2012-01-30

506 自分で自分の店に盗みに入ってお縄!? 31-01-2012(火)

計画倒産と言うことばは聞いたことがありますが・・・。
 スペイン中にBar(バル)があります。日本の喫茶店にアルコールも置いてあると思えば日本人には分かり易いかも知れません。ただ、ビールとワインは誰も酒と思っていない国なので、実際これらのBarでもレストランでもスーパーでもコーラ、ファンタの方がビール、ワインより高いのが不思議でしょうがない日本人旅行者が後を絶たない情熱のスペイン。この国ではビールは酔い冷ましに過ぎません。
 そこで先日南スペインのセビージャ(Sevilla)と言う都市のあるBarの経営者が自分のBarに盗みに入って現行犯で御用!? 日本人ならどっきりカメラかと思うかも知れませんが、最近の慣れっこになったスペイン人ならまたかと思うだけでしょうね。
 ここ20年ほどの間にスペインを旅行した読者は気付いた方もいるでしょう。スペイン中どこのBarでもレストランでも、事もあろうにスロットマシンが置いてあります。集金日間近には中にコインがジャラジャラあるのは誰でも分かる道理。そこで犯人のBarの主人自ら集金日前に強盗を装い、わざわざ自分のBarのシャッターをぶっ壊して、スロットマシンをぶっ壊して、中にあった約2000ユーロをせしめ、しかもBarの損害保険までせしめ様とした知能犯のつもりが運悪く現行犯で御用。本人は一挙両得、一石二鳥、漁夫の利の腹づもりだったんでしょうね。
 これを知り合いのBarの息子に話したところ、『この不景気じゃ、皆何でもやるわさ』と、どこか犯人に同情する様な訳の分からんコメント!?

 気違いは燃え木を死の矢として投げるが、隣人を欺きながら“ただ、戯れただけではないか”と言う者もそれと同じだ。-----或る昔の偉い人

 早い話、最近スペインではこの手の保険金詐欺事件が後を絶ちません。自作自演は中国や北朝鮮だけのお家芸ではなく、結構国際的なんですね。
 仕事がなければ、移住でも出稼ぎでも何でもやって人生仕切り直せばいいだけのこと。安アパートを借りて、最低賃金でも死にはしません。
 生活レベルを落としたくなかった・・・。日本でも良く聞く、捕まった詐欺師の言い訳の決まり文句じゃないですか。それを言っちゃあお終いよ(渥美清)!?
 誰でも金回りがいい時は善人です。しかし、真の善人なら貧しても、度を越して戯れて鈍することもまたないはずです。
 おっさん、アホか!?

480 良いギターからは良い音か(1) 31-01-2011(火)

読者もギター選択は、最後は音です、音色です(先週のコルムナ)。
 つまり、ギターAとギターBの2本あり、ギターAの方がより良い音ならギターAを選びなさいと言うことです。
 それではベンツと国産軽自動車のどちらがいいかと言われれば、金の有る無しはともかく、ベンツの方が圧倒的にいい車です。確かに排気量、登坂力、乗り心地など格段の差があるはずです。 
 それではベンツに乗る人が皆運転上手かと言えば、それはまた別の問題です。
 ギターも同様です。良いギターを手にしたからと言って、その良いギターから良い音を出すことは全く別の問題かも知れません。
 しばらくコルムナしてみましょう。

2012-01-23

505 人はその聴く音楽による 24-01-2012(火)

カンペール(CAMPER)と言う、日本でも結構有名なスペインの靴メーカーがあります。
 先日聞いた確かな話。皆(かどうかは知りませんが)製造は中国製!?
 余り知られてはいませんが、確かにスペインは昔から靴の生産国でもありました。しかし、21世紀の今日、中国人に魂を売ったのは靴だけではありません。
 何とフラメンコ衣装まで!?
 日本の国技相撲の廻しが中国製みたいなものですね。
 確かにユダヤ人の身ぐるみ剥がして追放して、500年振りに謝った割には盗んだ物は返さなかったスペイン人も面の皮は厚いですが(先週のコルムナ)、中国人もここまでやればあっぱれです。

