2010-06-28

427 あるモロッコ人のワ-ルドカップ 29-06-2010(火)

 大体モロッコ人にはロクなのがいないのですが(コルムナ276)、一人だけ気心の知れたのがいます。実は筆者は20年以上前グラナダ市内の路上でテキ屋家業をしており、その仕事道具一切をそっくりそのまま譲った奴だからです。
 日本語情報センタ-の近くの旅行者の良く通りそうな場所で闘牛とフラメンコのポスタ-にその場で名前をスタンプで入れて6ユ-ロ(約750円)。雨が降ったら仕事は休み!? 昨今の世界的大不況も相まって売れ行きは芳しくないみたいです。おまけに筆者の頃と違って近頃は市条例の規制があり、警察の目を盗んでの営業。
 近くと言うこともあり、筆者は世間話によく寄ります。最近はサッカ-ワ-ルドカップの話題。
 遠征で死傷者が出たら円形闘技場で殺戮ショ-を見せて市民の関心を逸らせていたロ-マ皇帝と理屈は同んなじ。どこが勝とうがそんなこたぁどうでもええ。何を球蹴りにそこまで入れ込むんじゃ。ワ-ルドカップ終わったら皆(現実の不況に)目が覚めるのに、アホか!?
 モロッコ人にもスペイン週間コルムナみたいな考え方の奴がいるとは驚きます。なかなか見所のある奴じゃ。

 明日は死ぬのだ。さあ、飲み食いしようではないか。-----或る昔の偉い人

 どこの国の誰でも好きなスポ-ツ、歌手、俳優などいるのは当たり前ですが、まるで魂を吸い取られた様にのめり込むと言えばなかなか日本人読者には理解し難いかも知れませんが、スペイン人に限らずそう言う風に明日を考えないでこの一事に酔い痴れるタイプのファンが多いのがサッカ-かも知れません。
 人生酔っ払って人事不詳に陥るのは酒だけとは限りません。このモロッコ人の言う様に酔いから醒めた時が正念場・・・と悟っている人はまずいないだろうと思わざるを得ないほどの狂信振りは新興宗教なみ。新興宗教は金目教だけにして欲しいのだ。
 さて、今日は第1試合が日本、第2試合がスペイン。両方共勝てばぶつかりますが・・・。

401 ちょっと一服:ギタ-は敵性楽器か? 29-06-2010(火)

 先週東京出身のおじいさんがやって来ました。
 子供の頃昭和16年夏ギタ-を習いに行こうと思ったら、敵性楽器だから止めとけと言われたとか。
 戦前ギタ-教室なんかあったんですか? との筆者の問いには〝結構ありましたよ〟。
ハワイアンなんか持っての外でしたね〟。そりゃそうでしょう。何せもうすぐ爆弾を落としに行く所の音楽だったのですから!?
 それにしても、ギタ-の作りはドイツ流派とスペイン流派。同盟国ドイツとヒトラ-からの武器援助でスペイン内戦を勝たせてもらった悪党フランコ将軍のスペインと日本はお互いスパイの交換までした友好国の代表的楽器なんですが!?
 当時の日本の軍部はそんなことはつゆにも知らず、横文字なら皆鬼畜英米だと思ったんでしょうね。何せ、ストライクワン&ボ-ルツ-がよし一つ&だめ二つの時代だったのですから。
 私達は金融経済危機にも拘らず、それでもまだ大っぴらにギタ-を弾ける優雅な時代に生まれたことを感謝しましょう。
 見方によっては優雅とも言えなくはない銭ゲバ中国製スペインギタ-の続きはまた来週。

2010-06-21

426 アルゼンチンの気違い 22-06-2010(火)

 もう20年ほど前のことでしょうか。今サッカ-ワ-ルドカップで偉そうにアルゼンチンの監督をやっているマラド-ナが現在もスペインの1部リ-グのSevillaFC(セビ-ジャ・フットボ-ル・クラブ)で1年だけプレ-したことがありました。
 確かに個人の技量は凄いのでしょうが、試合でも私生活でも身勝手丸出しの滅茶苦茶な品性はファンのはずのセビ-ジャ市民さえ早く帰れと言うほど。チ-ムもその年は泣かず飛ばずの成績だったと記憶しています。
 筆者の一番の記憶に残るのがセビ-ジャ市内を時速100Kmでブッ飛ばして現行犯でお縄!? そして、契約が切れるや否や逃げる様に飛行場からトンズラ。
 ある日筆者がラジオを聞いているとスペイン人コメンテ-タ-からあんなのが子供達のヒ-ロ-とは情けないと言われる始末。 

 いかに学才技芸ありとも心に愛なくば光はなし。-----或る昔の偉い人

 確かに新聞で今回のワ-ルドカップでの写真を見る限り(筆者はテレビも見ない)、一時期の薬でイカれたトロ-ンとした腐った鰯の目の様ではありませんが、良く言えば表情豊かで、悪く言えば奇人変人の臭いがどぎつく漂っています。
 神の足ならまだ多少の謙遜さも感じられるかも知れませんが、大体サッカ-で何で神の手シュ-トなんじゃ!? これではレフリ-の目を盗んで凶器攻撃で相手を一突き、一瞬でフォ-ルを奪う悪役レスラ-と理屈は全く同じ。 
 どこが優勝し様が筆者には関係のない話です。

