2011-12-26

501 猫のクリスマスプレゼント 27-12-2011(火)

一昨日クリスマス。急に偽信者になってバカ騒ぎするところは日本の神社の村祭りと理屈は同じですが、とにかく、皆別人の様にクリスマスプレゼントを交換し合います。これはスペイン人に限らず、欧米では常識の社会現象です。とにかく、強迫観念を覚えるほどの消費熱が過熱します。一人で10個以上のプレゼントを親親戚からせしめるスペインの子供は決して珍しくないそうです。
 そんな狂奏曲の真っ只中も筆者は我関せず。25日日曜日も予定の来館者がいましたので、日本語情報センターに居ました。そしたら、何故か猫のおしっこのほのかな臭い。
 センター内には拾って来た猫7匹放し飼い。たまにおかしな場所にやってくれるのがいますが、筆者は長年の勘で大体どこにやられたか分かります。ところが、この日だけは何故か臭ったり臭わなかったり、一日中分からず終い。猫に摘まれた気分でしたが、臭いは間違いなく筆者の机付近。
 その日も19:30過ぎ。ぼちぼち帰り支度をと立ち上がったとたん臭い…。これは臭いと思い(文字通り臭い)、その辺を探しましたが痕跡はなし。
 そして、まさかと最後に思い付いたのが筆者の椅子。布地の上に濃紺のタオルを敷いてあります。その上にやってくれていました。と言うことは、すぐズボンを脱ぐとクサい!?

 私は日の下に痛ましいことがあるのを見た。所有者に守られている富がその人に害を加えることだ。-----或る昔の偉い人

 やった奴の目星は付きますが、そこで『このバカ猫!!』と言うだけで終わるのが筆者の人となりかも知れません。
 毎週のコルムナを賑わす自己中で厚かましい人間様に比べたら動物に対してなど怒る気にもなりません。
 今年もまた、強欲に立ち振る舞えば、最後はそれが自らの頭上に降りかかって帰って来ることを知らない人間様の自我像に猫様を通じて気付かされた一年でした。
 また来年もかな、行く年来る年…。

475 衝撃のアントニオ・デ・トーレスのギター(2) 27-12-2011(火)

まず一見してかなり小振りなギターと言うのが第一印象でしたが(先週の続き)、近くで見ると何じゃこりゃと思う様な見てくれの悪いギターでした。現代のギタービジネス関係者や購入希望者が見れば一見して見向きもしないこと請け合いです。それどころか、今現在どこかのギター製作家がこんなギターを作ったら信用丸潰れ間違いなしです。
 まず、裏板が現在の2枚寄せ作りに対して3枚寄せ作り。生前マヌエル・カーノ先生の話では今から100年以上前の当時は今ほど木材が流通しておらず、つまり、ろくな木材がなかったので、その辺にあった木材で作らざるを得なかったそうです。
 裏板の3枚寄作りならまだ話は分かりますが、その裏板も側面板も、そして、筆者の記憶では表面板に至るまで節目だらけ!? 一つや二つではありません。だらけでした。
 建材についてはど素人の筆者も読者も、ヒノキの柱は節目が少ないほど高価だと言うこと位想像出来ますし、実際そうです。ギターの原材料も同じで、当然物に応じて料金も並や上、そして、特上から…。あれは素人目に見ても佳作、いや、落選でしたね。現在のギター大量生産工場が見向きもしない、いえ、世界中のギターを偽造している中国偽ギター工場がその最も安いギターにさえ使うことあっさりためらうとんでもない木材でした。
 何でこんなのがここまで鳴るのか…!?

2011-12-19

500 北方領土の取り返し方 20-12-2011(火)

ロシアが北方領土問題に関して頭から譲る気がないのは日本国民も肌で感じていることでしょう。
 それで筆者が考えた北方領土の取り返し方は・・・正義は勝~つ!?
 人間嘘を吐いて傲慢に振舞えばその報いを受けるのは一個人も国家も同じこと。多くの国民が疲弊している元共産主義国家が嘘と強欲で突っ張って爪先立ちで背伸びして吼えているのは中国も同じ。必ず遅かれ早かれほころんで来て、否が応でも北方領土を手放さなければならない様な状況に自らの首を絞めるに至る・・・。
 そのためにはまず日本人自身が身を謹むこと。そうすれば向こうは勝手に転んで、やがて天の摂理で北方領土は日本に戻って来る。 
 と筆者は常々思っていましたが、最近の日本人旅行者を見ていると、楽しきゃいい、美味しきゃいい、ミニスカートの制服にスケベ教師、一臆総白痴銀バエ髪染め、そして、最近の若い日本人女性の魔女の様なドギツイ付け爪!?
 こりゃダメじゃ!? 日本人自身の頭が空洞化ではロシアから北方領土返還どころか、狡賢い中国人に尖閣諸島まで盗まれてしまうと危惧する最近の筆者であった。

 人が変わらなければ社会は変わらない。-----或る昔の偉い人

 そして、とても正義が勝つ社会とは言えない21世紀のスペイン。残念ながら、今まで毎週500回のコルムナがそれを大便して余りあります。ま、確かにどこの国でも新聞やニュースと言えば悪い事件が圧倒的大多数なのですが、詐欺、強盗、未婚の母、内縁の夫の子供殺し・・・。日本と同じじゃないですか!?
 しかも、つい最近スペイン国王の王女(次女)の婿の悪事発覚でスペイン中が大騒ぎ。大規模な公金横領、汚職、そして、検察の追っ手を逃れるための公文書偽造の極めて濃厚な疑い。まだ捜査段階ですが、皇太子からも一切関わりはないと見放される始末。
 おまけに昨日から正式発足の新内閣はお祝いに早速金縮政策発表。
 唯一の慰めは筆者の地元グラナダCFが最近3勝2敗で降格ゾーン18位から中程下13位に浮上で今年のリーグ日程終了。やりゃあ出来るじゃないか!!
 やりゃあ出来るの英語訳がYes,we canだったりすれば、まだまだ最後まで気は抜けませんね。正月早々の第一戦は畏れ多くも畏くも首位Rea Madridで、しかも、向こうのホーム。
 スペイン週間コルムナではYes,we canなどと自己暗示で自らも他人も騙す様なことはしません。それで世の中変わりはしませんし、北方領土も戻っては来ません。
 やはり、一個人から国家まで、地道に正義の種を蒔く奴だけが最後は正義を刈り取ります。人生はたかがそれだけ、されどそれだけなのです。

474 衝撃のアントニオ・デ・トーレスのギター(1) 20-12-2011(火)

近代ギタ-の開祖アントニオ・デ・ト-レスのひ孫フアン・フランシスコ・サルバドール・ヒメネス氏の墓参りのついでに(1)(2)、筆者が始めてアントニオ・デ・ト-レスを弾いた時の想い出です。
 ギター収集家としても勇名だったマヌエル・カーノ先生のコレクションの中のその一本を触ったのは皮肉にも亡くなったその年の夏、神戸のクラシックギタリスト弘井俊雄氏がグラナダに来た際、一緒にカーノ先生のお宅を訪れた時のことでした。
 当時まだ日本に渡っていなかった先生のコレクション(現在茨城県石岡市のギター文化館に保存)を未亡人の奥さんの許可を得て一緒に弾かせてもらいました。もう21年も前のことになります。
 ブーシェが愛器の弘井さんもこれが一番いいと言ったのがアントニオ・デ・トーレスのシコモーロ(Sp:sicomoro&英:sycamore)製の極めて小振りなギターでした。シコモーロとは楓の一種。
 ところが、一見してとんでもないギターじゃないのかと疑わざるを得ないほど見てくれの悪いギターでした。

2011-12-12

499 高くついた夜遊び 13-12-2011(火)

これ(↑)は昨日の地元新聞のある記事の見出しです。
 夜遊びと言えば筆者はすぐに夜遊びの金さんを思い出しますが、もう日本にそう言うおじさんはいないんでしょうかね?
 そう言えば『何者じゃ?』『金さんてケチな野郎で。』とか決まり文句でしたが、自らをケチな野郎と謙遜するのはやはり大物の証拠でしたね。
 さて、夜遊びが高くついたのは写真のお姉様。ディスコ帰りに気が付いたら身分証明書にクレジットカードをすられ、翌日銀行窓口で本人になり済まして、サインまで真似され、口座から有り金1200ユーロ(約13万円)を引き出され、すっからかん。
 銀行員も身分証明書を細かく見なかった様ですが、警察によればまだ運が良かったとのこと。今日金銭より、情報を盗まれることの方がある意味怖いそうです。なり済まされて移民と結婚したり、ローンを組まれたり!? こうなるとケチな泥棒じゃ済まないですよね。

 私はあなたがたが善には聡く、悪には疎くあって欲しいと望んでいます。-----或る昔の偉い人
 
 しかし、この手の事件が起きても悪いのは犯人で、誰も夜遊びが悪いとは言わないのが筆者には不思議です。
 競輪場で喧嘩に巻き込まれても相手が悪いどうのこうのと言うだけで、そもそもそんなとこ行くテメ~が悪いと誰も言わないのと理屈は同じです。
 類は友を呼ぶのは加害者と被害者の遭遇について言える場合もあるはずです。いえ、類は友を呼ぶならそれは遭遇でも偶然でもなく、もはや必然なのです。

473 1年8ヶ月遅れの墓参り(2) 13-12-2011(火)

先週の記事はまだ近代ギターの父アントニオ・デ・ト-レスのひ孫フランシスコが存命中La Leona の所持者Edhard Hannen医師がLa Leonaを携えてフランシスコを地元Almeriaに訪れた際のものです。当然それだけで済むはずもなく、コンサートが行われました。2006年5月。
 自らもギター愛好家である ドイツ人Edhard Hannen医師はLa Leonaのコンサートにはドイツ人ギタリストWulfin Lieskeに依頼するそうです。上記の記事の2枚目の写真がLa Leonaを手にしたギタリスト本人。これがLa Leonaを弾く映像です(1:55)。
 1856年フランシスコの祖々父Antonio de Torres作のLa Leonaは今日のギターと比べてご覧の様に一回り小さい小振りな仕上げ、と言うか、当時はこれが普通サイズだった訳です。
 そして三つ葉のクローバーみたいなヘッドがトレードマーク。

 今回筆者をフランシスコの墓に案内してくれた姪の旦那のミゲールさんの話によれば、家族はEdgard Hannen医師にドイツでの入院中の2月、7月誕生予定の初孫を見れるかと聞いたところ、間に合わないとの答えだったそうです。アスベスト憎し・・・。

2011-12-05

498 タダ働きで自宅にご招待 06-12-2011(火)

先週キューバのカストロ首相の家に招待されたと言う初老のおじさんに会いました。とは言え1971年の話。カストロ政権が年産何万トンだかのサトウキビ栽培を国家の目標に掲げ、世界中からボランティアを募ったのだそうです。
 大阪万博の翌年ですから、中学生のガキだった筆者は知る由もありませんが、結局タダ働きで利用されただけじゃないのか? そうだったよな、とかおじさん。おまけに行き帰りの飛行機も自前ですからネギカモじゃないですか?
 もちろん、寝る所と食事はタダだったそうですが、共産主義国ですから配給制。筆者も32年前ソ連に行った時に垣間見ましたので何となく分かります。金じゃなく、食券を持ってスーパーと言うか食料配給所みたいな場所に行って長い行列を作るのです。
 しかも毎日ジャガイモとチキンだけ!? ソ連の方がもう5品位多かった!? モスクワはさすがに20品目多目でしたが!? 7、8年前キューバに行った日本人も『いや~、聞きしに勝るヒドいとこだった』そうです。
 その滞在中このおじさんを初め世界中から騙されてボランティアにやって来た青年達がカストロ首相の家に招かれたところ、家の中はガラガラで何もなかったそうです。さすがはアメリカに牙を剥く共産主義者。言行が一致しているところだけは凄いじゃないですか? ロシアや中国の銭ゲバ共産主義ならこうはいかんでしょうね。

 受けるより与える方が幸いである。-----或る昔の偉い人

 誰も何も自分の物と思わず、総てを共有して必要に応じて分け与える・・・。筆者は今でもこの純共産主義こそ理想郷だと思っていますが、これが身勝手で自己中な人間様に実行出来ると愚かにも信じた時点で共産主義は失敗だったのです。
 そして、大失敗する前に半資本主義を導入したロシアと中国は上手く立ち回ったと言えなくもありませんが、あくまで孤高のカストロ首相のキューバからは原付ボートに乗った難民がアメリカ目指して後を絶たず。こう言うのをアメリカンドリームとか呼ぶんでしょうかね?
 それじゃあ、資本主義社会の方がいいのか? 一般論としてはそうでしょうが、共産主義の檻から解き放たれた中国人を見ておぞましいと思うだけまだ日本人には救いがあります。
 自分とせいぜい自分の家族の受ける分が価値観の内は広い意味で欲望の墓です(コルムナ79&80)。受けるではなく与える価値観に変わらなければ本質的には何も変わりません。政治体制の問題じゃないんですよね。

472 1年8ヶ月遅れの墓参り(1) 06-12-2011(火)

筆者は一昨日グラナダ県の南隣、地中海沿いのアルメリア(Almería)県ラ・カニャーダ(La Cañada)町の共同墓地に近代ギタ-の開祖アントニオ・デ・ト-レスのひ孫フアン・フランシスコ・サルバドール・ヒメネス氏(冒頭に筆者の追悼文)の墓に初めて行って来ました。昨年4月3日亡くなった際には葬儀にも行けず、今回姪の旦那さんに案内してもらって1年8ヶ月遅れの墓参りとなりました。
 中皮種癌と聞いてはいましたが、結局アスベストが原因だったとは今回始めて知りました(長年建具の会社を経営していた)。検査結果が出たのが一昨年12月28日。すぐに本人と家族はドイツ人医師Edhard Hannen氏を頼りに確かドルトムンドの病院に緊急入院しましたが、検査の結果既に手遅れだったそうです。
 何故急にドイツ人医師かと言うと、当時愛好家達がLa Leona(ザ・雌ライオン)と呼んだアントニオ・デ・ト-レスの最も良く鳴るギターの所持者がこのドイツ人ギターコレクターの内科専門医師だと言う訳なのです。
 あてのない放射線治療の後、最期を故郷で迎えるためドイツの病院から地元アルメリアの病院に直行。4月3日10時10分逝去。40分ほど経って今回墓地まで案内してもらった姪の旦那のミゲールさんから電話があり、翌日の葬儀の段取りが決まったらまた電話すると言われて結局電話がなく、今回1年8ヶ月遅れの墓参りとなった訳です。
 ここに在りし日のフランシスコ写真(2枚目中左)があります。真ん中のおばはんのひい祖父さんが娘、つまり、このおばはんのお祖母さんにアントニオ・デ・ト-レスから後にLa Leonaになるとは知らずに買ったギターが回り回って現在Edhard Hannen医師()の手にあると言う訳です。

2011-11-28

497 道連れ御用情熱のスペイン 29-11-2011(火)

昨日スペイン人の知り合いが真っ昼間にやって来ました。不況で仕事も暇で暇潰しに来た訳ですが、大体こう言う時にはろくな会話にはならないものかも知れません。
 そのまた知り合いがおかしな出会い系サイトの中でも最も滅茶苦茶で有名な出会い系サイトに病み付きになり、最近エイズ感染。移した女は何と自らがエイズ感染者と知って、こうなったらバカな男供を一人でも多く道連れにしてエイズに感染させてやると人生最後の志を立てて出会い系サイトで手当り次第取っ替え引っ換え。おかげですっかり有名人になったらしく、現在札付きの指名手配中!?
 確かに捕まえた方がいいんですが、それにしても、この様な他人の害し方も厳密に言えば刑法に引っ掛かるんでしょうかね? 日本ではどうなんでしょう? それとも刑法じゃなくて公衆衛生法違反か!?

