2012-06-25

526 サッカーだけは強いぞスペイン 26-06-2012(火)

スペインは下馬評通り安定した戦いで勝ち上がってユーロカップ4強。今まで公式戦で一度も勝ったことのなかったフランスに20ですから、この勢いは本物です。
 とは言え、サッカーに興味のない筆者は行きつけの食堂の大音響テレビで偶然試合をやっていればチラッと垣間見るだけ。
 しかし、チラッと垣間見るだけで各国刑務所受刑者選抜サッカー大会かと思うほどの入墨だらけの一流選手達。日本ならプロ野球中継で画面に映るバッターの腕に入墨があれば社会問題になるでしょうが、スペインに限らずヨーロッパのプロスポーツ界は入墨だらけ。
  子供達のヒーローが入墨者でも誰も何も気にせず、ただサッカーが勝ちゃあいい。ある意味新興宗教と同質です。教祖が入墨者でも試合に勝てば官軍。

 
だから、貴方の貧しさは浮浪者の様に、貴方の乏しさは横着者の様にやって来る。-----或る昔の偉い人  

 昨日月曜日スペイン政府はEUに対し正式に金融支援をお願い。ドイツ人はさぞかし頭に来ているだろうなとか、金を借りる側のスペイン人は露にも頭をかすめずこれ如何に!? ユーロカップ決勝がスペイン対ドイツになってスペインが優勝したら、本当にドイツで暴動が起これば究極のブラックジョークかも知れませんね。
 サッカーさえ勝ちゃええのや。その後はまた明日考えたらええわ。
 確かにラテン気質は今さえ良ければいいHasta mañana(アスタ・マニャーナ:また明日)ですが、金借りた以上ユーロカップ後は金縮に増税の電車道です。
だから正念場は夢から醒めたユーロカップ後のはずなのですが、明日27日準決勝ポルトガル戦に総てを掛ける情熱のスペイン。

500 クラシックギター普及せず(1) 26-06-2011(火)

何せ世界の名曲アルハンブラの想い出のお膝元、筆者が30年住んでいるスペイン・グラナダ市でこの曲が一般市民には全く知られていないのですから、スペインのクラシックギター事情はお先真っ黒です(コルムナ497)。レコード屋に行っても昔ながらのセゴビアやイエペスの復刻版しかない!? 日本ではどうでしょうか? やはり、青少年がキュイーン、ギョイーン、キャイーンのエレキやベースに流れているのが現実ではないでしょうか?
スペインギターコルムナ500回を記念して何故クラシックギターが今一普及しないのか、どうすれば普及するのかを考えてみましょう。
原因は幾らでも挙げられるでしょうが、まず、確かに左手でコードを押さえて右手でストロークしていればいい伴奏のフォークギターに比べて独奏のクラシックギターは確かに難し過ぎます。
難しいから挑戦のし甲斐もあるじゃないかと言うのは簡単ですが、全くの初心者の気持ちには応えていない正論かも知れません。
まずは取っ付き難さの払拭から始めないとクラシックギターは普及どころか、一部のマニアックな世界になってしまいます。音楽教室や教則本の問題ではなく、スペインの事情も踏まえてここからコルムナしてみましょう。
 

2012-06-18

525 スペイン人ローマへ 19-06-2012(火)

 知り合いが5日ほどローマへ観光に行って来ました。彼がいつも行っているナポリ出身のイタリア料理のイタリア人店長からナポリはやめとけと言われローマにしたとか!? いずれにせよ、南イタリアと言えばヨーロッパ人はおろか、北イタリア人さえ気を付けろと言うほどのヨーロッパの部落。
 勧められるがままに市バスなど公共交通機関が使い放題のローマパスとか言うのを買ったのに、良く見ているとローマ市民は誰も金払ってない!? 勝手に乗って勝手に降りるだけ!? 運ちゃんも見て見ぬフリ以前に見る気全くなし!? 注意したってワシの給料は変わらん、余計な仕事はせんに越したことはない、と心からそう思っている様です。確かに親戚のスペイン人公務員もそうなのですが、本家南イタリアの方が筋金入りです。
 そして、知り合いはガードマンが何かをやっているバングラデシュの移民と話したそうです(スペイン語とイタリア語は極めて似ており、お互いのことばで喋ってまず理解出来る)。この職にありつくまではスリをやっていた!? そうしなきゃ生活出来なかったそうです。そして、脇が極めて甘い日本人旅行者が一番のカモだったそうです。
 