400 メ-カ-の名前で困惑ギタ-かな:③中国製スペインギタ-(3) 22-06-2010(火)

 筆者は大学1年の夏、名古屋市内のある製菓工場でアルバイトしました。具体的にどんな作業だったかはもう覚えていないのですが、腰を痛めましたので、かなりの重労働だったことは確かです。それに加えて蒸し暑い名古屋の夏。荒行に近かったですね。34年後の今、とてもこんな真似は出来ません。
 作ったお菓子は何かと言えば、有名製菓会社○○○のマスカットキャンディ-だったことは良く覚えています。本社が岡山県だから輸送費を省くために地元の名も無い工場に下請けで作らせているのだろうことは紅顔の美少年にも想像がつきました。
 そして、菓子袋の裏面の下の方には確かに筆者のアルバイト先の製菓工場の名前と名古屋市~区~なる住所が控えめに明記してありました。
 これならいいのです。しかし、中国製スペインギタ-を取り巻くギタ-商人達にこんな節操はありません。

2010-06-14

425 大音響スペインの救急車 15-06-2010(火)

 これは実際体験しなければ分からないことなのですが、スペインの救急車のサイレンは空襲警報並みにうるさいのです。しかも、グラナダ市役所横の市のど真ん中の日本語情報センタ-前は一日30台ほど無礼講で通り過ぎます。日本人から見れば人間の聴覚の限界を超えている大音響なのですが、道行く一般スペイン人市民は気になる様子さえなし。どうやら生まれつき鼓膜の分厚さが違う様です。
 以前ロ-マに行った旅行者の話によれば、ロ-マも一日中救急車のサイレンが大音響で鳴りっ放しとか。スペインとイタリアはことばも国民性もほぼ同じなのでこの現象は頷けます。
 ところが、大半は患者が乗っていないし、急いでもいない!? ただ単に信号飛ばしにやっているだけ!? 日本でもそう言う話を昔聞いたことがありますが、そう言えば日本語情報センタ-の真下で救急車が来たなと思ったら急に大音響サイレンが良く途切れます。こんな所に急患がそんなに頻繁にいる訳はない、と思ったら、赤信号をすり抜けたと同時にサイレンを切って、10数秒後次の赤信号でまたそこ退けとばかりに鳴らし始める!?
 早い話が身勝手そのもの。身勝手する方もされる方も、類は友を呼んで少しも波風立たないところがこの民族の凄いところかも知れません。
 ところが、先週いつもの様に22時ヌエバ広場にフラメンコの送りに行くと、サイレンを鳴らさずに忍び寄る救急車1台。少しは倫理観のある赤十字隊員もいるじゃないかと感心していると、筆者がいたすぐ横の居酒屋の入口に横づけ。よく見れば床に誰かぶっ倒れている。急患がいるならサイレン鳴らして来いよ!?
 こうなると一体何が何だか分かりませんが、とにかくバカボンのパパ並みに賛成の反対なのだとしか説明がつかないことの多い国でもあります。サイレン鳴らさず遅れた分だけ初期対応が遅れて死んだらどうするんだとか微塵も考えていない様子。しかも、その横では飲み客達が何も起こってないかの如くわいわいガヤガヤ酒に興じている!?

 自分のことだけではなく、他の人のことも顧みなさい。-----或る昔の偉い人

 筆者は日本にいた頃少しだけサ-ビス業の仕事をしたことがあります。よく朝礼で『サ-ビス精神のない人にサ-ビス業は向かない』と言われたことを思い出します。
 だったら、人命救助の精神のない人に人命救助の仕事は向かず、相手を顧みる精神のない人に夫婦生活は向かないことになります。
 先週も日本人女性とスペイン人男性の離婚の話を聞きました。日本人とスペイン人の国際結婚の離婚率は8割と聞いていますので何も驚くことはありません。
 注意していなければ聞き流してしまいそうな美辞麗句の〝他の人のことも顧みなさい〟ですが、良く考えてみれば多くの社会問題は我先にと他の人のことを顧みない精神の産物だらけだとも言えます。
 顧みればそこに人生のヒントがある様な気がします。誰をどこを何を顧みるのか? これは人生のテ-マかも知れません。
 日本がカメル-ンに勝ちましたね。やりゃあ出来るじゃないか!?