 結婚がすべての人に尊ばれるようにしなさい。-----或る昔の偉い人

 日本でも行くとこ行けば貞操観念氷点下なんて結構いるんだろうな・・・とか何とか思っていると、昨日のニュースに拠れば日本では虐待告白の小5女児、同級生に連れられ警察へだそうです。暴力を振るった新しい父ちゃんが悪い、こいつが犯人だと言う簡単な構図の刑事事件ですが、誰もこの母親の前夫との離婚と家庭崩壊が起因しているとは思い付かないんでしょうかね?
 このエイズ道連れ事件も本人達の性癖が腐食する前に、意外と家庭崩壊が遠因となっていたりするのかも知れません。実際離婚夫婦の子供ほど離婚率も高く、犯罪率も多くなるそうです。
 一見関係ない2つの事件ですが、家庭崩壊故にこんなことしても誰も悲しませる訳じゃないとの心理的抑止力も貞操観念も希薄になり、情熱と発情期をあっけなく取り違えて全治一生になってからではやはり遅いのです。
 子供が戦争ごっこをすれば、お母さんは好戦的な子供になりはしないかと心配するかも知れませんが、ま、子供のことだからと放っておくでしょう。片や、子供がコンセントに指を突っ込んでいるのを見て、ま、子供のことだからと放っておく母親もまたいないでしょう。確かに子供が無邪気にやりそうなことさえ、モノに拠っては全治一生なのです。結婚もだったりすれば、これは悲しいですよね。

471 アンドレス・セゴビアコンクール優勝 29-11-2011(火)

筆者の住んでいる南スペイン・グラナダ市はグラナダ県の県庁所在地でもあります。コルムナ469でもご紹介した様に、そのグラナダ県の地中海岸のHerradura(エラドゥーラ)と言う小さな町に別荘がありました。
 このギター界の大偉人を記念するアンドレス・セゴビア国際ギターコンクールがつい先週この町で行われました。第27回と言うことは、その死後から始まったと言うことでしょうか?
 町内には当然のことながらアンドレス・セゴビア通りもあり、スペイン語でこの町の名前と共に検索すると、ギターは元より結構不動産の情報も出て来ます!? 
 今回の優勝者はこのチリ人ギタリストのRenato Serrano。これが地元グラナダの新聞記事です。このビデオでは余り伝わって来ません。
 このYouTubeの方が上出来です。さすがに上手いですね。歌心が伝わって来ます。
 準優勝もチリ人ギタリストのEsteban Espinosa。チリは意外とギター大国なのかも知れません。

2011-11-21

496 新政権で生まれ変わるつもりのスペイン 22-11-2011(火)

一昨日日曜日は前倒し総選挙。下馬評通り野党第一党の大衆党(PP)が単独過半数の圧勝で7年振り与党に返り咲き。 
 実は7年前まで2期連続与党で、7年前の総選挙でも圧勝のはずが直前のアルカエダの列車テロで世紀の大逆転負けを喫した(コルムナ101&102&103)、本来なら7年前からずっと政権を維持して来たであろうはずの大衆党(PP)が今回7年振りに鬱憤を晴らしたことになりました。
 もっとも、7年前とは違い、随分経済状態が悪くなったスペイン国民がこの7年間与党だった社会党(PSOE)政権に鬱憤を晴らしたと言った方が当っているかも知れません。 
 要するにユーロバブル崩壊に伴う大不況の南欧ぐうたらクラブの各政権は国民に愛想を尽かされて、今回のスペイン総選挙で総て政党が代わったことになります。一連の流れですね。
 その一連の流れが気合の入ってない垂れ下がった蚊取り線香みたいな負のスパイラルの一途だとすれば、これを上方修正するのは至難の業みたいな確かな予感がします。 

 人が変わらなければ社会は変わらない。-----或る昔の偉い人

 もうすぐ新首相に指名されるラホイ大衆党(PP)党首も早速『No hay milagros(奇跡はない←直訳:経済がすぐ良くなる魔法がある訳ではない)』と釘を刺すところは患者の重篤さを十分認識している主治医みたいなものかも知れません。
 このビデオに何人かグラナダ市民のインタビューが出て来ますが、いずれもタイトル通り『大衆党(PP)が国を立て直してくれることを期待する』と言う趣旨のコメントばかり。街で急にマイクを向けられて他に言い様もなかったとは思いますが、やはりミクロなくしてマクロなし。
 ミクロの病状が好転すればマクロの健康状態も好転し、ミクロの細胞が癌に冒されればマクロも癌になる。国民と国家も・・・。ただ、それだけのことなんですけどね。

470 セラック塗装ギターの価格(1) 22-11-2011(火)

スペインにはセラック塗装専門職人がいますが、日本にはいないそうです。そこで、ギターをセラック塗装するにはギター製作家に依頼するしかないことになりますが、10万円かかるそうです。
 これは昔ギター仲間から聞いた話ですが、現在でも気楽な予算とは言い難い額でしょう。
 これだけの予算ですから、安いギターには使わない塗装であること位想像出来ます。では、目安はどれ位以上のギターがセラック塗装なのでしょう?
 当コルムナは日本人ギター奏者のギターについての様々な側面についての意識改革にあるとも言えます。そして、今はギターの塗装に関して、特にセラックニス手塗り塗装に関してな訳ですが、まず店員さんにこのギターの塗装は何でしょうかとズバリ訊くのも一つの方法です。
 ただ、この場合ギター専門店とピアノやオルガンのついでにギターも置いてある一般の楽器店に分けて考える必要があります。
 一般の楽器店で店員さんに5万円の中国製ギターを指差してこのギターはセラック塗装ですかと訊けばお互いの無知を曝け出す漫才になる可能性が大です(続く)。

2011-11-14

495 スペインで日本に生まれて良かったコロンビア以下のジンバブエ 15-11-2011(火)

市バスだと思って乗って行き先を運転手に告げると、後ろに座っているボスに訊けと言われ、後部座席に向かって歩き始めたとたん後ろから首を絞められ強盗。最近ジンバブエに行った旅行者から先週聞いた実話。
 乗った市バス丸ごと泥棒バス(本人の表現)だったとは、バス丸ごと誘拐して身代金を請求するコロンビアのまだ上がいたんだなと反射的に感心した筆者であった。しかし、こんなバスが市内を走っているのかジンバブエ。
 信号待ちで横断歩道に停まるとナイフやピストルを突き付けられて強盗され、忽然とストリートチルドレンが消えて現地の医者の協力で臓器摘出されてアメリカに売り飛ばすコロンビアや、朝起きて停電かと思ったら夜中に泥棒が近所一体の送電線を盗んでクズ鉄屋に売り飛ばすブラジルでは昨日リオ・デ・ジャネイロで麻薬一掃作戦が実施されたそうですが、アフリカもとんでもない所が多い様です。
 この旅行者はエジプトでも子供に火の着いた花火を投げ付けられ喧嘩になったそうですが、一番ヒドかったのはモザンビークだったそうです。

 私達は真理に逆らっては何も出来ず、真理のためなら何でも出来るのです。-----或る昔の偉い人

 日本に生まれて良かったと常日頃から思う筆者ですが、こんな奴らに日本の税金で援助してやることはないとはおかしな国ばかり回って来たこの旅行者の話。ごもっともです。話を聞いている内にスペインでさえ天国に思えて来ました。
 生活に困っても、まだ盗む所、盗む物があるうちは本当の貧しさではないのかも知れませんが、貧して鈍する人間に浅はかにも心を打たれて援助しても糠(ぬか)に五寸釘なのかも知れません。
 援助する方も援助される方も、極端な話、真理に根ざした援助、真理に根ざした貧しさでなければひっくり返って全力で足をバタつかせた割にはさっぱり進まないゴキブリの親戚です。何も出来ずなら確かにそう言えます。
 そして、問題は政府が代わったばかりのイタリアに次の日曜日20日の前倒し総選挙で政府が代わるスペイン、そして、TPPに参画し様とする日本・・・。
 新政策とそれを享受する国民双方の根底に真理があれば上手く行くでしょう。何せ真理のためなら何でも出来るんですからね。
 そして、昨日のグラナダ市の地元新聞の一面には農業助成金詐欺事件発覚。架空の季節労働者契約書を提出して、一日も働いてないのに助成金を山分けする雇う側と雇われる側。しかも、グラナダ県全域に渡る大規模詐欺。
 見事に真理に逆らって助成金を無理矢理奪い取る意地らしさ。泥棒バスより慎ましいじゃないですか・・・。

469 アンドレス・セゴビア記念切手発行 15-11-2011(火)

昨日の地元新聞にアンドレス・セゴビア記念切手発行の記事がありましたので、そにのまま訳します。

 ポルトゥゴス村はアルプハラ山腹(グラナダ市の後ろシエラ・ネバーダ山脈)に位置し、何も付け加える必要は一切ないほどの自然の魅力に溢れています。それでも、現代クラシックギターの父、ハエン県出身のアンドレス・セゴビアが1970年代にやって来てからは何かが確実に変わりました。
 1970年ラ・エラドゥーラ´(グラナダ県地中海岸)の別荘で休暇中、アンドレス・セゴビアは当時の村長マルコス・ニエト氏によってポルトゥゴス村に招待されました。100年以上の樹齢の栗の木を寄贈するためでしたが、数年前に枯れたこの木に代わり、現在は別の若い栗の木がアンドレス・セゴビアの名を戴いて村立公園横、村の入口に植えられています。
 さて、今回アルプハラ教区(カトリック教会)はリナレス(出身町)のポベーダ・デ・リナレス文化センターの切手部に依頼し、アンドレス・セゴビア財団の協力も得て、独自の記念切手を発行するに至りました。
 既に第一回目の発行分は流通使用され、アンドレス・セゴビアの肖像と栗の木、そして、アンドレス・セゴビア財団の紋章が見受けられます。
 村の文化部門係りのへスース・フェルナンデス氏によれば、近年40年前の当時の記録文書が発見され、それを機に財団とコンタクトを取ったことがきっかけとなり、その死後に至る今もアンドレス・セゴビアが村を訪れてくれたことへの感謝とその人物像に何らかの記念をしたかったことが今回の動機となっているとのことです。

2011-11-07

494 11月20日のスペイン総選挙でまずイタリア 09-11-2011(火)

 槍玉のことです。
 南欧ぐうたら同盟の格付けからすれば『ギリシャ⇒ポルトガル⇒スペイン⇒イタリア』の順なのですが、まず説明不要のギリシャはご存知の通り。とっくの昔にポシャったポルトガルの国際ニュースが皆無なのはそれだけ経済規模が小さな証拠(コルムナ466)。
 誰もが次はスペインと思った矢先、スペイン社会党(PSOE)政権は来年春の予定だった総選挙を今月11月20日に前倒し・・・しなければ間違いなくこの秋スペインがデフォルトの危機に晒される番だったとは真しやかな社説やニュース。堂々と言われてはいませんが、控えめにも言われてはいません。
 さすがに政治家は頭いいですね。ポシャる前に解散前倒し総選挙とは技有り有効の延命処置です。突進して来た闘牛の牛をスペインが寸前で交したら、そこに順番待ちをしていたイタリアが居て、もろデフォルト危機のカウンターパンチが顔面を掠めたイタリアが最近ギリシャと並んで国際ニュースをお騒がせしている訳です。
 アンケートに拠れば(スペイン経済をここまで地に落としたのは自らもいい気になってバブルに浮かれて乗ったスペイン国民自身ではなく、総てこいつらのせいだと思っている)現与党社会党(PSOE)の大敗と現野党第一党の大衆党(PP)の圧勝だそうです。焦点はむしろPSOEがどこまでPPの単独過半数を阻むかに絞られています。後12日。

 私達は真理に逆らっては何も出来ず、真理のためなら何でも出来るのです。-----或る昔の偉い人

 後12日で政権交代。それに続くご祝儀期間が延命措置有効期間かも知れません。おまけの痛みが一時緩和するクリスマスのバカ騒ぎにクリスマスドリームジャンボ宝くじの幻影が消える正月明けに正念場が始まりそうです。
 その正念場が一般病棟なら退院の希望はありますが、何党が政権を取ろうが、ICUならどんな名医でも命の保障はありません。
 確かに今まで経済危機と言われるものは何度もありましたが、今回はICUの気がします。ICUなら仮に蘇生しても後遺症は残るでしょうね。植物人間ギリシャよりましかも知れませんが・・・。
 好き勝手にやって来たのに結果は正反対の袋小路。真理と見えたのは実は自らの欲で、真理に逆らった結果が今日の世界的な財政破綻危機かも知れません。
 
    

468 大したギターはセラック手塗り(4) 08-11-2011(火)

 (1) (2) (3)セラックニス手塗り手工ギターはガン(ピストル)吹き付けポリウレタン塗装の量産ギターとは音に格段の差が生じることをコルムナしました。
 もしかすれば音量自体は音量測定器でも持って来て計れば大差はないかも知れませんが、音の抜け具合、音質、遠達力に明らかな違いが出て来ます。
 同じ丼一杯の量でもインスタントラーメンと手打ちラーメンの違いと言えば分かり易いかも知れません。歯応え、風味、喉越しが違います。違いますが、料金も違います。料金も違いますが、まさか手打ちラーメンがインスタントラーメンの5倍もすると文句を言う消費者もいません。何故料金が違うか分かっているからです。
 ところが、ギターのブランド名や材質の違いはともかく、相当上手い人まで塗装に関しては知らない以前に無感動無関心と言う奏者が圧倒的大多数なのではないかと見受けます。つまり、せっかく音質を極めるためにセラックニスを手塗で塗ったのに有り難味がない!?
 そう言えば筆者が子供の頃、もう何の料理だったか忘れましたが、うちの母ちゃんの手料理をあっと言う間に一口で平らげたところ、『もっと味わって食べんかい!!』と言われたことがあります。
 ま、確かにテレビのスイッチをOnにすればテレビは点きますが、我々はそこに至る細かいメカニズムは分かりません。そこに至る細かいメカニズムは分かりませんが、我々はテレビのスイッチをOnにすればテレビが点いて様々な番組が見れる恩恵に与っています。
 同様に筆者が初めてセラックニスのギターを手にしたのはこちらで初めてスペインギターを買った21歳の時でしたが、それがセラックニスと言う音響効果の良いニスの塗装で、しかも幾重にも及ぶ手間隙のかかる手塗りだと知ったのは、恥ずかしながらそれから15年ほど経ってギタービジネスを始めてからでした。
 長年食べて来たラーメン屋のスープが実は前の晩から煮込んだ手間隙かけたスープだから上手いことを長年知らなかった様なものです。
 だからこそ知る価値、知らせる価値があるこのセラック手塗り塗装です。もう少し続けましょう。

2011-10-31

493 どうぞおかまいなく!? 02-11-2011(火)

 筆者がいつも朝コーヒーを飲みに行く小さなスタンドのBar(バル:酒も置いてある日本の喫茶みたいなもの)に通い続けて32年。春先から穏やかな表情の父子(息子)二人連れが来る様になりました。60歳と35歳位でしょうか。
 大概筆者と同じ様な時間に来て、先に来た方が読み終えた店備え付けの地元新聞を手渡すのがお約束みたいになっています。
 そんな中、先週の木曜日だったでしょうか。その日は父子が先に朝食を終えて、筆者に新聞を手渡して店を後にしました。筆者はその時ガラガラの店内で話すこともなかったので、深く考えもせずカウンターの中のマスターに『父と息子か?』と尋ねました。『奥さんはいないのかね? 毎日外で朝食を食べて・・・』とか言う会話になると筆者は何となく思っていましたが、即座に帰って来たにやけたマスターの毅然としたことばが忘れられません。
 カップルや!?