 聞く耳のある者は聞きなさい。-----或る昔の偉い人

 毎回コテコテのスペイン料理では寿命を縮めますので、筆者は週3、4回は中華料理屋に行きます。近年どんな店でもおかしなギュイーン、ギョイーンとか言う金属音の、音楽とは名ばかりのうるさい雑音ばかり聞かされてうんざりなのですが、ここの奥さんがとても中国人とは思えない常識のある人で、それは店内に流れる音楽にも表れています。
 最近かかっている曲が結構気に入りましたので、先日CDのジャケット見せてもらいました。
 この曲は10年ほど前スペインの香水のコマーシャルで使われていました。いい曲ですね。こちらはこのCDのメインテーマの様です。
 いずれもピアノ、特にバイオリンがいいですね。やはり、合成音は合成着色料と同じで発ガン物質です。自然の木の音が一番です。

479 衝撃のアントニオ・デ・トーレスのギター(4) 24-01-2011(火)

読者がもし、素人でも一見して最低最悪の材質のギターだと分かる節目だらけの見てくれの悪い、しかし、恐ろしく良く鳴る無名製作家のギターと見栄えのいい有名製作家のそこそこの出来の新作ギターがあれば、一体どちらに惹かれるでしょう?
 分からん人ほど見た目と名前で後者を好み、分かっている人ほど音で前者を選びます。
 確かに、100年後の現在、こんな節目だらけのギターを世に送り出す製作家はいないでしょう。
 しかし、だからと言って読者はこのアントニオ・デ・トーレスの名器の如き、最低最悪の材質のギターだと分かる節目だらけの見てくれの悪い、しかし、恐ろしく良く鳴るギターが目の前にあれば、頭ごなしに一蔑しますか? 今日世の楽器屋はそうでしょう。商売になりませんし、そんな楽器を置けば信用にさえ関わります。
 しかし、最後は楽器は音です。美声のソプラノが普段着でステージも困りますが、めかし込んで盛装して声が今一の方が遥かに根本的に問題なはずです。
 読者もギター選択は、最後は音です、音色です。

2012-01-16

504 6年もかかるか!? 17-01-2012(火)

近年アルハンブラ宮殿を訪れた読者は分かると思いますが、エンブレム的存在のライオンの中庭のライオン12頭がず~と修復中で極めて色気のない状態でした。先週土曜日やっと修復されて戻って来ました。6年後に!?
 確かに何をやっても時間のかかる国なのですが、世界中から観光客の押し寄せるユネスコの世界遺産のくせに6年もかかるか!! と言われてもマイペース。しかも、ついでに床下も掘り下げて発掘したりして、結局6年。それでもご覧の様にライオンは戻りましたが、周囲はまだまだ。
 これらライオン12頭は当時グラナダに住んでいたユダヤ人共同体がアルハンブラ宮殿のアラブの王に献上した物。従って、12頭はイスラエル12部族を表します。
 イスラエルとアラブと言えばいつも戦争している印象が強いのですが、スペイン・イスラム時代には結構共存共栄していたのですね。と言うか、歴代アラブの王は商売上手なユダヤ人を下手に迫害したら国が衰えることを知っていたのでしょう。ユダヤ人を迫害した国は経済的に衰退するのが世界史の通例です。
 事実1492年1月2日無血入城でアルハンブラ宮殿を落としてスペインを国家統一したカトリック両王(フェルナンド王&イサベル女王)は3ヵ月後の3月31日ユダヤ人追放令でスペイン中のユダヤ人の家財を没収して国外追放にします(泥棒か!?)。その金で両王から資金援助してもらったコロンブスは4隻の船団を組み、半年後の10月12日初めてカリブ諸島を発見します。
 ところが、勅令に背いてスペイン北部はユダヤ人を残します。皮肉にも現在スペインは産業は北部に多く、ユダヤ人を根こそぎにした中部南部はオリーブ畑しかないことはスペインを旅行した読者なら記憶に残っていることかも知れません。

 あなたがたは在留異国人を愛しなさい。-----或る昔の偉い人

 今でも520年前にスペインを追われたユダヤ人の子孫はその家の鍵を持っているそうです。
 ちょうど500年目の1992年、バルセローナオリンピック少し前にスペイン政府はイスラエルの確かシモン・ペレス外務大臣を国会に招き、スペイン国王が公式に謝罪しました。公式にですが、決して心からではなかった様です。盗ったものは返しませんでしたからね。
 グラナダ市内では昨日夜やっとクリスマスの飾り付けが一斉に取り外され、アルハンブラ宮殿予約センターは未だに『現在12月27~31日までは売り切れです。』の音声ガイドが流れ続けています。いつまで続くか楽しみですね。
 確かに急がないと言うか、何と言うか・・・。飽きん連中じゃ・・・。