  誰でも自分の利益を求めないで他人の利益を心がけなさい。-----或る昔の偉い人


パスタの国のくせにスパゲッティはイタリアの方が高かったそうですが(500gパックがスペインで60セント&イタリアで1ユーロ強)、総じて物価はスペインの方が高かったそうです。バブッて弾ければスペインの方が高上がりした分だけ利きそうです。もうすぐです。ギリシャのやり直し総選挙でとりあえずユーロ残留が決まった今、遂にスペインが主役に踊り出ました。
 しかし、まずはサッカーユーロカップです。
 そう言えば、もう30年以上前の話ですが、イタリアで置き引きを未然に防いだ日本人旅行者に見つかった犯人が日本語ですみませんと言ったそうです。
 ま、確かにこんな奴らと一緒に戦争やっても勝てません。日本とドイツの敗因はイタリアとつるんだことかも知れません。
 誰でも他人の利益を心がければ、人間まさかスリも戦争もしないこと請け合いです。

499 クラシックギター普及せず 19-06-2011(火)

先週&先々週アルハンブラの想い出&Gran Soloを題材にギターの国と思われているスペインではクラシックギターが市民権を得ていない現状を見て来ました。
難度ならアルハンブラの想い出よりGran Soloなのですが、Gran Soloよりアルハンブラの想い出の方が一般受けはするでしょうね。
それでも世はエレキやベースのキュイーン、ギョイーン、キャイーンの時代です。確かにクラシックギターファンから見れば雑音以上のドブ水に等しいのですが、クラシックギターもかしこまった曲だけではなく、いい意味でブロークンな選曲をした方がクラシックギターの普及にはなると思います。
この辺りをクラシックギター業界はもう少し考えた方がいいのかも知れません。考えてみましょう。

2012-06-11

524 スペインのひまわりの花と実(2) 5度目の再放送 05-06-2012(火)

 今年は例年より遅れてやっとその辺でひまわりが咲き始めました。最後の再放送です。

 人は花だけに目を奪われがちです。しかし、貴方の目に映っているあのこと、羨ましいと思っているあの人、カッコイイと憧れているそのこと、やってみたいこのこと・・・、これらは果たして花か実か良く吟味すべきです。    
 花だけ追求すれば、実を追求しないのですから実が残らない、つまり『収穫がない』のは当然です。人生に虚しさを感じる人は、追及して来た花が散って実が残らなかったから失望しているとも言えるでしょう。  
 他人の喧嘩と対岸の火事とスペインのひまわりの花は大きい程宜しいと言うのは所詮野次馬根性です。しかし、当事者(農夫)にとってはいくら花が咲き乱れ様が種の収穫がなければ総ての苦労は水の泡なのです。
 他人事なら花だけ面白がる野次馬根性でも害はないかも知れません。しかし、当事者、つまり自分の人生で花だけ追いかけて虚しさを収穫すれば、総てとは言わないまでも多くの苦労は水の泡です。
 もちろん、日本で忙しい生活を送っている人が息抜きにひまわりお花見ツア-でスペインに来て気分転換するのが悪いのでも何でもありません。しかし、旅行業界だろうが何だろうが人が実よりも花に目移りする傾向にある以上、世の中実(真に価値あるもの)よりも見栄えのする花の方が多くなるのは金と物第一の資本主義社会、そして、間違った意見でも過半数を占めれば正論となる民主主義社会の鉄則とも言えます。
 例えばツア-を売るためには旅行代理店にとってもお客にとっても正論は花、しかし、農夫にとっての正論は実です。貴方の人生の『正論』は花でしょうか、実でしょうか。私達人間が人生と言う畑を耕す農夫だとすれば尚更この点について明白な価値観を持つことが大切です。

 嘘は花は咲かせるが実は成らせない。-----或る昔の偉い人

 先々週の繰り返しになりますが、現実、真実、誠実でないこと、つまり、実がないことが広い意味で嘘なのです。もちろん綺麗に咲いた花は大いに結構なのですが、散った後実を結ぶ様な咲き方かどうかが問題です。
 もう一度429日のコラムをご覧下さい。一日何十万の収入、高級マンション・・・嘘で咲かせた人も羨むド派手な花が散った後の収穫の実は一日千円に事欠く哀れな老後。他人事ではありません。
 日本語情報センタ-はスペインの花の情報はもちろん、それを元に小さくても確実な収穫の実を結んでいただくための確かなきっかけを差し上げたいと思います。続けてスペイン週間コラムをお読み下さい。

498 究極のグラン・ソロをロマンティックギターで 12-06-2011(火)