 自然自体があなたがたにこう教えていないでしょうか。-----或る昔の偉い人

 バカ負け一本~ん!? 『えっ!?』と言った後は返すことばのなかった筆者の負けでした。バカ負けとは圧勝の反対です。
 マスターによれば実は以前の常連客で、店内のタバコが嫌で何年間も来なかったのが、今年念頭からのタバコ禁止法令で今年戻って来たのだそうです。二人揃って!?
 考えてみれば自然に反すること、これが諸悪の根源だと言える諸悪に満ちた現代社会なのは日本もスペインも世界中どこでも理屈は同じなのかも知れません。 
 

467 嫁はんに逃げられたクラシックギタリストのその後!? 02-11-2011(火)

 相変わらずギター三昧の生活だそうです(先週のコルムナ)。聞いた話です。
 ギター以外何の興味も示さず、嫁はんに全部やってもらって据え膳上げ膳で当り前だと思い込んでいた男なので、これは想像がつきました。別れて一年以上経った今、金銭的生活はどうしているか知りませんし、筆者もそこまで他人のことを詮索する気もありません。
 確かにこれが日本社会なら通用しない男なのでしょうが、ある意味ギターが上手けりゃそれでいいじゃないかと、ギターを爪弾く者として筆者も気持ちは分かります。下手ならともかく、何せアランフェス協奏曲を弾く腕前なのですから、これはやはりギターの世界では立派なマスターです。
 文句があるならアランフェス協奏曲3楽章弾き切ってから言え!!
 と本人は言う様な人間ではありませんが、それ以下の腕前のギター弾きはそう言われたら返すことばがありません。
 もっとも、ギターに興味のない人はそう言われたら頭に来るだけかも知れません。
 筆者はギターの上手い人は皆尊敬します。
 生前機械的な演奏だと言われることの多かったナルシソ・イエペス(↑)ですが、さすがに代名詞のアランフェス協奏曲は上手いですね。何より歌っています。演奏が活きています。統計に拠れば、20世紀世界で一番聴かれたスペインの曲だそうです。

2011-10-24

492 早くも降格赤ランブ点滅グラナダCF 25-10-2011(火)

 前シーズン末、ミスジャッジで昇格戦に勝って偉そうに1部リーグに上がった筆者の地元グラナダCFは今シーズン9試合消化して未だ勝ち点5で順位表下から3番目は堂々たる降格ゾーン。どうやら定位置になってしまった様です。
 先週土曜日は番付け下から2番目のSporting de Gijonと言うスペイン北部大西洋岸の都市のチーム。いくら敵地とは言え全くいいところなく2-0の完敗
 そして、10戦目は本日25日ホームで畏れ多くもBarcelonaFCとナイターで対戦。グラナダCFのファンさえ誰も勝つとは思っていないいじらしさ。もちろん、何点差で負けるかが賭けのポイントです。ボロ負けだけはやめて欲しいみたいです。

 もしどうしても誇る必要があるなら私は自分の弱さを誇りましょう。-----或る昔の偉い人 

 別に弱さを誇っているのではなく、贔屓チームの弱さに賭けて金儲けし様と言う魂胆はこの深遠なことばとは似て非なる究極の裏腹に過ぎないだけなのですが・・・。
 昨日の新聞によればグラナダ県全体の市町村で財源不足から相当数の公共工事がストップ。売れない新築がわんさか。文字通りバブって弾けてギリシャは人事じゃないのが現実だとすれば、サッカーの夢に現実逃避したくなるは泣きっ面に飴をもらって泣き止んだ赤子と同じかも知れません。
 今シーズンまた2部リーグAに落ちたらそれこそ悪夢の正夢ですが、10戦目とは言え、リーグはまだまだ先が長いのが今のところ救いです。サッカーで負けている分にはまだいいのかも・・・。

466 嫁はんに逃げられたクラシックギタリスト!? 25-10-2011(火)

 筆者の知り合いのクラシックギタリスト。以前は歩いて5分の近所だったので家に遊びに行ったりしていましたが、10年ほど前に嫁はんが郊外に一軒家を買って引っ越して以来、すっかり疎遠になっていました。この間偶然遭ったのが3、4回に電話で年に一度話すか話さない程度。
 腕はセミプロ級で、確かアランフェス協奏曲も弾き熟す腕前です。ただ、グラナダ市民のくせに世界の名曲アルハンブラの想い出を知らない連中が圧倒的大多数のこのグラナダ市で、フラメンコギターはともかく、クラシックギターで稼ぐのは無理だと本人も言う始末。
 そこで良く出来た嫁はんがしっかり働いて子供を育てて住宅ローンも払って、金銭面ではあれやこれやほとんど総てを切り盛り。その間旦那は僅かな生徒にレッスンして雀の涙の収入でギター三昧。
 芸術家にありがちな、良く言えば唯我独尊で、はっきり言えば無神経の非常識の自律神経失調症。それでも傍目から見れば嫁はんも嫌な顔することなく、上手く行っている筈でしたが・・・。
 先週共通の知り合いから『もう1年以上前に別居して、嫁はんは新しい男と住んどる!?』『え!?』『何や、知らんかったん!?』
 知らんかったですね。子供が大学生になって手が掛からなくなったのを機会にギター道楽の無収入の旦那に愛想を尽かした様です。そりゃ、他の男にも目が向くでしょうね。ちょうど20年の結婚生活だった様です。
 全国のギター愛好家の男性の皆さん。収入はあった方がいいです。

2011-10-17

491 仕事やっても仕事したがらないデモ 18-10-2011(火)

 今月初頭にアメリカで貧困者のデモがあったので、実はスペインでは5月15日とっくの昔にあったとコルムナしようと思っていたら(元祖はギリシャでしょうけど)、いつの間にか世界に拡がり、15日土曜日は東京台湾でも、そして、スペインを初めヨーロッパ各地にも波及。スペインでも全国60の都市で。そして、筆者の地元南スペイングラナダ市でも夕方からデモがありました。
 筆者は醒めた目で見ていましたが、それでも『以前はフランコ!! 今は銀行!!』のコールは面白いなと思いながら聞いていました。以前は独裁者フランコに支配されたスペイン国民も今は銀行に支配されていると言う意味ですが、ファシズムから資本主義へ移行した近代スペインの歴史そのものを見事に大便しているだけのブラックジョークじゃないですか?
 要するに被支配者層が支配者層に反旗を翻している図式です。確かに世界的不景気で仕事のない一般庶民は大変ですし、それが今回の表向きのデモの大義名分ですが、筆者の予想通りデモ隊の内の相当数はヒッピーかその同類項風情。つまり、仕事があっても意地でも仕事をしたくない連中が仕事をくれとデモで騒いでいる訳です。
 そう言えば昔読んだ筆者より一世代上のアメリカ人の体験談を思い出しました。青年期にベトナム戦争反対のデモに参加したところ、結局酒や麻薬に浸り切った参加者のモラルの低さはベトナム戦争以下だったそうです。この図式もまた40年経った今も大して変わっちゃいないのでしょう。

 人が変わらなければ社会は変わらない。-----或る昔の偉い人

 じゃあ、仕事が万人に行き渡ってそこそこの生活が出来たら社会は良くなるのか?
 政治でもなく、社会保障制度でもなく、人こそが変わらなければ社会は決して変わることはないとすれば、社会はその構成員一人一人の人間の質ほどに良くも悪くも変わって行くだけの話。単純明快な理屈です。
 デモで騒いで社会が良く変わるんだったら、ある意味人間社会はとっくの昔に良くなっている筈ですが、有史以来この方人間様はたまにはいいこともやるが、総じてアホなことが過半数の歴史を繰り返して来たその結果は結局気合の入ってない垂れ下がった蚊取り線香みたいな負のスパイラルの一途ではなかったでしょうか?
 そして、落ちるところまで落ちたその時、何か世界的な良くないことが起きる・・・。そんな前夜に我々は生きているのかも知れません。そんなことを予表させる今回のデモなんでしょうかね?

465 脇が甘いギター 18-10-2011(火)

 筆者は昔からどうも左手の指先の弦を押さえる時の安定感が今一だと感じます。おまけに左手が今一なら、それはどうしても右手にまで回り回って影響して来ます。
 そんな折、先々週のある日ギターを弾いていると、前触れもなくスポーツ用語の脇を締めるなることばが急に頭を過ぎりました。
 主に格闘技用語かも知れませんが、野球のバッティングにも十分通じそうですね。
 そこで筆者が未だかつて気にしたこともなかった左脇を文字通り締めてみました。そうすると指先の安定感が微妙に増したのが実感出来ました。
 おそらく左脇を締めて左上腕内側が胴体に接触したおかげで左腕全体が安定し、おかげで末端の指先まで安定感を増したのだと思われます。
 あと、筆者は元々弦を押さえてヘッド方向に指をやや寝かせるタイプですので、左脇を締めることによって更にこの動きをバックアップしたとも言えるでしょう。
 もっとも、そうではない弦の押さえ方の奏者もたくさんいるでしょうからこれは一概には言えませんし、筆者のあくまで個人的な体験かも知れません。
 ただ、左手の指に今一安定感を欠く読者がいれば、一度試してみると意外と開眼することかも知れませんね。

2011-10-10

490 未婚の母3倍増 11-10-2011(火)

 一昨日のニュースに拠れば、この10年間でグラナダ県の未婚の母の出産は3倍に膨れ上がったそうです。もちろん、全国的にも全く同じ傾向だそうですが、凄まじい数字ですね。
 もっとも、内容はいわゆる未婚の母で両親と同居、NGOに住居を割り当ててもらった未婚の母、実際は子供の父親と同居しているのに住民票は両親の家のままで公的援助を受け続けている狡賢い事実婚の母親など、未婚の母とは言え状況は様々とのこと。
 皆それぞれ表面的な理由はあるのでしょうが、根底にあるのは結婚と言う概念が近年極めて希薄になったこと、それは取りも直さず人間様自体の軽薄化の表れに他なりません。

 貧しい者を貧しいと言う理由だけで弁護してはならない。-----或る昔の偉い人

 日本人はある意味軽薄な判官贔屓な民族かも知れません。今週のこのことばはウル覚えで文字通りではありませんが、安易な判官贔屓は正義を曲げるにさえ至ることへの警鐘です。
 結婚せず同棲なんか当り前どころか、貞操概念など既に死語なのは特に若い連中がそうですが、それが別れたから助けてくれ!? 一方的に安易過ぎるんじゃないですか? 子持ちだから助けた方がいいに決まってますけど。 
 助けた方がいいに決まってますけど、総ては無責任感の産物の事後処理の援助に過ぎません。責任感で未然に防ぐ方が遥かに知恵じゃないですか?
 確かにこう言う場合男性より女性がよりバカを見る訳ですが、何と言っても片親だけの子供が一番の被害者です。これが国際離婚ならもっとそうです。

464 小さな音で弾けと教える先生(4) 11-10-2011(火)

 筆者は日本人旅行者をサクロモンテの洞窟フラメンコに送るために、ほぼ毎晩送迎車との待ち合わせ場所のヌエバ広場に行きます。
 旧市街の中心地で、飲食店以外の店を見つける方が難しいほど賑やかな場所です。
 その中の広場に面した一軒のレストランの入口にギター弾き語りのおじさんがいます。客寄せの意味合いもあってか、通りに面した店の入口でやっていますので様子は伺えますが、先日故意に近くまで寄って聞いてみました。まず何より耳に衝くのがマイクの質の悪さです。雑音がしている訳ではないのですが、明らかに木の音ではない音がします。(2)で筆者自身が書いたコルムナの潜在意識があったためかも知れませんが、やはり、マイクを通すと音の色気が削がれるなと実感しました。
 と言うことはマイクは極力使わず、ギターは生音で聞かせる故マヌエル・カーノ先生のスタイルが正解だと言うことになります。マイクの質にも拠るでしょうが・・・。
 そして、マイクは極力使わず、客席の奥までギターの生音を聞かせるためには、やはり、音はデカくなければなりません。
 常時小さな音で弾くなど論外じゃないですか。 

2011-10-03

489 スカートが短いからクビ!? 04-10-2011(火)

 これは10日前のグラナダ市の年に一度の村祭りの様子です。スペイン中の市町村では年に一度、普段は酒タバコギャンブル女、何でもやる連中が急に信者になって檀家のカトリック教会から御神体を神輿にして担ぎ出して、最後は酒を飲んでお開き。翌日からはただの人。理屈は日本の村祭りと寸分違(たが)いません。
 現実は祭りの日ではなく、翌日からなんですけどね・・・。
 さて、今年はちょっとした事件がありました。別の新聞のこの神輿の写真の正面の女性の顔がボカしてあります。犯人なのでしょうか?
 この女性はこのスカートの丈が短過ぎて神輿に帯同するのに相応しくないと追放されたそうです。
 普段は風紀もへったくれもない日常生活の連中がほとんどなのに、祭りになると風紀部みたいなこと言い出すんだなと思わず思ってしまいましたが、そこで賛否両論がどうのこうのと言う新聞記事などこの際どうでもいいのです。

 美しいがたしなみのない女は金の輪が豚の鼻にある様だ。-----或る昔の偉い人

 この写真のスカートの丈など超長過ぎると感じるほど、筆者が3年に一度帰国する度目にする日本の女子高生の滅茶苦茶短い制服のスカート。
 これじゃあ日本はスケベ教師やエロ巡査が後を絶たないはずだよなとつい思ってしまいましたが、あれもこれも外見重視内容度外視の軽薄文化の温床から萌え出づる副作用の痙攣(けいれん)の場合が多いんじゃないでしょうか?
 痙攣が気持ちいい内はたしなみがない証拠だったりすれば、これはふと我に返って自らを吟味する価値ありかも知れません。

463 小さな音で弾けと教える先生( 3) 04-10-2011(火)

 確かに演奏に小さな音は必要ですが、その要は小さな音の内容です、密度です。
 密度のある小さな音を出せる人なら大きな音も出せるでしょう。
 しかし、か細い密度のない小さな音をきれいな音と勘違いしている人はいざと言う時大きな音は出せません。
 そう言えば昔チェロのプロの話を聞いたことがあります。『いい楽器はppからffまで応えてくれる』そうです。『そうでない楽器はいざffが欲しいと思った肝心な時に出てくれない』そうです。
 なるほど、プロの感性の中にはppからffまでの幅があるのですね。当り前と言えば当り前ですが、いざ演奏しながらpp~p~mp~f~mf~ffを使い分けるには本人が本人の中に音量計を兼ね備えていなければなりません。凡人には難しいですね。
 だったら、スカ(くじのハズレと言う意味!?)みたいな小さな音だけの演奏など論外じゃないですか? ただ、日本人にはこう言う弾き方のギター愛好家が多いのです。完全な反面教師なんですがね。

2011-09-27

スペイン週間コルムナ&スペインギター週間コルムナ今週はお休みのお知らせ

こちらはパソコンがパンクして慌しい週明けです。落ち着いていい文章が書けそうにもありませんので、スペイン週間コルムナ&スペインギター週間コルムナは共に一週間お休みさせていただきます(筆者)。

2011-09-19

488 何が何でも11月20日までに結婚 20-09-2011(火)

 これは先週土曜日の地元新聞のニュースです。スペイン語が分からない読者も20-Nが11月(noviembre)20日位は想像がつくのではないかと思います。
 11月20日と言えば、今の青少年はともかく、それ以上の年代のスペイン人なら誰でも知っている、独裁者フランコの死んだ日です(1975)。と同時に、むしろ多くのスペイン人にとってはスペイン民主主義の幕開けの日と形容した方が当っている国民感情でしょう。
 今年は何とこの11月20日に前倒し総選挙。現在与党の社会党(PSOE)のふがいなさの結果でもありますが、前倒しして政権を交代させなければスペインもギリシャと同じで財政破綻するとの噂も噂には聞こえない緊迫した経済情勢はイタリアに先を越された感がありますが、南欧ぐうたらクラブの絆で遅かれ早かれ一蓮托生でしょう。
 ところが、かと言ってこの新聞記事は総選挙の記事でもありません。見出しを訳すと『誓います。でも11月20日までに。』 小見出しは『オカマとレズ達は大衆党(PP)が勝って同姓婚合法が非合法になる恐れから結婚を前倒し』
 前倒しは総選挙だけじゃない訳です。つまり、リベラルな現在与党の社会党(PSOE)ではなく、硬派の野党第一党の中道右派大衆党(PP)が前評判通り政権を取れば、かつて2005年9月に社会党(PSOE)政権が合法化した同姓婚が再び大衆党(PP)新政権下非合法になる可能性のある11月20日の前倒し総選挙。そうなる前の駆け込み結婚が目立っていると言うニュースです。男同士、女同士で!?