478 衝撃のアントニオ・デ・トーレスのギター(3) 17-01-2011(火)

あの日グラナダにコンサートに来ていた神戸のクラシックギタリスト弘井俊雄氏も、マヌエル・カーノ先生のコレクションの中でアントニオ・デ・トーレスのこの節目だらけのとんでもないギターが群を抜いて一番凄いとの感想でした。
 何故か? 確かにどんな名工も何本かに一本はハズレがあり、無名の製作家のギターも何本かに一本かは当りが出ます。そう言うものです。
 それにしても、最低最悪の材質で世界最高峰の音質・・・。あの時は確かサントス・エルナンデスやイグナシオ・フレタもあったと記憶していますので、世界最高峰と言っても言い過ぎではないはずです。しかも、最低最悪の材質で出来たギターがです。
 先週の目隠しして弾けば安いバイオリンの方が評価が高かったストラディバリウスのバイオリンではありませんが、高価な木材だから良い音のギターが出来るとは限らないこともまた絶対的な真理であることを近代ギターの開祖アントニオ・デ・トーレスは見事に証明したことになります。
 何故か? と言われても困りますが・・・。

2012-01-09

503 生活が苦しいのでスペインでも二足のわらじ 10-01-2012(火)

やはり筆者の地元グラナダCFは正月早々リーグ第一戦は予想通りReal Madridにボロ負け
 これはリーグ戦です。リーグ戦では同じリーグ内のチームとしか試合はありませんが、下位リーグから参加出来る国王杯と言うのがあります。国王のいない国ではどう言うか筆者は知りませんが、たまに格下リーグのチームが有名チームを倒してニュースになるのも国王杯ならではの出来事です。
 それでもサッカーに興味のない筆者はどんな番狂わせが起きても『あ、そ~』としか思わないのですが、先日偶然テレビで見たスポーツニュースは印象に残りました。
 まず、試合はスペイン北部の地方リーグに過ぎない2部リーグB(実質3部リーグ)のMirandesなる田舎チームが1部リーグのVillarrealを2-0で下す大番狂わせ。ご覧の様に見るも無残な小さなホームグランドで2得点(00:30&00:36)を叩き出したのが若いの見事に禿げたこのPaulo Infanteなる選手。特に1点目は凄いですよね。
 それでもサッカーに興味のない筆者は『あ、そ~』としか思わないところですが、ご覧の様に試合のダイジェストの前の00:13~00:29にサッカーとは無関係の映像が流れます。
 世界的不景気もあり、サッカーだけで生活出来るのは全国リーグの1部と2部Aだけ。それ以下は昼間別の仕事をしなければ生きて行けないプロサッカー選手達。アナウンサーが公設市場の仲間が応援に来ていますと実況していたのが懐かしい錦利弘みたいなものですね。
 そこでこのPaulo Infante選手の翌朝8:00からの銀行マン振りが最初紹介されていた訳ですが、客から『やったやないか!!』とか言われて、この日はさすがに仕事にならなかった様です。
 
 自分の口ではなく、他の者に貴方を誉めさせよ。自分の唇ではなく、よその人によって。-----或る昔の偉い人

 自己吹聴は醜いが、やることやっていれば他人の評価は自然に伴う訳ですね。それが二足のわらじを立派に履きこなすことなら尚更賞賛に値します。
 ローン返済に追われて仕方なくアルバイト2つ掛け持ちする二足のわらじとはニュアンスが随分違う様です。

477 衝撃のストラディバリウス 10-01-2012(火)

昨年末から近代ギターの開祖、衝撃のアントニオ・デ・トーレスのギターについて書いています(1)(2)。もう少し続きがありますが、新年早々ギターにも通じそうで怖い衝撃的なバイオリンの記事がありましたのでご紹介します。短いですので全文掲載します。