399 メ-カ-の名前で困惑ギタ-かな:③中国製スペインギタ-(2) 15-06-2010(火)

 今日巷に中国製品が溢れているのは日本もスペインも同じこと。ギタ-を初め楽器もそうじゃないのかと疑いもしない読者こそ飛んで火に入る産地偽装被害者なのです。
 他の楽器が、いえ、今日国産やアメリカ製ギタ-さえ実質中国製でも筆者は驚きません。中国人は偽造が仕事ですし、世の利潤追求第一主義の楽器メ-カ-や楽器商なら中国製に手を出す方がむしろ自然です。
 しかし、スペインギタ-となれば話は別です。そのためのスペインギタ-週間コルムナでもあります。
 まず、今日日本国内ならおよそ15万円以下のギタ-なら、クラシック、フラメンコに限らずアクスティックやエレキ、バイオリン、マンドリンに至るまでラベル以外総て中国製の可能性は大いにあります。国産輸入品を問わずです。
 楽器業界に原産国証明の制度はないのでしょうか? 筆者の知り合いの日本のマンドリン屋さんの話です。
 Made in Chinaと書いた紙の張られたコンテナが税関を通過すると、その紙を引っぺがしてお終い!?
 制度もですが、その前に楽器を取り巻く人間達の節度もない様です。

2010-06-07

424 スペインのひまわりの花と実(2):4度目の再放送 08-06-2010(火)

 スペインの夏の風物詩ひまわりの季節になって来ました。コルムナ9&10を2年毎にこの時期再掲載しています。  バブルが弾けて自業自得で陥った現在の世界的金融危機はそのままひまわりの花と実の教訓と言えるかも知れません。

 人は花だけに目を奪われがちです。しかし、貴方の目に映っているあのこと、羨ましいと思っているあの人、カッコイイと憧れているそのこと、やってみたいこのこと・・・。これらは果たして花か実か良く吟味すべきです。
 花だけ追求すれば、実を追求しないのですから実が残らない、つまり『収穫がない』のは当然です。人生に虚しさを感じる人は追及して来た花が散って実が残らなかったから失望しているとも言えるでしょう。
 他人の喧嘩と対岸の火事とスペインのひまわりの花は大きい程宜しいと言うのは所詮野次馬根性です。しかし、当事者(農夫)にとってはいくら花が咲き乱れ様が種の収穫がなければ総ての苦労は水の泡なのです。
 他人事なら花だけ面白がる野次馬根性でも害はないかも知れません。しかし、当事者、つまり自分の人生で花だけ追いかけて虚しさを収穫すれば、総てとは言わないまでも多くの苦労は水の泡です。
 もちろん、日本で忙しい生活を送っている人が息抜きにひまわりお花見ツア-でスペインに来て気分転換するのが悪いのでも何でもありません。しかし、旅行業界だろうが何だろうが人が実よりも花に目移りする傾向にある以上、世の中実(真に価値あるもの)よりも見栄えのする花の方が多くなるのは金と物第一の資本主義社会、そして、間違った意見でも過半数を占めれば正論となる民主主義社会の鉄則とも言えます。
 例えばツア-を売るためには旅行代理店にとってもお客にとっても正論は花、しかし、農夫にとっての正論は実です。貴方の人生の『正論』は花でしょうか、実でしょうか。私達人間が人生と言う畑を耕す農夫だとすれば、尚更この点について明白な価値観を持つことが大切です。

 嘘は花は咲かせるが実は成らせない。-----或る昔の偉い人

 先々週の繰り返しになりますが、現実、真実、誠実でないこと、つまり、実がないことが広い意味で嘘なのです。もちろん綺麗に咲いた花は大いに結構なのですが、散った後実を結ぶ様な咲き方かどうかが問題です。
 もう一度4月29日のコラムをご覧下さい。一日何十万の収入、高級マンション・・・。嘘で咲かせた人も羨むド派手な花が散った後の収穫の実は一日千円に事欠く哀れな老後。他人事ではありません。
 日本語情報センタ-はスペインの花の情報はもちろん、それを元に小さくても確実な収穫の実を結んでいただくための確かなきっかけを差し上げたいと思います。続けてスペイン週間コラムをお読み下さい。

398 メ-カ-の名前で困惑ギタ-かな:③中国製スペインギタ-(1) 08-06-2010(火)

 さて、忌まわしい中国製スペインギタ-に入る前に今までのコルムナの大きな流れを顧みてみましょう。
 まず、ギタ-メ-カ-とは何かと言う問いから始まりました(コルムナ368)。
 次に、ギタ-は量産と手工に大別され(同369~)、手工ギタ-にも誠意ある個人製作家(同379~)の場合、つまり、正真正銘ラベルの名前のその人物の作品の場合と影武者ギタ-(同381~)があることを先週までコルムナして来ました。
 従いまして、今まで量産と手工の内、まずメ-カ-の名前で困惑しそうになる手工ギタ-についてコルムナして来たことになるのが全体の大きな流れです。
 そして、今週からはメ-カ-の名前で困惑しそうになる量産ギタ-、特に人類ギタ-史上最大の汚物、中国製スペインギタ-についてコルムナして行きましょう。
 読者の皆さん、今弾いているギタ-、スペイン製であるかないかに関わらず、もしかしてラベル以外100%中国製じゃありませんか? ここ数年以内に買ったのなら可能性はあります。