 自然自体があなたがたにそう教えていないでしょうか。-----或る昔の偉い人

 11月20日は前哨戦の統一地方選挙で大勝した大衆党(PP)が勝つでしょうが、だからと言って急に同姓婚を廃止する政策には出ないと筆者は予想します。何せスペイン人の有権者の相当数はこの気があるから現社会党政権は8年前の総選挙で同姓婚を選挙公約に第一党になった訳ですからね。
 いつの時代も有権者に尻尾を振って騙して投票させるのが政治家の習性だとすれば、国民全体の60%が、若者だけならその76%が同姓婚を容認している事実は無視出来ないはずです。
 しかし、自然は自然、男は男、女は女。何も空に煤煙を撒き散らし、海に汚水を垂れ流すだけが自然を汚すことではないはずです。自然に反することは広い意味で総て人間の罪悪です。筆者がそう言うからではなく、自然自体がそう教えてはいないでしょうか?

462 小さな音で弾けと教える先生( 2) 20-09-2011(火)

 きれいな音のために小さな音で弾けと教えるとんでもない日本のクラシックギターの先生(先週のコルムナ)。
 故マヌエル・カーノ先生は古い世代のギタリストだったこともあるでしょうが、マイクを好みませんでした。マイクを通すとどうしてもギター本来の音色が伝わらないからです。そうすると、マイクなしで観客に聴かせるためには音量がなくては話になりません。音が小さいなど論外です。小さなきれいな音色と、か細い音は別物です。
 まずは音をしっかり出すこと。いい音(きれいな音)を出すのはその次だと言う考えです。これは息子のホセ・マヌエル・カーノも全く同じ路線です。
 そのためには力を抜いて最大の音を出す弾き方と良いギターを持つことです。大きな音を出すための秘訣は力を込めないことであることはこのスペインギター週間コルムナの初期にしっかりコルムナしたところです。
 ギターに限らず、どんな楽器でもその人が上手かどうかの基本的な見分け方は、音楽表現は別にして、大きな音で一定の演奏が出来ているかどうかです。

2011-09-12

487 ギリシャは射程内 13-09-2011(火)

 34歳以下の若者の半分は収入が全く無い。これは昨日の地元新聞に発表されたグラナダ県だけの数字ですが、凄まじいですね。筆者は地方都市の県庁所在地、それも観光都市の華やかな所に住んでいますので、まだ街を歩いて肌で感じると言うことはありませんが、スペイン全土でも大体似た様な状況でしょう。
 これはもうデモとかストライキの段階ではなく、いつ暴動が起こっても不思議ではない論調の社説がポツポツ目につき始めた最近のスペインのマスコミです。
 しかも、数字には表れませんが、相当数はアル中薬中で労働意欲なし。
 要するにこの前のイギリスの暴動と同じです。仕事が無いと騒ぐ割には、いざ仕事をやると仕事したくない奴らばかり。
 スペインは11月に前倒し総選挙があります。しかし、これでは首相が代わろうが、政策が良くなろうが、根本的には何も変わりません。何故なら・・・。

 人が変わらなければ社会は変わらない。-----或る昔の偉い人

 何かどえらいことが起こる予感は預言者でなくとも感じられる時代に我々は生きているのかも知れません。
 日本はどうでしょう? 正社員だから安心でしょうか? 年金制度は大丈夫でしょうか? 
 皆、金、かね、カネ・・・。経済さえ良くなれば総ては上手く行くみたいな錯覚が全人類的に蔓延ってはいないでしょうか?
 誰しも金に左右されている内は大した人間じゃないのかも知れません。スペインの犬の教えです。  
 同じく昨日の新聞によればギリシャは10月までしか公務員の給料と年金の資金が無い!?
 暴動はスペインよりドイツの方が先だったりするかも知れませんね。

461 小さな音で弾けと教える先生(1) 13-09-2011(火)

 先週クラシックギターをやっていますと言う若い男性旅行者がやって来ました。ギターを弾くために生まれて来たのかと思うほどの長い指。そして、そんな長い指からそんな音しか出ないのか思わずにはいられない小さな音。
 聞けば先生から小さな音で弾く様に教えられたとか!?
 きれいな音と小さな音の区別がつかない日本人に多いタイプですね。この場合、先生も生徒もです。
 ギターを探していた様でしたが、あの音では仮に名器を手にしても、あたかもベンツを買って市内40Kmの安全運転みたいなものです。安全運転なら高速道路で時速100Kmぶっとばしても安全運転なら安全運転ですが、これが分からない日本人ギター奏者は意外と多いことを痛感した一時でした。
 しかも、先生自らそう教えるとは!? こんな時故マヌエル・カーノ先生ならどう言ったでしょう?

2011-09-05

486 美しい犬死 06-09-2011(火)

 先週偶然街でやつれた顔の知り合いのスペイン人男性とバッタリ。いきなり『昨日親父が朝倒れた思うたら、そのまま逝てもうてな。今日は今から葬式や・・・』。
 数日後またも遭遇すると、今度は『ある友達からうちの親父の悔やみを言われた思うたら、今度はそいつの親父が次の日急に死によってな。人生とは一体何やねん・・・』。
 スペイン人から『人生とは・・・』と言われるのも珍しいかと、不謹慎にも場違いな感動をした筆者であった。
 それなら・・・。人生とは気が付けば既に消えた朝露の如し(筆者)。

 死に至るまで忠実であれ。-----或る昔の偉い人

 それでも朝露には朝露の意地があるとすれば、それは一体何でしょうかね?
 人の心に残す余韻かも知れません。余韻なら死後も響きます。
 それなら単に『あの人はしっかり稼いだ』『あの娘は美人だった』『やっと死んだか、せいせいした』余韻より『優しい人だった』『無言の教えを受けた』余韻の方が感動の余韻ですよね。
 薄っぺらい感動が多過ぎる21世紀の真っ只中にあって、決して余韻の絶えない不朽の名作を書くことは容易ではないでしょうが、自らの欲以外に忠実であれば、それは無意識の内に意外な名作となって人の心に響き続けるものなのかも知れません(コルムナ60)。 

460 大したギターはセラック手塗り(3) 06-09-2011(火)

 重量0gのセラックニスが音響効果抜群であることをコルムナしています(コルムナ454)。
 筆者はセラックと言うと、いつもゼロ戦を思い出します。機動性と航続距離を最優先にしたゼロ戦は攻撃に回れば滅法強かったのですが、防御を無視した軽量設計のため、一度被弾すると滅法モロかったのでした。
 セラックも同様で音響に優れますが、ボタンやベルトの金具などに当ればあっと言う間にキズがつき、放っておいても木材がセラックニスを吸って自然に劣化します。また、十分乾いていても、温度が上がれば軟化します。筆者は昔セラック塗装のギターの下に楽譜を入れてギターケースにしまっておいたら、楽譜が裏板にひっ着いていたことがありました。従って、高級品は何年か毎に再塗装するのが普通です(が、また金がかかる!?)。
 また、量産品の様に層の厚いポリウレタンではありませんから、セラック塗装ほど木材自体が割れる危険が高くなります。温湿度には神経を使います。
 つまり、極端な話、セラックが塗装として優れているのは音響だけで、強度は安くて手軽なピストル(ガン)吹き付け塗装に遥かに劣ります。

2011-08-29

485 やっぱり負けた第一戦 30-08-2011(火)

 前シーズン末、ミスジャッジで昇格戦に勝って偉そうに1部リーグに上がった筆者の地元グラナダCFは先週土曜日ホームグランドで開幕戦。32年ぶり1部リーグでの試合は明らかに実力が上の相手チームの猛攻を粘って凌いで0‐0の試合終了間際、後半43分ディフェンスの乱れから1点入れられ万事休す
 筆者は興味はありませんので、試合の終盤だけラジオを点けたとたんにGol!!
 見ている地元のファンはハラハラドキドキだったでしょうが、解説は一応にいつ点が入ってもおかしくないほどグラナダCF(白い方のユニフォーム)の優勢負け。順当な結果だったとはマスコミの一応な評価です。

 舌は苦味を甘みより100倍感じる。-----或る昔の偉い人

 しかし、後2分持ち堪えれば引き分けだったのですから、格別苦かったことでしょう。人間、こう言う負け方の方がより記憶に残るものかも知れません。入れ込んでいるファンほど100倍苦かったりするんでしょうね。
 だったら、人生物事は取り様です。サッカースタジアムから帰るべき自らの山河を持っている人なら苦味は少ないはずです(コルムナ 13&14&220)。

459 映像で見る競売で売れなかったタレガ直筆『アルハンブラの想い出』オリジナル楽譜 30-08-2011(火)

 コルムナ452でFrancisco Tarrega(フランシスコ・タレガ)直筆のRecuerdos de La Alhambra『アルハンブラの想い出』のオリジナル楽譜が競売に掛けられ、買い手がつかなかったことをお知らせしまいした。
 その時のニュース映像がYoutubeにありました。これは興味深いですね。冒頭が競売の様子。このFernando Alonsoと言うおじさんが所持者だそうです。以下ナレーションを訳してみました。

 これが作曲家フランシスコ・タレガが1899に作曲した『アルハンブラの想い出』の調べです。大演奏家達が漏れなく弾いた名曲で、中国、日本、アメリカ、南米など、世界中で聴かれています。5ページのオリジナル楽譜の保存状態は極めて良好です。時が時ならコレクターが大枚はたいたのでしょうが・・・。競売本部は公的機関に打診しましたが、折からの不景気で興味は示しても、今は経済的余裕がないとの回答でした。スペインギターは中国、日本でも人気があります。この『アルハンブラの想い出』は数多くの練習生にとって避けては通れない作品です。誰も故郷では預言者とは成り得ません(故郷に錦を飾るの意)。タレガは当時最高のギター演奏家でしたが、彼もまた例外ではありませんでした。それは今日その最も著名な作品の直筆のオリジナル楽譜に買い手がつかないことにも例えられます。

2011-08-22

484 これが本当のお徳用サイズ 23-08-2011(火)

 筆者は貧乏性ですから、スーパーに行けばどうしてもお徳用サイズに目が行ってしまいますが・・・。
 先週ロンドン大騒乱の影に隠れて余りニュースになりませんでしたが、時を同じくしてスペイン北部の歓楽街で暴動が起こりました。02:00頃ディスコの冷房が故障した腹いせに客のガキどもが街に繰り出してご覧の様な破壊行為。警察とぶつかりましたが、一般市民の商店や住宅に手を出さない限りこの程度では今のスペインでは普通の軽犯罪です。大した事件ではありません。
 筆者がそれでも面白いと思ったのは、ニュースで女性リポーターが手に持って紹介していた、このディスコで売られていた酒のグラスと言うか、何と言うか、映像がないのが残念なのですが・・・。
 カクテル一杯40ユーロ也。約4500円。日本の如何わしいキャバレーよりまだ安いかも知れませんが、青少年相手ですから高いですよね。
 いえ、10リットルですから安いですよね。読者はお分かりでしょうか?
 女性リポーターが手に持って紹介したのはグラスではなく、何とバケツ!? バケツに色んな酒を瓶丸ごと流し込んで10リットル40ユーロ。これならお徳用で安さ爆発!?
 筆者は酒は養命酒以外飲みませんが、一昔前までスペインでも酒は仲間内の会話のツマミであることが普通でした。しかし、今日スペインの青少年にとって酒を飲むとは単にアルコールを体内に流し込むことになってしまっているからこそ、売る方もお徳用サイズのバケツと言う発想になってしまうのです。当然買う奴がいるから売っているのでしょう。極めて低次元な需要と供給です。

 明日は死ぬのだ。さあ、飲み食いしようではないか。-----或る昔の偉い人

 飲み食い歓楽が人生の総てと心から信じ込んでいる愚かな人間を描写したこの昔のことばは正に文字通り図星ですが、これは酒以外でも言えることだとすれば、決して人事ではないのが人の愚かさ一般かも知れません。
 かも知れませんが、人生犯して悔い改めればまだ修正の利く愚かさと、犯せば一生重度の後遺症を課される愚かさが存在します。
 バケツで酒!? 久しぶりにこのことばを使いますが、末期がん漫才ですね。合掌・・・。

458 故マヌエル・カーノ先生のお宅の居間 23-08-2011(火)

 先々週の続きです。

 先生とレッスンをした居間。右が未亡人の奥さんで、背中が筆者。

 正に『夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡』ですね。

 筆者は足軽かも・・・。





2011-08-15

483 絵に描いた様な無責任感の塊 16-08-2011(火)

 筆者はこちらで10年間現地添乗員として働きました。地元グラナダを拠点に、毎週の様にセビージャ、コルドバ、マラガ、たまにマドリード、トレド、ラ・マンチャ、バルセローナへ。観光バスの最前列でマイク片手に日本人団体さんを案内して回ったものです。
 今は自らが案内することはありません。日本語情報センターに引き篭もって案内させる方です。先週いつもの様に洞窟フラメンコに申し込んだお客さんを21時に送って一件落着。ショーの後、ユネスコの世界遺産アルバイシンの丘をガイド付ナイトツアーして、ホテルまで送迎してお終いです。
 その夜23時前、急に携帯が鳴りました。いやな予感・・・。うちから参加している6名の日本人を含めて10名がアルバイシンの丘のサンニコラス展望台でアルハンブラ宮殿夜景を団体で観た後置き去り!?
 筆者がもし団体を引き連れるガイドなら、スポットスポットで、或いはバスに乗った時点で人数を確認しないでしょうか? スペイン人ガイドはそんな面倒なことはしないのです。
 それにしても、バスの座席に着いて10人いなきゃ分かりそうなものですが、全く気付きもしない究極の無神経。しかも、大型バスではなく、遥かに目立ち易い25人ほどのマイクロバス!? 運転手も運転手じゃ!? これで一切良心のお咎めなし。
 スペイン人と結婚したり、一緒に仕事をすると如何に火星人の異次元空間ごっこになるか、読者も少しは想像出来るでしょうか? 筆者の毎週のコルムナはちょっと書き過ぎじゃないかと思っている読者もいるかも知れませんが、実は筆者が極めて控えめな書き方をする謙遜遠慮深い人間であることは今週のコルムナが物語って釣銭までくれます。

 あなたの隣人をあなた自身の様に愛しなさい。-----或る昔の偉い人

 あれもこれも、人がもし隣人愛の精神を持ち合わせていれば、ほとんど総ては起こらない問題や事件で世の中は満ちています。社会も世界も人間も、実はただそれだけのことなのです。

457 追悼モライート・チコ 16-08-2011(火)

 先週水曜日フラメンコギタリストの大御所、モライート・チコが咽頭ガンで死亡。
 筆者は面識はありませんでしたが、実は手工ギターを作ってもらっているフランシスコ・サンチェス氏が知り合いで仲介してもらい、当サイトで宣伝のモデルになってもらいました。
 ジプシーらしい持って生まれた野生のリズム感にモダンな作風
 2日後、グラナダ市内の知り合いのレコード屋の親父と会いましたが、故人と昔何度か一緒に飲んだことがあるそうです。しっかり薬を一緒にやったとか!? そりゃ、咽頭にもなりそうです。
 54歳没。ちょっと早過ぎましたね。

2011-08-08

482 やっぱりハッタリYes,we can. 09-08-2011(火)

 スペインでもアメリカ国債格下げニュースが大きく報じられています。
 EUも動揺イタリアが先か。中国まで偉そうにアメリカ批判
 そして、週明けの昨日のスペインのニュースでは『リスクプレミアムは300点下がり、(スペイン)株式市場は上昇』。下に見えるサブタイトル2つは『BCE(ヨーロッパ中央銀行)の市場介入を受け、Ibex(スペイン株式市場)は2%上昇。アメリカの国債格下げ後恐れられていたブラックマンデーを回避する&ミラン市場も4%上昇し、安全地帯に』
 しかし、そのすぐ下のリンクをクリックすると見出しは『BCE(ヨーロッパ中央銀行)がイタリアとスペインの負債を買う』。その下の小見出し3つの3つめは『フランスとドイツは関係各国に早急に迅速かつ十分な対策を策ずる様緊急要請した』。
 そりゃ、緊急要請するでしょうね。一蓮托生でユーロ丸が沈んで、ブラックユーロじゃ溜まりません。