筆者はテレビは見ませんが、先々週行きつけの食堂で偶然テレビニュースで紹介されたスペイン人・クラシックギタリスト、リカルド・ガジェン(Ricardo Gallen氏。頭はそうは見えませんが、1972年生まれの40歳。しかも、20世紀最高のクラックギタリスト、故アンドレス・セゴビアと同じ南スペイン、アンダルシア地方、ハエン県のリナレス町出身。因縁を感じますね。
YouTubeでテレビニュースと同じ曲、同じギターの映像を探して来ました。
まず、一目見てギターが変わっています。細長く、ヘッドの糸巻きが三味線の様に差し込み詮(漢字はあってますかね?)。昔のギターは皆そうでした。筆者のコレクション、マヌエル・ラミレスとホセ・ラミレス二世とマルコス・ロハス(サントス・エルナンデスの先生)も!? マルセロ・バルベロ世のハカランダは糸巻きですが、手工品!? いずれも古さが伺われます。
この手のギターを最近ロマンティック・ギター(Sp:guitarra romantica)と総称して、クラシックギター界では少し人気が出て来ているそうです。レオーナでもフランシスコ・アルバ氏の作品を紹介しています。現代に合わせて、調弦し易い様に糸巻きですが・・・。
映像ではボディが小さい分、弦長がかなり長く見えますね。中世並みに640mmほどでは手の大きな欧米人には弾き辛いので長めの製作でしょう。660mmはありそうです。
そして、弾いている曲がクラシックギターの読者にはおなじみのソルのGran Solo、しかも、かなり独特の編曲でミスタッチなし。
クラシックギター文化はないと言っていいスペインですが、行くとこ行けばいますから頼もしい限りです。ただ、一般受けしそうにない曲ではあります。クラシックギターの普及にはもう少し弾く曲の幅を拡げた方がいい気はします。

2012-06-04

523 スペインのひまわりの花と実(1) 5度目の再放送 05-06-2012(火)

先週ちょうど10年前に書いたスペインのひまわりのコルムナ9&10。この時期に2年毎に繰り返して載せて来ましたが、今年で最後になります。今年は大旱魃もあってか例年より開花が遅れている様です。

 スペインの夏の風物詩と言えばひまわり畑である。日本人なら躊躇なくこれを全部引き抜いてゴルフ場にしてしまいそうな広大な丘陵地にひまわりが栽培される。『ひまわり娘・伊藤咲子』など足元にも及ばない。
 私が初めてひまわり畑を見たのは観光ガイド1年目のこと。初仕事は冬だったのだが、観光バスの運転手によると全く何もない畑にひまわりが咲くのだと言う。なるほど春先になって発芽した小さな芽は小学生の頃家の庭にあったひまわりのそれに似ている様な気もした。そして、遂に6月初旬開花。あたり一面のゴルフ場にひまわりが咲いている光景は想像を絶する。
 ところが、2週間後通って見るとどこか元気のない様子。今日は具合でも悪いのかなと思ったのだが、翌週来て見ると明らかに散りかけていた。そして、完全に枯れた頃首を刈られて種を収穫されるのである。
 鉢植えの花などの固定概念で、どんな花も一度開けば12ヶ月は咲いていると私は思い込んでいたのだが、結局ひまわりは春先に種を蒔かれ秋には収穫される半年の命。その美しい盛りは僅か2週間なのである。
 人間ならせいぜいその150倍位かなと毎年この時期思う様になって23年。小さな芽を吹き、成長して最盛期を迎え、後は落ちる一方。ぶつぶつ文句を垂れながら容姿体力衰え枯れ果てて死んで行く。ひまわりの命はそのまま人の一生の縮図かも知れません。

 すべての人は草、その栄光はみな野の花の様だ。-----或る昔の偉い人

 ひまわり畑の目的は花ではなく、実は花が枯れてから熟成する種(油を採る)の『収穫』にあるのです。
 虎は死して皮を残す。ひまわりは花は散るが油を残す。貴方は何を残すのでしょうか(この項続く)。 

497 灯台元真っ暗“アルハンブラの想い出” 05-06-2011(火)

昔筆者が日本に居た頃、NHKの世界の名曲とか言う数分の番組に取り上げられていた様な気がします。スペインのFranciscoTarrega作曲のアルハンブラの想い出Recuerdos de La Alhambra)。そして、何とそのアルハンブラ宮殿のある南スペイン・グラナダ市に住んでいるどころか、アルハンブラ宮殿の中で10年間観光ガイドとして働いた筆者。筆者ほど『アルハンブラ宮殿はワシの庭じゃ』と公言して似合う日本人もいないでしょうね。
ところが、地元グラナダ市民は誰も知らないと言っていいほどこの曲を知りません!? おそらくクラシックギターをやっている人間と一部フラメンコギターをやっている人間だけじゃないでしょうか!? それほどスペインはクラシックギターに対する認知度が氷点下なのです。日本の読者には以外かも知れませんが、これが現実です。
現にレコード屋さんにはクラシックギターのCDが定番のセゴビアやイエペス以外せいぜい数枚しかない!? クラシックギターのマーケットが存在しないからです。
スペインはギターの国だとのイメージがあるかも知れませんが、フラメンコギターの国だと言った方が当っています。どんどん出て来るのはフラメンコギターリストの方なのですが、そんな中、先週スペイン国営テレビニュースにチラッと紹介されたクラシックギタリストは凄かったですね。来週観てみましょう。