2012-04-23

518 学生サッカーなんかあったのかスペイン 24-04-2012(火)

サッカーだけは世界一なのであるだろうとは思っていましたが、こうして実際新聞記事として大学リーグが目に留まったのはスペインに来て33年目にして初めてでした。先週の話です。
ところが、スペイン国民さえ大学サッカーリーグの存在さえ知らないんじゃないかと思うほど普段から扱いが極めて小さいのです。ご覧の様にコメントも見事にゼロ!?
いえ、U21ユースチームが世界大会で大活躍してさえ大したニュースには成り得ません。プロの一部リーグ以外はスペイン人サッカーファンもマスコミも興味を示さないのです。
良く言えば実力至上主義だからでしょうね。一部リーグと二部リーグどっちが強い? そりゃ一部リーグに決まってまんがな。そしたら一部リーグだけ見とったらええやないか・・・。これがスペインの、いや、世界中のプロスポーツファンの心理じゃないでしょうか? そりゃアメリカでもマイナーリーグより大リーグの方が実力、スケール、ギャラ、桁違いでしょう。
だからこそ、悪く言えば勝てば官軍、負けたら賊軍みたいなところはありますね。連勝すればファンは歓喜するし、負けが込めば監督辞めろの大合唱。
こんなメンタリティーならプロでも地方リーグや、ましてや大学リーグなど見向きもされないのは当り前です。
ですから、たかがハイスクールボーイの日本の高校野球の人気は外国人には理解不可能な世界かも知れません。

 正しい人は人に与えて惜しまない。-----或る昔の偉い人

そんな中、先週先々週とNHKで放映された土曜ドラマスペシャル「あっこと僕らが生きた夏」は考えさせられましたね。たまたま筆者の母校も同じ年の同じ夏の甲子園大会に出場していましたので、この話しは当時ネットの新聞サイトで知ってはいました。早速その辺の無料動画で前編&後編見ました。
 脚色はともかく、これは実話なのですから人生とは何か、生きる意味とは何か考えさせられます。
そして、技量はあるが人間味の無い、勝った負けただけの薄っぺらいスポーツ感に圧倒的に優る価値観が確かにここには香ります。
人間味が無ければどんなスポーツ的快挙もすぐ忘れられます。しかし、真の名作なら時空を超えていつまでもその余韻が読者の心に芳香となって残ります。
読者も筆者も否が応でも他人に読まれている小説を書いているのが人生かも知れません。無人島にでも住んでいない限り確かにそう言えます。
名作か駄作か三文小説か落選か・・・。何も難しく考えることもありません。人間味があるかないか・・・。余韻の質はただこの一字に掛っているのです。それは人に与えて惜しまない心かも知れませんね。

492 ギターは足で弾くアンドレス・セゴビア(4) 24-04-2011(火)

いくら足がメトロノームとは言え、足だけリズムに乗ると言うことはあり得ません。体全体がリズム、そして、曲想に乗ってこそ足も勝手に動くと言うものです。
それでは今週はフラメンコギターリストの真似をして、読者もギターを弾きながら足が勝手に動く感触を養ってみましょう。
3/4のワルツなら、頭のアクセントの一泊目に足を踏みます(右足左足どっちでも良い)。つまり、○××(強弱弱)。足だけでなく、体全体が3拍子に乗る感触を模索して下さい。
同じ3/4のワルツを×○○(強弱弱)と踏みます。とは逆にアクセントのある一泊目は足を上げて、アクセントが無い2泊目3泊目を軽く踏む訳です。リズムを鍛えると思ってやってみましょう。これはこじ付けではなく、フラメンコではブレリアスと言う形式で見られる足の踏み方です。
3/4のワルツですから、手っ取り早いところで禁じられた遊びで足を踏んでみましょう。もちろん、×○○(強弱弱)の方が難しいはずです。
いずれにせよ、曲想に乗れば乗るほど手も足も楽になりますから、意識して足を踏まないことです(と言われても難しい!?)。そうすれば天下のアンドレス・セゴビアの言った上手く弾けるなら足で弾いても良いの意味を少しは体感出来るかも知れません。
とまあ、こんな意味じゃないかと筆者は思いながら4週に渡って書いてきましたが、読者ならこの20世紀最高のクラシックギタリストのことばをどう取るでしょう?