 受けるより与える方が幸いである。-----或る昔の偉い人

 筆者は子供の頃軍艦のプラモデルが好きで、今でも日本の実家には高校の時分作らずに溜め込んだものが100以上あります。まさか老後の楽しみになるとは思いもよりませんでしたが、おかげで軍艦の専門用語はいくつか分かります。小破、中破、大破、大破着低、撃沈、轟沈・・・。
 円もドルもユーロも世界経済も、一体どれに当てはまるんでしょうかね? 本来は沈むところが沈まず、常に沈みかけに見える大破着低が似合っているとすれば、人の金で一事凌ぎに蘇生した様に見えても、またすぐぶり返すのもまた見え見えかも知れません。
 今思えばYes,we canの大合唱はハメルンの笛吹そのものです。アメリカ人も大して利口じゃないかも知れませんが、経済さえ良くなればあたかも世界に平和がやって来るみたいな錯角もまた利口じゃないのかも知れません。
 常識の逆を突けば結構上手く行くのが人生の多くの問題の解決だと筆者は直感します。例えば、ギターで大きな音を出したければ力を抜く方が遥かに得策etc。金銭についての価値観も実はそうなのです。そうじゃないからこの世はこんなんなのです。それを近い将来目に物見せてくれるのはイタリアかスペインか。それともアメリカか・・・。 

456 故マヌエル・カーノ先生のお宅 09-08-2011(火)

 マヌエル・カーノ先生が亡くなったのは1990年1月。未亡人の奥さんとは年に一、二度会う程度ですが、5月に結婚した筆者の嫁はんを連れて昨日久し振りに先生のお宅に挨拶に行って来ました。
 弾き手のいない何台ものギター、数々の表彰状や記念品。思わず『強者どもの夢の跡』と浮かんで来ました。後から検索してみれば松尾芭蕉の『夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡』だったんですね。
 1984年の着物姿の島田陽子のカレンダーまで壁に架けてあると思ったら、その横の小さな古びた、帽子を被って馬に乗った女性の写真には英語で『親愛なるマヌエル・カーノ氏とそのご家族へ心から』とのサインは何とジャクリーン・ケネディの直筆。年代は1961年だったでしょうか。スペイン来訪の際、コンサートに来た時じゃないのかと奥さんは言っていました。そう言えば、筆者が観光ガイド時代セビージャで団体さんの休憩がてらいつも立ち寄ったBarにも彼女の写真がありました。
 ここで先生自身が練習し、日本を初め世界各地にここからコンサートに出向いて行った・・・。感慨深いですね・・・。正に夢の跡かも知れません。

2011-08-01

481 真夏の狂宴真冬まで 02-08-2011(火)

 スペインでは珍しくも何ともないことですが、例年通り先月7月12日、待ち切れないとばかりにクリスマスドリームジャンボ宝くじ全国一斉発売開始!!
 え~加減にして欲しいけど、起死回生の逆点の一発に賭けるスペイン人気質は世の中が不景気なほど研ぎ澄まされる様です。
 金20ユーロ(約2200円)也。一枚買うのに!? 100円や200円の宝くじでは人間の器が余りにも小さいのです。当ればデカい一等300万ユーロ(約3億3000万円)。大物はハイリスク&ハイリターンで起死回生の逆点の一発を狙って、バットにかすりもせず凡退。ゲームセットだったりすればスペイン国税局のボロ勝ち。
 抽選は12月22日ですが、国民を手玉に取るためには真夏にクリスマスドリームジャンボ宝くじ発売が国策マーケッティングなのか情熱のスペイン。

 人は天から与えられるのでなければ、何も受けることは出来ない。-----或る昔の偉い人 

 完全な財政破綻のギリシャがあたかも脚に結わえられた鉛の様にまとわり着いてアップアップのEU共同体。そして、ここに来てアメリカも、結局は延命措置に過ぎない債務上限引き上げ。
 日本はどうなんでしょう、日本の日本人の皆さん。
 しかし、日本もスペインも世界中のほとんど総ての社会問題は金絡みじゃないですか?
 だったら、金以外の価値観を持てば楽になれるんじゃないかな? と思わないでもない筆者かな。それが戯言に聞こえるなら、金以外の価値観を持ってきちんと仕事して収入を得れば、何か人生基本的なことが変わって来るんじゃないかな?
 仕事とは何か事に仕える事。必ずしもお金とは書いてないでしょう、と昔どこかのラジオで聞いたことがあります。
 そう書きながら思い出した猿の話。どこかの国の猿を捕る罠は猿の好物を猿の手がやっと入るほどの小さな入口の袋に入れて紐を付けるだけ。アホな猿は手の平一杯に餌を掴んで離さず、拡がった手が小さな入口の袋から抜けず御用。
 掴んでいる物を離しゃ解放される簡単な理屈が分からない強欲は猿だけじゃないのが世界的金融危機の元凶だとすれば、ヒトは猿から少しだけ進化した進化論の可能性もドリームジャンボですよね。
 

455 大したギターはセラック手塗り(2) 02-08-2011(火)

 楽器は音響の面から言えば本当は塗装しないのが一番です。大昔はそう言うこともあったかも知れませんが、それでは格好がつかないし、商品になりませんので近代では何らかの塗装を施す訳です。
 しかし、本当に重量が無い塗装ならこのセラックニスは理想的です(先週のコルムナ)。ところが、他の重量のある塗料(ポリウレタンなど)はガン塗装出来ますが、このセッラクニスは根気良く手で塗って行くしか方法はありません。もし、ガン塗装でセッラク塗装したと言う製作家がいれば、それは何らかの混ぜ物をしているはずです。実は筆者も何人かの製作家に頼んでガン(ピストル)でセッラク塗装の実験をしてもらいましたが、セラックニス100%ではいくら吹き付けても層が全く浮かび上がって来ないのです。全く塗装に成りませんでした。結局セラック二スに混ぜ物をしてガン塗装で仕上げてもらいましたが、手にずしっと来る重さ。これでは意味がありません。

2011-07-25

480 何の原理じゃ、原理主義!? 26-07-2011(火)

 ノルウェーにも気違いはいることを証明した22日の事件でした。
 爆弾に散弾銃。どうやら原理主義と名がつけばロクな奴がいないのは世界共通の様です。今回のキリスト教原理主義、ご存知イスラム教原理主義、ユダヤ教原理主義・・・。
 原理と言う言葉自体は如何にも我こそはとあたかも核心を突いたニュアンスですが、いずれも宗教を隠れ蓑にしたヒトラーの親戚に過ぎないことはアルカエダや今回のテロが十分その行いで説明してお釣を顔に叩き付けて返してくれます。
 飲む打つ使うが遊びがあり過ぎて制御不能で事故を起こすハンドルやブレーキだとしたら、こうでなきゃいかん、それ以外は邪道だ、ガス室だとわめき散らすのは逆に遊びが全く無いぎすぎすしたハンドルやブレーキだと言えます。全く真逆に思える両者ですが、両者共制御不能で事故を起こし、時として甚だしく他人を巻き込むに至る共通点があります。
 中学校の理科の授業だったと思いますが、先生がいわゆる火傷も低温火傷も治療は一緒と言っていたのを思い出します。両極端な様で症状は同じなのです。

 偉い人になるな。清い人になれ。-----或る昔の偉い人 

 この犯人によればスペインのサパテロ首相はイスラム教徒に魂を売ったんだそうです。確かに地理的に近いこともあり、スペインにはモロッコの移民が多いのですが・・・。
 偉い人になり過ぎると上から人を見下して爆弾を投げて銃で撃ち殺したくなる・・・かも知れないとすればこれは一理ありますね。なるほど、清い人なら確かに政治家みたいに汚職はしないでしょうし、ましてや無差別テロなど起こり得ない話なんですよね。
 現代社会の元凶は偉い人が多過ぎるためかも知れませんね。

454 大したギターはセラック手塗り(1) 26-07-2011(火)

 5年ほど前になります。製作家のフランシスコ・アルバ氏とセラックニス塗装の重さを量る実験をしました。セラックニス(通称セラック)とは総ての高価を装った中堅ギターに施される訳ではないが、本当の高級手工ギターなら総てそうだと言ってもいい、最高級塗装のことです。
 つまり、グラム単位の精巧な量りでギタ-をセラックで塗る前と塗り上がった後の重さを計量してみました。何とマイナス2g!? 何かの間違いだろうとしか思われず、もう2本のギタ-で実験してみました。結果は2本共差し引きゼロ、つまり、セラックを塗っても塗る前と全く同じ重さでした。これには私はもちろん、製作家の氏も意外だった様です。セラックには木材の湿気を吸収する作用があるのでしょうか? これについては研究の余地有りで結論付けることは出来ませんが、セラック塗装は正にワイシャツ、しかも、ごく薄手のワイシャツだと言えます。音の出、伸び、遠達力など、総てにおいて層の厚いピストル塗装に遥かに優ることは疑い様のない事実です。

2011-07-18

479 ラジオから学ぶ正しい家庭 19-07-2011(火)

 筆者はくだらない番組の洪水みたいなテレビは見ません。4、5年前から見てはいませんでしたが、スペインは1年ほど前、既に地デジ完全移行。これを期に古いテレビは捨てました。
 その分ラジオは聴きます。とは言え、気が向いた時に日に3、4回毎時のニュースを聴くだけなのですが・・・。
 先週ニュースに付随するニュース解説か何かで聞いた次の一句が印象に残りました。
 家を建てるとは家ではなく、家庭を建て上げること。
 バブル崩壊に伴うローン倒れ、差し押さえの多いスペインの世相を反映したニュース解説か何かでしたが、バブル大国スペインの割には事の本質を衝いたまともなコメントじゃないかと思いましたね。

 人は天から与えられるのでなければ、何も受けることは出来ない。-----或る昔の偉い人 

 住居の本質は人が住むこと。そして、そこに家族が住んで家庭を築くこと。つまり、銀行に借金してまでいい家に住みたい、転売して売ろうと思った不純な動機の時点で事の本質を激しく踏み外しています。
 ボタンの掛け違えと同じで、それ以降のボタンをどんなに真面目に誠実に、或いは謙遜にさえ掛け続けたとしても、全体の着こなしがぎこちないことは避けられません。それ以降のボタンの問題ではないのです。
 人もまた人生が上手く行かない時、掛け違えたボタンまで遡らなければ、真に人生をリセットすることは出来ないのかも知れません。
 それでも住宅ローンに関しては首が回らなくなってからでは遅過ぎると言えます。
 それは国レベルでも言えるから怖いギリシャかな(筆者)。
 対岸の火事どころではないかなスペイン(筆者)。
 それに引き換え、本気で尻に火が点いたか、先週末の意外と早いイタリアの対応には正直驚きました。裏を返せばイタリアの経済状態はそれほど悪いと言うことでしょう。
 皆受け様受け様と自らの強欲で中身のない風船を膨らませて弾けて、急激にしぼみ始めてあちこちガタが来ているのが今の世界経済かも知れません。
 ローン倒れの人もローン完済マイホームの人さえも、建物自体の金銭的処置ではなく、その中の家族家庭が如何に人として建て上げられているかの礎石に注意しなければ、気が付けば崩れ落ちて何も受けてはいなかった事態に人生陥ることは国と時代を問わないかも知れませんね。

453 大したギターじゃない塗装(2) 19-07-2011(火)

 前回の続きです。Tシャツに短パンの高橋尚子選手かセーターにトレパンの高橋尚子選手かを見分けるギターの塗装の薄い厚いは塗料の溜り易い角度のある木の接合部分、特にギターの竿(ネック)と側面板の接合部、そして、ブリッジ周辺が目につき易い箇所です(コルムナ450)。
 読者のギターのこれらの部分に塗料が溜まっていれば、少なくとも塗装に関しては安物か、大したギターではないことになります。溜まり方にもよりますが・・・。
 しかし、塗料なんだから、多かれ少なかれ、厚かれ薄かれ、溜まらない塗料なんてないんじゃないですか?
 あったらどうしますか? 次回は大したギターの塗装です。

2011-07-11

478 臨終間際に大当り 12-07-2011(火)

 たまにコルムナに登場してもらう行きつけのBarのオヤジ。スペイン人には珍しく酒もタバコもやりませんが、唯一の楽しみは宝くじ。
 先日朝カウンターでコーヒーを飲んでいると宝くじが当った叔父さんの想い出話になりました。
 20年ほど前の話で、300万ペセタ。ペセタ(peseta)とはユーロになる前のスペインの通貨で、当時のレートは覚えていませんが、大体500万円ほどじゃないかと思われます。大金ですね。
 やったーとは本人は思わなかったらしいです。抽選の日、本人は病床で昏睡状態。家族も知らせることなく臨終。
 運命の皮肉や宝くじ(絶句)。だったりするかも知れません。

 人は天から与えられるのでなければ、何も受けることは出来ない。-----或る昔の偉い人

 多くの人の価値観が金と物であることに民族の違いなどありません。
 真に何かを受けるための秘訣は、まず金と物以外の価値観人生観を持つことだとこの金言は図星を衝いているはずです。
 何も、と言ったら何も・・・でしょうね?

452 不況で競売不成立アルハンブラ 12-07-2011(火)

 これは何と、畏れ多くも賢くも(漢字は合っているか?)、Francisco Tarrega(フランシスコ・タレガ)直筆のRecuerdos de La Alhambra(アルハンブラの想い出)のオリジナル楽譜です。
 ギターを弾いてみ様かと言う人のほとんどが『禁じられた遊び』かこの『アルハンブラの想い出』がきっかけになっている名曲です。1899年作曲。
 晩年アルハンブラ宮殿を訪れたFrancisco Tarregaが宮殿の水音にインスピレーションを受けて作曲したそうです。読者もいつか訪れると分かりますが、庭園はおろか、宮殿内部まで自然の圧力で水をふんだんに引き込んだ、水に我々以上に価値観を持つ砂漠の民族アラブ人にとって贅沢を尽くした設計です。
 そして、これは先週土曜日9日にバルセローナで行われた、畏れ多くも賢くも競売の記事です。
 しかも、発値80000ユ-ロ(約950万円)から誰も欲しがらず競売にならず!?
 それが良かったのか悪かったのか・・・。

2011-07-04

477 自分で栽培すれば利益倍増 05-07-2011(火)

 先週人は蒔いたものを刈り取るとコルムナしましたが・・・。
 一昨日日曜日の地元新聞一面のニュースによれば、筆者の地元グラナダ市及びグラナダ県全域でマリファナの自家栽培が流行っているそうです!? と言うことはスペイン全国でも似たり寄ったりでしょう。
 警察によれば今年の検挙はまだ7件だけですが、意外と簡単な栽培方法と利益率から考えて、相当拡がっているだろうとのことです。
 170鉢で6Kgの収穫は末端価格で約24000ユーロ(約300万円)。街では1グラム4ユーロ以上で売られているそうです。
 そして、このネット記事に寄せられたロクでもない市民のコメント2つ。
何が4ユーロじゃ。1グラム2ユーロで買えるぞ。警察に騙されちゃいかん。
ついこの前アムステルダム行ったけど(麻薬合法国家オランダ)、バルのテラスで良質の草(マリファナ:販売は同店内)を吸う気分は最高じゃ。もちろん誰も何も言わんし、言われることもない。皆人間が出来とるわい。

 人が若い時にくびきを負うのは良い。-----或る昔の偉い人

 これはいわゆる日本語の諺で言う“若い時の苦労は買ってでもしろ”と言う意味のくびきのことでしょう。ま、極めて残念ながら、今の日本の若い親達もそうでしょうが、スペインでも可愛い息子・娘にくびきなんかとんでもないと言う、結局我が子を激しく害するに終わる、何でも買い与えて叱ることを知らない様な甘いしつけのバカな親が多過ぎます。その結果がマリファナとは、この国では決して飛躍し過ぎた想像でも何でもありません。売る方も売る方ですが、買う方も買う方なのです。
 しかし、毒は毒。毒を飲んで、しかも、好んでがぶ飲みして健康でいられる人はいません。死に至るくびきを自ら好んで自らの首にがっちりハメるだけです。首が回らない借金地獄の方がまだ麻薬よりましです。
 人は蒔いたものを刈り取る。この真理を子に教えてやるのが親の義務のはずですがね・・・。