 バイオリン名器の音色、現代モノと大差なし?【ワシントン=山田哲朗】(2012年1月4日10時56分 読売新聞)
 何億円もすることで有名なバイオリンの名器「ストラディバリウス」や「ガルネリ」は現代のバイオリンと大差ないとする意外な実験結果を仏パリ大学の研究者らが3日、米科学アカデミー紀要で発表した。
 研究チームは2010年、米インディアナ州で開かれた国際コンテストに集まった21人のバイオリニストに協力してもらい、楽器がよく見えないよう眼鏡をかけたうえで、18世紀に作られたストラディバリウスや現代の最高級バイオリンなど計6丁を演奏してもらった。どれが一番いい音か尋ねたところ、安い現代のバイオリンの方が評価が高く、ストラディバリウスなどはむしろ評価が低かった。
 研究チームは「今後は、演奏者が楽器をどう評価しているかの研究に集中した方が得策」と、名器の歴史や値段が影響している可能性を指摘している。

 衝撃的ですね。ギター業界も同じだったら衝撃的でしょうが、同じでしょうね。
 今後とも『スペインギター振興会レオーナ』は名より実でスペインギターだけをご紹介して行きます。

2012-01-02

502 2012年人はオカマには生まれない 03-01-2012(火)

元旦早々のスペインの有力全国紙El Paisの記事。もっと詳しく言えば『科学的に人は同性愛者には生まれない』がその見出し。もっとも、『同性愛を理解し治す』なるタイトルの本を書いて記事になったこのRichard Cohenなる心理療法士(日本語でどう言うかは知りませんが)はアメリカ人ですから、国際ニュースかと思ったら社会欄の記事。
 つまり、スペインではこの本が社会的な議論を巻き起こしている訳です。治すのだからオカマも女オカマも病気だ異常だ変態だと暗に言っていることになり、数年前から男同士女同士の結婚が合法的に認められている同性愛天国国家スペインに一石を投じて二鳥の話題になった訳です。
 その波紋はスペインオカマレズ協会(合法機関)の猛烈な抗議で全国に展開する百貨店El Corte Ingles の書店での販売を中止させたほど。譲る方も譲る方ですが…。
 細かくは訳しませんが、近年のアメリカにおける遺伝子やホルモンの研究結果によれば、同性愛は決して生まれつきではなく、総て後天性だそうです。しかも、現在58才で奥さんと2人の子供のいるこの著者自身、元オカマだそうですので、説得力はあります。

 自然自体がそう教えていないでしょうか。-----或る昔の偉い人

 筆者はミーハーに興味はありませんし、テレビ自体見ませんが、見る気はなくとも毎日見ている天下の朝日新聞や読売新聞サイトに頻繁に載れば否が応でも目に入る女子高生48人グループ。ミーハー自体は百歩譲るとしても、女同士がキス!? つい先日見様と思って見た訳ではないYouTubeのTopページに映像もあったのですが、これはご覧の様に現在消されています。まだ見ておぞましいと言う常識が残っているだけマシかも知れません。 
 こんなのが被災地への義捐金呼びかけ、紅白に出て、レコード大賞で国民的アイドル!? お宅の娘が真似して女が好きになったらどうするんですか、読者の皆さん!!
 総ては自然が自然であれば丸く収まることばかりのこの世の中で、『同性愛を理解し治す』より、初めから自然を尊んで変態にならなきゃいいだけの話。何を人間様はわざわざ自然を捻じ曲げて喜んで、金儲けさえして、それに喜んで乗せられて、日本全国キャーコロ騒いで恥も外聞もないのでしょうか?
 今年もまた自然に楯突くバカな人間様の罪深い習性を惜しげもなく曝け出すことに地球の裏側も表側もない一年になりそうです。
 スペインは早速元旦から前祝いに公共料金や税金の一部値上げ。3月には第二弾、第三弾と次々に新政府の本格的お祝いが用意されているそうです。合掌・・・。

476 今年もスペインギターで 03-01-2012(火)

読者の皆さん、明けましておめでとうございます。
 今年もまたおかしなことが平然と起こる極めて不安定な一年になりそうなのは日本やスペインのみならず、全世界的地球的な傾向でしょう。
 だからこそ、この様な明からさまな人間様の金銭物欲自己中砂漠社会に在って、各自そうではない価値観のオアシスを持ちたいものです。また、それを持たない人は精神的にキツイかも知れません。
 砂漠にオアシス…。それがある人には読書、旅行、生け花、囲碁将棋…かも知れません。大いに結構じゃないですか。
 そして、それをギター、特にスペインギターに価値観を見出して、今年もまたギターコルムナして行きます。お付き合い下さい。