2012-04-16

517 見事にやられてバカ負け一本!? 17-04-2012(火)

筆者は最近傘を持っていませんでしたし、スペインは今年大旱魃なので傘も必要なかったのですが、先日久しぶりに雨が降りましたので傘を買うことにしました。
 まず頭を過ぎったのが中国製は嫌だなと言うことです。そこでちょっと高そうな店に行ったところ、一番高いのが15ユーロ(約1600円)。後は12ユーロ(約1300円)だったので、ま、高い方にしておけばいいやと思いました。
 一応スペイン人店主にも中国製ではないことを確認しましたが、どこ製かは分からないとの回答。実際使ってみるとジャンプ傘で便利だし、中々見た目もいい。やっぱり、その辺で5ユーロ(525円)で売っている、どうせ中国製の安物とは違うなと思いました。
 そして、数日経って傘をケースに収め様と丸めてみると、留め布にデカデカと漢字で梅花(メイファ)!?
 絵に描いた様なバカ負け一本で筆者の完敗でした。日頃から中国製には気を付けていたつもりでしたが、見事にハメられました。払った15ユーロの内いくらかは中国の軍事増強に使われて日本を狙っている核ミサイルの一部になると思うと残念でなりません。

 どんな貪欲にも注意して、良く警戒しなさい。何故なら、いくら豊かな人でも、その人の命は財産にあるのではないからです-----或る昔の偉い人

 筆者が最初スペインに来た頃は日本製の電気製品が巷に溢れ、33年前初めて行ったパリのシャンゼリゼ通りの電気店のSONYのカラーテレビでキャンディーキャンディーをやっていたものですが、今は中国が取って代わったと言うことですかね?
 やはり、黄禍論と言うのは当っているんじゃないかと思いますが・・・。
 利潤追求第一でがむしゃらに突っ走って来て、遂に膝にガタが来たのが今の日本だとも言えます。ただ、日本の救いは中国人ほど押しが強くないことかも知れませんね。銭ゲバで押しが強ければ民度百倍です。
 それにしても地球の裏側のスペインの傘まで・・・。凄い繁殖力です。止められない止まらない(♪)かも知れません。それに、確かにいい傘です。一昔前の安かろう悪かろうの時期はもう卒業しつつあるのかも知れません。
 世界中に中国製スペインギターが今以上に溢れる日も遠くはないのかも知れません。合掌・・・。

491 ギターは足で弾くアンドレス・セゴビア(3) 17-04-2011(火)

この映像を見ると分かりますが、ギタリスト(大御所Manuel Franco)を初め、皆の足が常に動いています。この様に、フラメンコギターは足で基本リズムを取りながら弾くのがむしろ普通なのです。
 つまり、足がメトロノームとも言えます。足でリズムを刻む十分と、同時に指でギターを弾く自分が居る訳ですから一人二役ですね。これは故意にやろうとするとかなり難しいです。
 ところが、画像を見ると分かりますが、これはギタリストに限らず皆足が勝手に動いている、つまり、足が勝手にメトロノームしていると言った方が当っています。
 足が全車両を牽引する機関車で、指のテクニックは客車の装飾だとも言えます。当然機関車の方が主で、客車と指は従です。客車が走るためになすべきことは客車の装飾ではなく機関車に連結されているだけのこと。連結さえされていれば、後は引っ張ってもらうだけです。客車は機関車ほどに走るのなら、指も足ほどに動きます。
 フラメンコの土地、南スペインアンダルシア地方ハエン県に生まれた20世紀最高のクラシックギタリスト、アンドレス・セゴビアもこの感覚は本能的に肌に染み付いていたはずです。
 上手く弾けるなら足で弾いても良いとはこの意味ではなかったかと筆者は想像します。

2012-04-09

516 金くれや!? 10-04-2012(火)

先日シリアのヨルダンに行った日本人旅行者から聞いた話。どこに行っても地元の人間が大勢One Dollar(ワンダラー)と言って物を売り付けて来るそうです。終いには日本人皆でここはワンダラーランドかと言っていたそうです。
 そう言えばこれは14、5年前に聞いた似た様な話ですが、インドネシアでは『シェン円、シェン円』と日本語で(!?)売りに来るそうです。
 そしてこれは7、8年前中国に団体で行ったおばはんから聞いた話ですが、中国人は金をもらうまで引き下がらず、ニタニタ笑って付いて来るそうです。
 いや~、どこもろくな奴はいないですね。見かけや文化や宗教は違えど第三世界の構図、いえ、性根は皆一緒です。性根が一緒なら実が同じなのもまた当り前。
 ま、それを国ぐるみでやって国ごとコケたのがギリシャな訳ですから、さすがにクサってもEUはスケールが違います。

 貧しくても誠実に歩む者は、富んでいても曲がった道を歩む者に勝る。----或る昔の偉い人

 そう言えば昔日本にもさもしい浪人さもじろうなんつうのがいましたっけね。
 それにOne Dollar(ワンダラー)どころか、日本にも『百円もろた~、百円もろた~』と歌って踊っていたおかしなお兄さんもいましたよね。あれは昭和40年代前半でしょうが、当時100円にも結構価値があったのかも知れません。
 何が売れるか・・・。物を金に替えるだけの目的ならこの発想になりますが、例え大した金にならなくても、何を売りたいか・・・の発想の方がより真実です。より真実ならより誠実です。そして、より誠実であればバカを見て貧しくなります・・・かね? ま、下手して第三世界人間に身を落とすよりはいいじゃないですか。

490 ギターは足で弾くアンドレス・セゴビア(2) 10-04-2011(火)