451 ある所にはあるもんじゃ!? 05-07-2011(火)

 先週末うちの量産ギターを依頼しているPrudencio Saez社長が遊びに来ました。製作所の夏休みまでまだ1ヶ月ありますが、スペイン南部の得意先を回っているとのことでした。
 別の都市のギター専門店を訪れた時のこと。偶然あるお爺さんが古めかしいカビの生えた様なギターケースを持って入って来たそうです。
 糸巻きが古うて動かん。新しいのと換えてくれや。
 そこで店の主人がギターを見てみると、何と1862年のAntonio de Torres(アントニオ・デ・トーレス:1817~1892)!! 近代ギターの開祖。ギター界のスタラジバリウス。それまでか細い音しか出なかったマイナー楽器ギターを現在の形にした大製作家。
 いくら同じスペインとは言え、こんなものがポ~ンと目の前に出て来るか、と思わず眼を疑ったPrudencio Saez社長と店の主人。材質はハカランダで製作番号は22と書いてあったそうです。
 ところが、この爺さんはAntonio de Torres言うて誰や!? 
 無邪気は時としてバチ当りかも知れませんね。いや~、筆者も見たかったです。

2011-06-27

476 国際誘拐犯にハーグ条約 28-06-2011(火)

 日本がハーグ条約に加盟する様です。
 日本語情報センターには日本人旅行者がやって来ますが、圧倒的に女性が多く、単に旅行者のみならず、スペイン語を習いに短期留学に来る若い日本人女性も結構います。もっとも、そのほとんどは日本でOLが嫌になって留学に名を借りた現実逃避の若い女性が圧倒的です。動機が面白おかしく羽を伸ばすことだけですから、真面目に勉強するはずがありません。勉強する気なら週末毎にどこの白い村に行きたいとか、筆者に訊きに来たりはしないでしょう。第一、日本でスペイン語をかじったこともないのに、急に現地スペインのアカデミア(アカデミー)の短期集中コースに入ったって、随いて行けないのは明白ですし、ましてや、最初から遊び半分なのですから随いて行く気もないと見受けます。
 そして、遊び半分ついでに類は友を呼べば、寄って来るのは同類項の余り考えない現地の男。後は愛情と発情期を取り違えて結婚して、5年持たずに離婚するお決まりの電車道。
 グラナダに筆者より滞在の長い、もうじき引退の日本人写真家のおじさんがいます。ほとんどの市内在住の日本人がパスポートの更新(婚姻届&離婚届も!?)などで写真を依頼しますので、ある意味町中の噂話を良く知っているタバコ屋のお婆さんみたいなものですが、最近の国際結婚は8割離婚だそうです。
 愛情ではなく、発情期なのですから、醒めたとたん興醒めです。宴の後にその辺に酒のビンが転がっている風景を思い浮かべれば当らずとも遠からずですが、子供がいれば遠からずどころか最低最悪の愛憎劇が始まったに過ぎません。そのための今回のハーグ条約な訳ですが・・・。
 興醒めの日本人女性が子供を連れて逃げる様に帰国。ところが、EUと日本の間にこの種の国際協定がないので、スペイン人やEUの父親は今まで打つ手がなかったのですが、日本がハーグ条約に加盟すれば、今後は子供を連れ去った日本人母親を国際誘拐犯として指名手配出来ます。

 人は蒔いたものを刈り取る。-----或る昔の偉い人

 仮にハーグ条約がなかったとしても、軽薄な国際出戻り母親だけの母子家庭。いかなる理由があろうとも片親だけの家庭は子供にとって常に不幸ですし、ハーフの子供だけ連れて帰って来たと近所の評判になり、外人みたいな顔をしていると学校では虐められ、母親本人も家計を賄うために働かなければならず、コブ付きで再婚は出来ず、所詮は敗戦処理の後始末協定に過ぎないハーグ条約とて傷口に酢を塗り込む両刃の剣に終わる可能性大です。
 留学のみならず、青年海外協力隊やワーキングホリデーも異口同音。大半は同類項の若い日本人女性じゃないですか? ハーグ条約のお世話にならずに単身帰国した幸運な女性も、結局帰国の翌日からまた仕事探しの現実が待っているだけの話し。それなら、日本で腰を据えて地道に仕事に励む方が遥かに全うな人生のはずです。
 確かに人生は少年よ大志を抱けなのですが、日本から留学の名目で逃げて羽を伸ばすのは大志を抱くとは言わないはず。余計な仕事が増える日本大使館領事館もいい迷惑でしょう。
 人は蒔いたものを文字通り刈り取る。人生唯それだけのことです。海外まで行って人生わざわざ複雑にすることもないでしょう。一番可哀想なのは子供です。 
 8割離婚するなら、最初から2割だけ結婚すりゃあいいんですよ。  

450 大したギターじゃない塗装(1) 28-06-2011(火)

 高橋尚子選手ならTシャツに短パンかセーターにトレパンか位見れば分かりますが、ギターの塗装を一見して見分けるのは容易ではありません。
 そこで今週はギターの塗装を比較的容易に一見して見分ける甚だ大雑把な方法をコルムナしてみましょう。
 ギターの竿(ネック)と側面板の接合部を良く見て下さい。フレットで言えば12フレットの位置です。表面板や裏板や側面板やヘッドを何となく見ただけでは塗料の厚みなど分からないの人間の視覚です。それは平坦だからです。
 平坦部を見ても分かるものではありませんが、角度の或る部分なら塗料が溜まりますので、これなら注意して見れば分かります。読者のギターの竿(ネック)と側面板の接合部を良く見て下さい。こんなとこ注意して見るのは買って初めてだとか言う人も結構いるのではないでしょうか? それだけギターの塗装は考えてもみないテーマだと言うことですが・・・。
 スケートリンクの端に凍り付く水の様に丸みを帯びて塗料が溜まっていませんか? と言うことは、一見そうは見えない他の箇所にもその厚さの塗料が施してあることになります。もし、読者のギターの塗装がそうであれば、少なくとも塗装に関しては大したギターではないことになります。セーターにトレパンを着た高橋直子選手みたいなその分厚い塗装を落とせば鳴りが遥かに良くなるのですがね・・・。
 あと、この部分ほどではありませんが、ブリッジ周辺も注意して見れば塗料は溜まりますね。

2011-06-20

475 ミスジャッジで1リーグ昇格おめでとうグラナダCF 21-06-2011(火)

 筆者の地元グラナダのサッカーチームは万年2リーグB。1リーグ>2リーグA>2リーグBの順ですから、実質3リーグの地方リーグ。しかも財政難でチーム消滅も公然と囁かれたのがまるで嘘の様に昨年2リーグBから2リーグAに昇格。
 今年2リーグA初年を3位で終え(1&2位は自動昇格)、4位チームとホーム・アウェイで1リーグ昇格決定戦2連戦。水曜日グラナダ市スタジアムでの第1戦は0-0で引き分け、先週土曜日相手チームの本拠地での第2戦は21:00キックオフ。
 グラナダが前半29分先制。対戦相手のElche(エルチェ)は36分ゴールと思いきやオフサイドですぐ審判が取り消し。ところが、ビデオではミスジャッジ。その後Elcheは後半81分遂に1点返すも、試合はこのまま1-1で終了。アウェイでの得点が2点と見なされるルールでグラナダが勝ち、2年連続の昇格で35年ぶりに1リーグへ。
 興奮し過ぎて試合終了前に退場となったグラナダの監督はロッカールームで跪いて祈っていたとか!? 苦しい時だけの神頼みは万国共通の心理らしいですね。
 ところが、収まらないのはミスジャッジでこれまた20何年ぶりの1リーグ復帰を阻まれたElche。勝敗のみならず、1リーグと2リーグではテレビ放映料など経済面でも雲泥の差。試合終了と同時にファンがグラナダの選手を殴って蹴って唾を吐き掛け様とグランドに乱入。グラナダの監督選手達は機動隊に守られながらも喜びの退場。 

 人に思慮があれば怒りを遅くする。その人の光栄はそむきを赦すことである。-----或る昔の偉い人

 と言う訳で、来シーズン(とは言え例年通りなら8月末)からグラナダCF(Culb de Futbol)は何と畏れ多くもReal MadridやBarcelonaと同じスペイン1部リーグで戦うことになりました。Real MadridやBarcelonaがグラナダにやって来ます。熱心なファンなら日本からも観に来そうですね。まずはこてんぱんにやられなければ善しとしましょう。 
 結果はともかく、青少年に悪影響ではなく、夢を与える様な試合をしてもらいたいものです。

449 ギターの塗装がどうかしたのか? 21-06-2011(火)

 ギターの塗装と言われれば、おそらくほとんどの愛好家はそうがどうかしたのか、としか思わないはずです(先週のコルムナ)。
 かつての筆者もそうでしたが、塗装どうこう言う前に、ギターの塗装についてどうこう言う発想自体がないので、ギターの塗装についてなど愛好家仲間内で話題に上る訳がないと言った方が当っています。唯一話題に成り得るとすれば、見映えに拘る日本人の観点から見たギターの色や光沢や艶消しなど、純粋に外見に関する見解で、まさか、塗装がギターの音を左右する、しかも、かなり左右する要因の一つだとは誰も夢にも思っていない訳です。
 しかし、予想に反して塗装が音を極めて左右するのはどんな楽器でも同じでしょう。金管楽器さえそうだとトランペットをやったことのある人に言われたことがあります。だとすれば、木管楽器、木製楽器ならなおさらです。
 ギター愛好家の皆さん、まず、ギターの塗装は音量音質に大いに関係があることを認識して下さい。塗装は音を生かしもし、ブレーキを掛けもします。

2011-06-13

474 ユダヤ人とスペイン人 14-06-2011(火)

 今週はスペインの話題ではありませんが、スペインのニュースにも出た去る10日イスラエルのテルアビブでの数万人規模のオカマパレード。テルアビブは中東のオカマのメッカで毎年の恒例行事だそうです!? 日本語でもありましたのでご紹介しておきましょう。
 確かにユダヤ人はノーベル賞受賞者が世界一多い裕福で頭のいい民族なのですが、人間の罪深さに民族やIQの違いなどないことを、残念ながらユダヤ人自身が証明してお釣までくれるのですから世も末です。
 さて、今回はユダヤ人とスペイン人の血縁関係についてコルムナしましょう。
 スペイン人の苗字は日本人にも馴染みのあるGonzalez(ゴンザレス)に代表される様に、最後がzかezで終わるものが圧倒的に多いのですが、これが何とユダヤ系とのことです。Martinez、Gomez、Moralez、Suarezなど、まだまだあります。この様な苗字の親戚が一人もいないスペイン人などいないのではないか思うほど一般的です。と言うことはほぼ総てのスペイン人は例え一滴でもユダヤ人の血を引いていることになります。
 と意見する、ちょっと分かっているスペイン人は多いですね。と考えれば、それがスペインだけとは極めて考え難いことです。つまり、ユダヤ人はヨーロッパ全域に離散して行ったと言うことになりそうです。日本までもと考える人もいますが、あながちではないでしょう。
 いつか? 紀元前アッシリアに滅ぼされた北イスラエル王国とバビロンに滅ぼされた南ユダ王国、そして、紀元70年ローマ帝国に滅ぼされたユダヤ属州の時に世界中に離散して行ったのでしょう。
 話せばキリがありませんが、1492年3月31日スペインユダヤ人は家財没収国外追放(1月2日アルハンブラ宮殿落城&スペインの国家統一)。1992年バルセローナオリンピック前にスペイン政府はイスラエルのシモン・ペレス外務大臣を国会に招いて500年ぶりに公式謝罪。ただし、盗った物は返さず!?

 自然自体がそう教えてはいないでしょうか。-----或る昔の偉い人

 日本はどうでしょう? オカマっぽい冗談が段々本気モードで市民権を得てはいませんか? 
 もっとも、スペインでは文字通り市民権を得て、数年前から同性婚が合法化されています。オカマ~と言った方が名誉毀損なのです。イスラエルはまだ合法化までは行っていませんが、これを見た限り実質合法と同じですね。
 自然自体から無言の教えを受ける・・・。そんな時代はもう終わったんでしょうかね?
 

448 高橋尚子選手とバッタリ 14-06-2011(火)

 筆者は1999年南スペインのセビージャ国際陸上で日本のテレビ局の仕事に行き、スタッフとサンタクルス街を散歩中に、これまた散歩中の高橋尚子選手とバッタリ出会ったことがあります。北朝鮮の何とか言う選手が優勝して『将軍様マンセー』とか言っていた大会です。
 結局高橋尚子選手は故障で走りませんでしたが、どこの女子高生かと思うほど小柄で子供っぽかったですね。
 その高橋尚子選手が何年か後、シドニー五輪で金メダルの様子をこちらのテレビで見ていた筆者は感慨深いものがありました。仕事自体は実は浅利純子選手の取材だったのですが!?
 その高橋尚子選手がセーターにトレパンで金メダルは取れたでしょうか? 短パンにTシャツだからこその快走だったはずです。
 ただし、もしコケたらセーターにトレパンの方が怪我は少なくて済みます。
 ギターも同じです。塗装が厚ければぶつけても頑丈ですが、音の出が悪くなります。塗装が薄ければ音の出が良くなり、ちょっとしたことですぐにキズが付きます。
 しかし、ギターはあくまで音を出すのが目的だとすれば、前者は素人受けし、後者は玄人受けします。

2011-06-06

473 新婚旅行で命と自由 07-06-2011(火)

 昔からの読者はご存知かも知れませんが、筆者は中南米の街の孤児救済機関Vida y Libertad(命と自由:日本語訳)に長年毎月寄付して来ました。電話で時折所長さんや事務所の皆さんと話しますが、まだ行ったことはありませんでしたので、新婚旅行で初めてBarcelonaの事務所を訪ねることにしました。
 所長のFrancisco Javierさん(2段目左&3段目が奥さんのMarlenさん)は筆者と同い年と知っていましたが、かなりハゲているのはこちらの人でこの歳ならまあ当り前。
 所長とは言え利益度外視の弱者救済財団(2010年からカタルーニャ地方自治政府公認財団に昇格)。家族を養うための仕事は何と警察官。日中の財団オフィスは奥さんとボランティアのおばはん2人。筆者はそれまで公務員としか聞いていませんでしたので、警察官とは一瞬びっくりしましたが、法科を専攻して、本当は弁護士になりたかったそうです。
 最近非番の時には高齢のお父さんを病院に連れて行くことも多いそうです。こうした家族の問題は世界共通ですね。 

 正しい人は人に与えて惜しまない。-----或る昔の偉い人

 やはり人に与えて惜しまない高潔な人柄でしょうか、新婚旅行の筆者と嫁はんを無理して結構いいレストランンに招待してくれました。無理してと言うのは感じましたので、筆者も早速5月末の寄付はいつもの2倍しておきました。こう言うお互いの誠意に基づいたもらったらお返しなら人生大いに結構じゃないですか。
 その他色々話を聞きましたが、筆者がこの10年間寄付して来た甲斐があったことを身をもって証明してくれた所長さんの人柄でもありました。

447 アンドレス・セゴビアもフラメンコ 07-06-2011(火)

