来てアメリカも、結局は延命措置に過ぎない債務上限引き上げ。
 日本はどうなんでしょう、日本の日本人の皆さん。
 しかし、日本もスペインも世界中のほとんど総ての社会問題は金絡みじゃないですか?
 だったら、金以外の価値観を持てば楽になれるんじゃないかな? と思わないでもない筆者かな。それが戯言に聞こえるなら、金以外の価値観を持ってきちんと仕事して収入を得れば、何か人生基本的なことが変わって来るんじゃないかな?
 仕事とは何か事に仕える事。必ずしもお金とは書いてないでしょう、と昔どこかのラジオで聞いたことがあります。
 そう書きながら思い出した猿の話。どこかの国の猿を捕る罠は猿の好物を猿の手がやっと入るほどの小さな入口の袋に入れて紐を付けるだけ。アホな猿は手の平一杯に餌を掴んで離さず、拡がった手が小さな入口の袋から抜けず御用。
 掴んでいる物を離しゃ解放される簡単な理屈が分からない強欲は猿だけじゃないのが世界的金融危機の元凶だとすれば、ヒトは猿から少しだけ進化した進化論の可能性もドリームジャンボですよね。
 

455 大したギターはセラック手塗り(2) 02-08-2011(火)

 楽器は音響の面から言えば本当は塗装しないのが一番です。大昔はそう言うこともあったかも知れませんが、それでは格好がつかないし、商品になりませんので近代では何らかの塗装を施す訳です。
 しかし、本当に重量が無い塗装ならこのセラックニスは理想的です(先週のコルムナ)。ところが、他の重量のある塗料(ポリウレタンなど)はガン塗装出来ますが、このセッラクニスは根気良く手で塗って行くしか方法はありません。もし、ガン塗装でセッラク塗装したと言う製作家がいれば、それは何らかの混ぜ物をしているはずです。実は筆者も何人かの製作家に頼んでガン(ピストル)でセッラク塗装の実験をしてもらいましたが、セラックニス100%ではいくら吹き付けても層が全く浮かび上がって来ないのです。全く塗装に成りませんでした。結局セラック二スに混ぜ物をしてガン塗装で仕上げてもらいましたが、手にずしっと来る重さ。これでは意味がありません。