筆者の手元に大昔の日本のギター雑誌があり、20世紀最高のクラシックギタリスト、アンドレス・セゴビアが次の様に言ったと記されています。
 上手く弾けるなら足で弾いても良い。
 これについてある日本人ギタリストのコメントを先週ご紹介しました。
 アンドレス・セゴビアは筆者の住む南スペイン、アンダルシア地方グラナダ県の北隣、ハエン(Jaen)県リナレス(Linares)の出身。バリバリのフラメンコの土地柄です。だったら、この解釈は講釈も能書きも要らないんじゃないでしょうか?
 読者も一度フラメンコを見ると分かりますが、後ろで唄と踊りの伴奏をしているフラメンコギタリストは皆足でリズムを取っています。と言うか、勝手に足が動いています。この意味じゃないでしょうか?
 フラメンコギターをやっている読者は良くこの意味が分かると思いますが、クラシックギターの読者はさっぱりでしょう。次回コルムナしてみましょう。

2012-04-02

515 中国人さえ呆れるスペイン人 03-04-2012(火)

筆者の知り合いの日本在住の日本人が先日Barcelonaに行った時のこと。ある雑貨商の中国人とお互い下手くそなスペイン語で話したそうです。
 読者も一度スペインに来ると分かりますが、今日どんな市町村にも中国人経営の雑貨店がその辺にあります。中国製品で溢れる日本の100円ショップは日本人経営ですが、スペインの場合は中国人が乗り込んで来てそのまま開業すると思えばイメージが掴めます。その中国人店主曰く。
 スペイン人は働きゃしないな(確かにそうだ)。
 スペイン人はある金は後先考えず皆使って貯金せんな(後先考えずに結婚さえする連中なので金の使い方などなお更同じ)。
 我々東洋人とは全然違うよな(中国人に一緒にされとるわい!? これには知り合いも大笑い!?)。

 受けるより与える方が幸いです。-----或る昔の偉い人 

 しかも、これはスペインでも一番真面目と言われるカタルーニャ地方(州都Barcelona)の話。後は皆それ以下で、南に行くほどそれ以下になります。つまり、筆者の住んでいるアフリカの上のアンダルシア地方がそう言う土地です。働いたら何か損した気分になる思考回路の連中が5割位でしょうか。
 確かに見ていると中国人は良く働きます。ただただ財を成すためだけに出稼ぎに来ているのですから、ある意味当然の習性と言えるかも知れませんが、この連中は金だけが価値観だと言うのは無言の臭いで鼻に衝きます。
 我欲のために働くのも、我欲のために働くことを厭うのも、働いた方がいいに決まってますが、広い意味で双方受ける価値観の我欲には違いありません。  
 金銭社会に生きている我々は金銭を報酬として受けなければ生きて行けない訳ですが、それでも与える価値観が見えない根底にあれば、見える表面もまた別の無言の臭いが人様の鼻に衝くはずです。 クサいか芳香か。受けて嬉しい性根か、与えて嬉しい性根か。良く考えなければ一蓮托生にされそうです。

489 ギターは足で弾くアンドレス・セゴビア(1) 03-04-2011(火)

筆者の手元に大昔の日本のギター雑誌があり、20世紀最高のクラシックギタリスト、アンドレス・セゴビアが次の様に言ったと記されています。

 上手く弾けるなら足で弾いても良い。

 これについてある日本人ギタリストが次のコメントを残しています。

 前後の脈絡がないので本当に意図したところを取り違えるかも知れませんが、推量してみますと二つの考え方があります。

 まず、文字通り上手く弾けるなら足で弾いても良いです。曲芸的な見世物なら話は別ですが、実際にはあり得ないこととしても、現在あるギターの弾き方よりも良い方法があるなら、既成概念に捉われず柔軟な考えで、自由な姿勢で自由な弾き方をすれば良いと言う考えです。


 これは余談になるかも知れませんが、イエペスには従来とは全く異なる着想の技術や運指がありました。例えばイエペス編集のスカルラッティのソナタ・ト長調は大変良い曲であることもさることながら、左手の親指を押弦に使うことでも有名です。チェロの奏法からヒントを得たのではないかと推察されますが、大変な着想だと思います。これなどはもしかすると「上手く弾けるなら・・・」の一つの実践例ではないでしょうか。

 もう一つの考え方は正反対で、あきまでも現在ある姿勢、現在ある弾き方が良いのだと断定しているという解釈です。もし、大胆に推理を許していただけるなら、数十年に渡ってギター界の頂上に君臨して来た人のことばとしては「上手く弾けるなら足で弾いても良い。だが、足に限らず他のどの方法でも上手く行くはずがない。現在の方法が一番良いのだ。」と考えるのではないでしょうか。

 以上二通りの解釈を併記しましたが、どちらにも解釈出来るので困ってしまいます。強いて私の考えを述べると後者ではないか思います。

 次回は筆者の解釈をコルムナしてみましょう。