 新婚旅行から戻ったグラナダに、先週先輩の吉川二郎さんがやって来て、その辺でコンサートして帰って行きました。
 滞在中故マヌエル・カーノ先生の息子、午前中医者で昼からギタリストのホセ・マヌエル・カーノを交えて皆で夕食。先週先々週とコルムナした20世紀最高のクラシックギタリスト、アンドレス・セゴビアについて、筆者が訊きもしないのに面白いことを言っていましたのでご紹介しましょう。
 アンドレス・セゴビアぺぺ・ロメロもフラメンコギター的なタッチだそうです。
 どうも日本のクラシックギター業界はきれいな音のためにはタッチは弱い方がいいみたいなタッチの弱い、音の小さな一般愛好家が多過ぎます(もちろんプロは音はでかい)。これではせっかく高価なギターを弾いても、大枚はたいて買ったベンツを市内40kmで安全運転するみたいなものです。
 失敗を恐れず、もっとダイナミックにアンドレス・セゴビアやぺぺ・ロメロ(元々フラメンコギター出身:なるほどフラメンコも弾ける筈です)の様な大きな音で弾けばいいんですよ、アンドレス・セゴビアやぺぺ・ロメロの様に力を抜いて!?
 故マヌエル・カーノ先生は1959年アンドレス・セゴビアと会い、独奏フラメンコギターで頑張る様に言われたそうです。この時の記念写真は先生のお宅のサロンに今でも飾ってあります。 

2011-05-30

472 新婚旅行でみかん2つ 31-05-2011(火)

 新婚旅行中旅先のデパ地下のスーパーに果物を買いに行くと、明らかに同じみかんのパックで値段が随分違う!? 良く見れば片やきれいな外見で、片や皮にキズ。
 なるほど、確かに日本でもそうだったなと思いつつ、金が無い筆者は味は同じなんだからと、当然見た目の悪い安い方を買ってしまうのは持って生まれた貧乏性のせいでしょう。幸い、嫁はんも浪費癖のない庶民派なので、この点苦労はなさそうです。
 この明らさまなみかんの外見差別を見て、筆者はビジュアル系だとか萌え~だとかコスプレだとか、やたらと外見重視、内面度外視の最近の日本人の価値観の超軽薄化を思い出してしまいました。
 かわいきゃいい・・・。特に青少年や若い女性の価値観、また、女性を見る男性の価値観もそうなって来ていると筆者は感じます。
 それでは、読者も皮のきれいなみかんとキズ物みかん2つ思い浮かべてみて下さい。味も大きさも一緒ですが、値段が違います。しかし、2つ共食べないで放っておいたとしましょう。
 暫くはきれいな皮とキズ物であることは誰の目にも明らかですが、段々中身も外見も干からびて来れば、もう区別はつきません。そして、最後は全く同様に腐って捨てられます。
 いい女も悪い女も、男前もブ男も、豪邸も長屋も、あれもこれも、外見が干からびれば最後は皆一緒。

 嘘は花は咲かせるが実は成らせない。-----或る昔の偉い人

 だからこそ人間中身が大事と言えば在り来たり過ぎますが、人間外見に捕らわれない価値観を持たなければ、逆に外見絶対視のこの世の価値観の濁流に持ってイカれる、今はそんな歪んだ時代じゃないかと教えてくれた外見の良いみかんと悪いみかんだった気がします。
 みかんならいいですが、人間まで外見で判断されちゃあ堪りません。実で勝負し様じゃないですか。

446  新婚旅行でアンドレス・セゴビア(2) 31-05-2011(火)

 新婚旅行で訪れたスペイン北部ガリシア地方のサンティアゴ・デ・コンポステ-ラ市のParadorの一角の、病院当時臨終の近い重篤な患者が収容されていたと言う石造りの一室に入りました。そこに何と20世紀最高のクラシックギタリスト、アンドレス・セゴビアの写真と解説がありました。
 1958年この部屋でセゴビアの公開レッスンが行れたそうです。その余りの音響の良さに驚いたセゴビアは、部屋の一箇所にあった隙間を見つけてそこをクッションで塞ぐ様頼み、更に音響が良くなったエピソードが紹介されていました。筆者はその隙間を捜しましたが見つけられませんでした。現在はステンドグラスが入っている細長い窓だったのかも知れません。
 因みにこの年以来現在に至るまで毎年夏、著名な音楽家を招いてのサンチアゴ・デ・コンポステーラ音楽フェスティバルが途切れることなく開かれているそうです。

2011-05-23

471 同級生逝く 24-05-2011(火)

 新婚旅行中コメント&メールいただいた皆さん、有難うございました。またスペイン週間コルムナ&スペインギター週間コルムナ共々再開します。
 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 新婚旅行早々いきなり飛び込んで来たセべリアーノ・バジェステロス死亡のニュース。
 筆者は狭い日本の国土を破壊して何が球転がしじゃ、何が接待ゴルフじゃ、根性があるなら接待野球でもやったらどうじゃと昔からそう思って来ましたし、今でもそう思っています。ですから、生まれてこの方ゴルフ用品に触ったことすらありませんが、筆者がスペイン目指して大学でスペイン語を勉強し始めてまもなく、既にセべリアーノ・バジェステロスの名前は聞いていた記憶があります。スポーツニュースでプロ野球ついでのゴルフのニュースを通じてだったのでしょう。
 日本のマスコミはセべ・バジェステロスと呼んでいたはずです。今でこそスペインサッカーリーグが日本でも見れる時代になりましたが、昭和50年代前半と言えば、まだアントニオ・ガウディさえ余り知られておらず、生きているスペイン人で日本で名が通っていたのはおそらくゴルフのこのセべリアーノ・バジェステロスだけじゃなかったかと記憶しています。筆者もスペイン語を専攻していると言うと人様から怪訝そうな顔をされた時代でした。
 追悼番組を見て初めて気が付きました。筆者と同級生じゃありませんか。ゴルフに何の興味もなかったので、バジェステロスの話すのを見たのは新婚旅行中の追悼番組が初めてと言う筆者ですが、根性が据わったいい顔つきです。筆者が最初にスペインに来た1979年ヒットしていた、バックに流れるパコ・デ・ルシアのフラメンコギター〝二筋の河〟が悲しくもずばり合っていますね。

 死に至るまで忠実であれ。-----或る昔の偉い人

 人生は深さだとは良く言われる人生は太く短くより有意義な人生の意義をより端的に凝縮した筆者の好きな表現です。
 人生に勝ち負けも優劣もないのかも知れませんが、打ち込める何かさえない人生なら、人は何においても忠実であり得る筈がないのかも知れません。
 しかし、打ち込める人生なら深くあり得ます。それが一生涯のテーマならなお更です。
 同級生セべリアーノ・バジェステロスはそんな濃密な人生を送ったのかも知れませんね。
 そんな立派な同級生が亡くなると同時に初老婚の筆者。大器晩成か!?

445 新婚旅行でアンドレス・セゴビア(1) 24-05-2011(火) 

 新婚旅行中コメント&メールいただいた皆さん、有難うございました。またスペイン週間コルムナ&スペインギター週間コルムナ共々再開します。
 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 32年前の学生時分と21年前日本人団体旅行の添乗員として訪れたスペイン北部ガリシア地方のサンティアゴ・デ・コンポステ-ラ市を新婚旅行で訪れました。
 ここにサンティアゴの墓があるなど全くのでっち上げ。理由は①当時(墓が発見されたとされる9世紀初頭)はヨーロッパ全体が新興勢力イスラムに脅かされていた時代背景があり、意気高揚のための大義名分が欲しかった。それには奇跡にまつわる巡礼地を捏造するのが一番。②巡礼者がそのまま兵隊になってくれる(スペイン南部の対イスラム教徒)。③宿場町が潤う。
 とは、仕事の後個人的に言ってくれた21年前の現地在住スペイン人ガイドの説明でした。結局21世紀の今に至るまで巡礼産業丸出しな訳です。
 この誰の墓か分からない墓のある寺院の横の5星Paradorで昼食。Paradorとは観光立国スペインの各地の名所旧跡を利用した国営ホテルで各地にあります。お城ならいいのですが、ここは元修道院兼病院。約500年前のスペイン国王がはるばるヨーロッパ各地から訪れた巡礼者のために設立したと言えば聴こえはいいのですが、要するに巡礼産業を守る一環だったことは明らかでしょう。
 昼食後、このParador内を見学しました。かなりの広さです。迷いそうになったその時、迷ったついでに臨終の近い重篤な患者が収容されていたと言う石造りの一室に入りました。そこに何と20世紀最高のクラシックギタリスト、アンドレス・セゴビアの写真が・・・(続く)。

2011-05-03

結婚式と新婚旅行のためコルムナお休み!?

突然ですが、いい歳こいてスペイン時間4日20:30結婚します

そのため、スペイン週間コルムナ&スペインギタ-週間コルムナ共に次回執筆は5月24日(火)からの予定です。

2011-04-25

470 離婚してもロ-ンは折半 26-04-2011(火)

 昨日の新聞に載ったスペイン最高裁のある判決。
 子供の養育費にあれやこれや別れた奥さんに搾り取られ、おまけに残った住宅ロ-ンの支払いまで押し付けられた離婚男性が訴えた挙句、ロ-ンの80%の支払い義務を命じた2007年の地方裁判所の判決を不服として上告した最高裁の最終判決は今後離婚65%の離婚大国スペインで論議を呼びそうです。まず、スペインでは住宅ロ-ンの契約は夫婦両者との契約であることを念頭に置いて・・・。
 何と離婚夫婦(もう夫婦じゃないかも!?)は残ったロ-ンは折半せよ。最高裁ですから覆りません。お互いの経済状況ではなく、あくまでも夫婦の共有財産としての観点からの判決だそうですが・・・。

 知恵のある女は自分の家を建て、愚かな女は自分の手でこれを壊す。----- 或る昔の偉い人

 もちろん、これは男性もですが、自ら建て上げたものを自らの手で壊すのは愚かだったと言うことに他なりません。ましてや、夫婦や家庭ならなお更。
 壊さない秘訣は何でしょう? どちらの意見が正しいかではなく、お互いの正しい意見を譲り合う精神が根底にあることじゃないでしょうかね? 人は結局その根底にあるものが言行に出て来る存在ですから。この譲り合う精神さえあれば多少金が無くても夫婦は上手く行くでしょうし、これがなければ離婚に至らないまでもギクシャクする方が当り前です。
 だから譲り合う精神のない個人の集合体である国家や社会がギクシャクする・・・。美しい日本がすぐにギクシャクして死語になったのも、日本の離婚率が3組に1組の夫婦と家庭の崩壊にあるのかも知れません。久し振りにこのことばを使いますが、ミクロなくしてマクロなし。ミクロの健全なくしてマクロの健全もありません。
 離婚後に残ったロ-ンの配分とか、裁判所の事後処理なんかどうでもいいことです。離婚しなきゃいいだけの話し。その秘訣は知恵でしょうか? 真の知恵で自らの家を建てれば、自らこれを壊す愚かさを犯すことも、ロ-ンの割り当てもへったくれもないはずです。

444 きれいに別れる良いギタ-の材質(4) 26-04-2011(火)

 日本は国難の時ですが、続けてスペインギタ-コルムナして行きます。
 新品でも使用木材が古いほど音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる新しい良いギタ-(先週のコルムナ)。これは意外と盲点ですね。
 どうも古いと聞けばガタが来ていると同意語だと思うのが人の先入観の様ですが、建材は知りませんが、こと木製楽器の使用木材に関しては却って音質向上の決め手でさえあります。
 ですから、無理矢理機械乾燥させる量産ギタ-は論外ですが、手工ギタ-の品定めの一つは使用木材の古さです。  
 例えば、工房やギタ-専門店でこのギタ-の木はどれ位寝かしてありますかと質問すれば、この客は少しは分かる客みたいだから侮れないなと思わせる間接的な駆け引きにもなっています。
 もちろん、いい気になって量産品丸出しの10万円のギタ-を指差してこの質問をすれば、自らの無知を曝け出して商業主義に侮られることにもなります!?

2011-04-18

469 金は稼げるうちに 19-04-2011(火)

 今週欧米社会はイ-スタ-。地元グラナダのホテルは連日満杯で、アルハンブラ宮殿も4月10日には既に5月3日まで予約完売状態。
 あたかも世界的大不況など存在しないかの如き遊び三味ですが、理由はご存知アラブ世界の政情不安です。本来あちらに行く筈だった旅行者がスペインに流れて来て大盛況なのですから、これは絵に描いた様に風が吹いて漁夫の利を得る桶屋そのものです。
 イラク戦争の時、あれほど騒いだ反戦デモ隊のスペイン人もアラブ人同士が殺し合っている分には一切無感動無関心。けったくそ悪いアメリカが絡んでなければ反戦気分にはならないのです。結局反戦ではなく反米だと素直に言えないところが人間様の身勝手さなのは世界的傾向かも知れません。

 人は天から与えられなければ何も受けること能わじ。-----或る昔の偉い人

 しかし、せいぜい一週間のイ-スタ-とメ-デ-連休の盛況なら今日のパンに明日は空腹(スペイン語の言い回し)です。隣国ポルトガルがギブアップした今、明日は我が身と分かっているからこそ、先週サパテロ首相もわざわざ中国までスペインの赤字国債の売り込みに行って来たのでしょう。
 蜻蛉の様な束の間の観光立国スペインの連休景気に、魂胆丸出しの笑顔で世界の赤字国債を買い漁る意地汚い中国。
 最後に何も受けること能(あた)わじとか言われたらショックでしょうね。最後にと言うのは人生の最後にと言う意味かも知れませんし、もっと早期の場合もあるでしょう。我々のことです。
 いえ、受ける価値観から与える価値観に大転換してこそ、実は受けること能うのが人生の逆説の大真理だとすれば、これは立ち止って考えてみる価値はありそうです。アラブ諸国の独裁者達はいい気になって立ち止って考えてみることさえ頭を過ぎらなかったからこうなったんだったりして!?

443 きれいに別れる良いギタ-の材質(3) 19-04-2011(火) 

 日本は国難の時ですが、続けてスペインギタ-コルムナして行きます。
 どうしても人は古いより新しい方に目が行きます。例えば、オバはんより若い娘!? 確かにそうかも知れませんが、演歌なら人生の経験を積んだオバはん歌手の方が年季が入っています。一概に総て新しいのがいいとは言えないはギタ-も同じです。
 それでもどうせ買うなら新しいギタ-と思うのが人情かも知れませんが、それなら古い木材を使った新品のギタ-でどうですか?
 ギタ-は古いほど、そして、新品でも使用木材が古いほど音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる新しい良いギタ-であり得ます。
 もちろん、ギタ-も木も生物ですから理詰めの規則とはなり得ませんが、古さこそ良いギタ-の秘訣だとはっきり言えます。

2011-04-11

468 我欲に赤旗 12-04-2011(火)

 大地震と大津波から1ヶ月経ってまだ1万数千人の行方不明者。物凄い大災害だったことが伺えます。
 結構行われているチャリティ-イベントなども総ては無料奉仕の様です。当り前と言えば当り前ですが。 ところで、筆者の学生時代、下級生で学内で熱心に赤旗を配っている奴がいました。そんなエネルギ-があったら他のことに使えよ、と面と向かっては言いませんでしたが、今でもそう言いたくなるであろうことに違いはありません。誰がソ連や中国の共産主義を見て憧れるでしょう?
 ところが、スペインに来て何年か経った頃、皆が誰の物を誰の物とも思わず、皆で生産して必要に応じて分け合えばいいんじゃないのか? そうすれば総ては丸く収まるし、そうなったらもはや金も警察も刑法も要らないし、と思いつきました。
 そして、すぐにあれ、こりゃ共産主義じゃないか、と気付きました。
 そんな崇高な共産主義を強欲で身勝手な人間様に実現出来ると思ったことが共産主義の大失敗の元凶であり、共産主義自体はむしろ理想であると筆者は現在思っています。ただ、人間が人間である以上、これは実現不可能であり、現に人間社会は理想郷どころか、全く逆方向に歪みに歪んだ奇形社会になってしまったのが人間様の現実です。 そんな中、今回ボランティアに無償奉仕に差し入れ・・・。これは正に、被災地区限定ですが、共産主義の実践じゃありませんか?
 仮に税率が平均収入の30%なら、社会形態は資本主義ですが、それは30%の共産主義だと言えなくもないはずです。そして、こう言う時こそ税金を被災地に回すのが税金の本筋のはず。隣人愛の精神に基づいた税金なら大いに結構じゃないですか。

 受けるより与える方が幸いです。-----或る昔の偉い人

 こう言う日本人の隣人愛と共産主義の精神が垣間見える今回の無償奉仕に差し入れだと筆者は感じます。物資やチャリティイベント自体ではなく、その根底にある精神の問題です。垣間見えるのではなく、謙遜に丸出しでやれば、かつて死語となった美しい日本も夢じゃないかも知れません。
 そのきっかけが大災害なのが皮肉ですが、痛い目をしないと分からないのもまた愚かな人間様の本性かも知れません。
 人間様にはこの元来持って生まれた我欲の愚かさと、与えることを惜しまない隣人愛の両面があるのかも知れません。両面備わっていない人はいない、しかし、隣人愛の側面の顕著な人ほど、いわゆる良い人であると言えるのでしょうね。
 とか何とか言いながら、世の中おかしくなると後醍醐天皇の建武の中興みたいな世直しや今回みたいな無償奉仕やタイガ-マスクで持ち直し、そして、持ち直してはまたダレて上流からか下流に流されて行くのが人間様とその歴史かも知れません。
 受けるより与える方が幸い・・・。今回のポルトガルとEUには当てハメても当てハマらないことは明らかですよね(先週のコルムナ)。

442 きれいに別れる良いギタ-の材質(2) 12-04-2011(火) 

 日本は国難の時ですが、続けてスペインギタ-コルムナして行きます。
 誰でも消費者なら古いものは嫌うかも知れませんが、ギタ-は生鮮食料品ではなく、枯れるほどに味わいが深まるいぶし銀だと価値観を一変して下さい。古いほどいいのです。
 古ければ商品価値が落ちるかどうかはともかく、こと音に関して言えば、ギタ-は古い方が良く鳴ります。良く鳴ると言うことは現在コルムナのテ-マである音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる良いギタ-だと言うことです。
 木材の気孔内部の樹液が年月の経過と共に乾燥し、木材自体の音の通りが良くなるためです。 逆に言えば、音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる良いギタ-の条件の一つは古いギターであると言うこと。そして、新しいギターでも古い木材を組み立てた新しいギターかどうかと言うことです。
 死んだ目の魚の出来立ての上手い刺身はあり得ませんが、古い木材で作られた、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる新しい良いギタ-はあり得ます。

2011-04-04

467 次はポルトガルか!? 05-04-2011(火)

 東日本大地震とリビア情勢で影に隠れた感がありますが、先月22日自らが提案した引き締め経済政策を国会で野党に拒否されたポルトガルのソクラテス首相が頭に来て辞任。ギリシャ、アイルランドの次はポルトガルが風雲急を告げそうです。
 翌23日EUはより強力な経済引き締めを条件にポルトガルに750億ユーロの融資を検討
 30日ポルトガル政府は2009&2010年の赤字が公表よりもかなり多かったこと発表(嘘を吐いていたのか!?)。
 同日遂にポルトガル議会が解散し、朝日新聞にまで掲載
 元々経済力も産業もないポルトガルが倒れてもEU自体大した影響はないと言われてはいますが、隣国と言うこともあり、かなりのスペイン資本も投入されているポルトガルが破産して無事でいられるはずがないスペインとも言われているこちらのマスコミです。
 確かにギリシャの4倍の経済力のスペインがEUとIMFの介入を受ける事態にでもなればドイツ人もこれ以上黙ってはいないでしょうし、相当の金をIMFに注ぎ込まざるを得ない日本ももう少しギャアギャア言ってもいいのかも。
 まずはポルトガルかも知れませんが、ヨ-ロッパには近い将来別の津波が押し寄せるのかも知れません。

 誰に対しても何の借りもあってはいけません。ただし、互いに愛し合うことについては別です。-----或る昔の偉い人

 これは借りとは金の貸し借りだと言う低次元な概念を超越した崇高な借りの定義です。我々はもし隣人に対して、そして、動物や自然界に対してさえも施すべき愛や誠実を施さないなら、それは彼等に対する道義的な借りを負うことになります。思えば様々な社会問題や国際問題はこの人としての借りを作り、その借りを借りとも思わず更に踏みにじることに拠って生じた不良債権(借り)とも言えます。
 借金を重ねればバブルがはじけ、愛と誠実の借りを踏み倒せば人間自体が基盤沈下します。隣人愛の精神だけが零落した人間にとって唯一の再浮上の道です。浮くか沈むか。人として沈まなければ借金地獄に沈むこともないでしょう。

441 きれいに別れる良いギタ-の材質(1) 05-04-2011(火) 

 日本は国難の時ですが、続けてスペインギタ-コルムナして行きます。
 それでは、それを聴き分ける耳があるかないかは別にして、音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる良いギタ-を木工の面からコルムナしてみましょう。とは言え、筆者は力木の太さや配列など内部構造と音の因果関係については分かりませんので、主として材質と塗装の観点からコルムナします。
 まず、ギタ-なら材質は木ですが、この木よりあの木の方がより音が分離し易いと言う木材の比較ではなく、どんな木材のギタ-も古いほど音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる良いギタ-だと言えます。
 日本の常識は世界の非常識なることばがありますが、それはギタ-に限らず楽器選びにおいてもそうかも知れません。トランペットなど金管楽器は知りませんが、ギタ-に限らず木製楽器は、事音に関しては古い方が音が十分に分離して、一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえる共通点があります。
 一般的に古い物は新しい物に比べて軽視されがちですが、ギタ-の音色に関して言えばこの常識は逆転します。

2011-03-28

466 バチ当りな原子破壊 29-03-2011(火)

 国難去ってまた国難。起こってしまった地震と津波は仕方がないとしても、未だ完全に封じ込めるどころか、今後の展開次第ではいつ暴発するか解らない放射能漏れの方がもっと国難かも知れません。さすがに最近ト-ンは落ちましたが、スペインでも毎日報道されています。
 基本的に自然に準じることが人間にとって美徳であり、自然に逆らうことは悪徳だと筆者は本能的に感じます。

 自然自体があなたがたにこう教えていないでしょうか。-----或る昔の偉い人

 人間様が原子を破壊してまでエネルギ-を得ようと言うのがそもそも間違いの元なのです。遺伝子の組み替えもそうです。あれもこれも人間様が手を出す範疇を超えている、良い結果とはならない悪い予感がします。 エネルギ-なくして産業の振興はあり得ない。確かにそうでしょう。しかし、自然から得られるエネルギ-で生産出来るものだけで我慢すりゃあいいんですよ。
 必要ないもの、とは言いませんが、一昔前までパソコンや携帯がなくても生活出来たし、ビジネスもそれなりに成り立っていたじゃないですか?
 その意味では、地震と津波は天災ですが、地震と津波による今回の放射能漏れは人災だと思う筆者かな。

440 きれいに別れて良いギタ-(2) 29-03-2011(火) 

 日本は国難の時ですが、続けてスペインギタ-コルムナして行きます。
 個性が中々ことばにならないことは別にして、個性ある楽器の音にはギタ-に限らず共通点があります。それは音が十分に分離していること。一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえることです(先々週のコルムナ)。
 逆も然り。音が十分に分離して一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえるギタ-の音色は何等かの個性を感じさせるものです。そして、この様なギタ-は自ずと歌います。
 そして、この様なギタ-こそマヌエル・カーノ先生のみならず、世の多くのギタリストにこのギタ-は歌うと言わしめるのです(同432)。
 それでは、次回からどんなギターが一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえるのか、ギタ-の作りの観点からコルムナして行きましょう。

2011-03-21

465 どうしたタイガ-マスク 22-03-2011(火)

 東日本大震災と大津波から11日目。今こそタイガ-マスクの真価が問われる時だと筆者は思いますが、意外と聞かれませんね。

 あなたの隣人をあなた自身の様に愛しなさい。-----或る昔の偉い人

 同胞日本人にはこう言う時こそ隣人愛の性根を曝け出して再起して欲しいものです。

439 雑音の出る良心的な中国製ギタ- 22-03-2011(火)

 日本は国難の時ですが、続けてスペインギタ-コルムナして行きます。
 先週偶然こちらで売られている中国製ギタ-を弾く機会がありましたのでコルムナしてみましょう。
 持ち主によれば80ユーロ(約10000円)。一応フラメンコギタ-ですが、何の木か分からない白っぽい合板。何と良心的な思ったのはラベルにMade in Chinaとの表記があったことです。これなら産地偽装の中国製スペインギタ-ではありません。
 日本の地震に津波とリビア情勢で最近ニュ-スになってはいませんが、相変わらずギリシャ、アイルランドに次いで破産寸前の噂が絶えないスペイン経済ですから、国内ではこうした低料金のギタ-しか売れないのでしょう。
 まず、持ってずっしり来る重さ。これは塗装の重さですね。キズ隠しの分厚いガン塗装です。これで音がますます小さくなります。ただ、この料金ですから、文句言う方が人の道に外れているでしょう。
 ただ、一つだけ勉強になったことがあります。何故か②③弦がビビッていました(雑音)。どこをどう見ても分かりませんでしたが、糸巻きを手で押さえるとピタッと止まりました(どう言うギタ-じゃ!?)。確かに、何らかの雑音の出ないギタ-はありませんが、ボロ糸巻きのせいとは意外でしたね。
 先週の続きはまた来週。

2011-03-14

464 スペインまで響く東日本大震災 15-03-2011(火)

 相手が自然ですから恨み様がないのがまだましとは言え、これは元寇と太平洋戦争以来の国難です。
 筆者もスペインの記事を書いている場合じゃないかも。
 こんな時にバラエティや漫才を流しているバチ当りなTV局はないんでしょうね? 阪神淡路大震災に比べて今回は原発の放射線漏れが絡んでいるだけより深刻です。
 スペインでもこれを機会に国内の原発の安全性についての議論が起こっています。

 あなたの隣人をあなた自身の様に愛しなさい。-----或る昔の偉い人

 こう言う正念場こそ、同胞日本人には隣人愛の性根を曝け出して再起して欲しいものです。

438 きれいに別れて良いギタ-(1) 15-03-2011(火) 

 日本は国難の時ですが、続けてスペインギタ-コルムナして行きます。先々週の続きです。
 個性が中々ことばにならないことは別にして、個性ある楽器の音にはギタ-に限らず共通点があります。それは音が十分に分離していること。一音一音がはっきり別れてきれいに聴こえることです。
 筆者も余りはっきり喋る方ではありませんが、口を大きく開けて一音一音はっきり発音する人の方がハキハキすっきり聴こえます。一音一音はっきり発音するとは母音をはっきり発音すると言うことです。そうすれば、大声を張り上げなくても声は遠くまで聞こえるそうです。
 母音をはっきり発音せずに遠くまできれいに聴こえる大声もないことになります。出来のいい大きな音の合板製ギタ-みたいなものです。やはり、合板では限界があります。
 と言うことは、大きな音は出ていなくても、一音一音がはっきり分離しているギタ-なら、聴く人の耳にもきれいに聴こえていることになります。

2011-03-07

463 どう言う父ちゃんじゃ!? 08-03-2011(火)

 日本でもバカな母親がパチンコに興じている間に駐車場の車内に残した子供が熱中症で死亡するふざけた事件がたまにありますが、今週はそのスペイン版。
 先週木曜日、スペインのある町で39歳の父親が子供を車内に残して自らは売春宿へ。子供の泣き声に気付いた通行人が通報して発覚。冬の夜ですから、熱中症どころか、子供はかなり寒かったんじゃないでしょうか。因みにこれがスペインの気候です。気温差がありますね。高原の国ですので、夜は冷えます。

 利口な者は知識を隠し、愚か者は自分の愚かさを言いふらす。-----或る昔の偉い人

 さすがは情熱のスペインです。パチンコじゃあ済みませんが、子供が死ななかっただけこっちの方がまだマシかも!? 
 訳の分からん低次元な比較です。
 人間は確かに愚かな存在ですが、親が子供を放ったらかしてまで、と言うところに一線を越えた別次元のより深い愚かさを感じます。
 言いふらす様になっちゃあお終いです。 

437 乾いて鳴る安いギタ- 08-03-2011(火) 

 3月とは言えまだまだ寒い高原の国スペインですが、晴天でさえあれば日中気温はかなり上がります。
 そんな中、先週一番安いギタ-を弾いていると思わずビビるほどの鳴りの良さにびっくりしました。ギタ-が予想外に鳴れば嬉しいのも束の間、筆者はすぐさま湿度計を見て思わずビビりました。3月初旬に湿度40度。危険を察知した筆者はすぐに掃除用のモップで床を濡らしました。
 この乾燥具合ならギタ-が鳴るはずです。ただ、乾燥気候のスペインでは適度な湿気を保たないとギタ-が割れます。日本でも乾いた日は肌が突っ張るのと理屈は同じです。
 その代わり、乾燥すればギタ-はこの様に鳴ります。湿気の多い日本の読者も室内の湿度を調節してやればギタ-に限らず楽器は鳴ります。
 因みに、湿気の少ないスペインでは何を買っても乾燥剤が入っていません。必ず乾燥剤の入っている日本の食品をスペイン人にあげる時は乾燥剤のことを言ってあげないと、免疫のない彼らは食べます!? 筆者は何人か殺しかけています!?
 先週の続きはまた来週。

2011-02-28

462 あっぱれエクアドルのおばはん!? 01-03-2011(火)

 一昨日マドリ-ド在住の知り合いの日本人男性がやって来ました。
 筆者の様に南部にいると余り感じませんが、現在マドリ-ドは飲食店やス-パ-の店員など、結構エクアドル人の移民が多いそうです。日本の工場や造船所で中南米人や中国人が低賃金で雇われるのと理屈は同じです。スペイン人経営者も切羽詰っている訳です。
 それでも言葉の問題があり、日本なら外人がス-パ-の店員をやっていることはないでしょうが、同じスペイン語圏ですので、スペインではあり得ます。
 筆者も以前コロンビアの移民と知り合いましたが、こいつら(スペイン人)ろくなスペイン語喋ってないそうです!?
 そして、先日この知り合いの日本人がマドリ-ドの市バスでエクアドルのおばさんに話しかけられ、あんたどっから来たん? 日本。日本? バスでどれ位かかるん?

 悪事においては幼子でありなさい。しかし、考え方においては大人になりなさい。-----或る昔の偉い人

 やはり、一国が発展するしないにはそれなりの理由があるものです。
 しかし、良く考えてみれば、知らないと言うことはそれだけ余計な気苦労をせずに済む訳ですよね。
 ある意味我々は知り過ぎて余計な気苦労の毎日だと言えなくもありません。携帯電話にメ-ルにインタ-ネット・・・。確かにこんなものなくても生活出来ますし、つい15年ほど前まではそれで事足りていた訳です。
 そう考えれば、多くの現代人には無知だと映るであろうこのエクアドルのおばはんの方が幸せじゃないのかと一瞬思った筆者であった。

436 自ずと歌う良いギタ-の個性ある音は分離する 01-03-2011(火) 

 故マヌエル・カ-ノ先生はこのギタ-(の音色)は個性があると良いギタ-を評しました(コルムナ431)。音(音質)の個性です。ギタ-によって甘い音乾いた音明るい音軽快な音落ち着いた重量感のある音など様々でしょうが(先週のコルムナ)、今回はこれらの様々な個性ある音色の良いギタ-に見られる(聴かれる)共通点についてです。
 音の分離です。一音一音がしっかり分離していれば、手元で音量はなくても、遠達力があり、聴衆にはきれいに聴こえていることは以前コルムナしました。ギタ-選択は色んな観点から吟味する必要があるでしょうが、違いが分かる人ほど、この音が如何に分離しているかどうかでギタ-を見極めている様です。何故か?
 音がしっかり分離しているギタ-は個性ある音であり、個性ある音のギタ-は音がしっかり分離している相乗関係にあるからです。
 歯応えがある麺は美味い麺であり、美味い麺は歯応えがあることと良く似ているとも言えるでしょう。

2011-02-21

461 せっかく来たのに帰るんか!? 22-02-2011(火)

 世界地図を見るとモロッコの最北部にセウタ:Ceutaなるスペイン領があるのが分かります。
 この国境を徒歩で乗り越えて西サハラのアフリカ人が仕事を求めてセウタからスペインに入って来ます。しかも、大挙して。それほど貧しいと言うことでしょう。
不正入国に頭を抱えたスペイン政府はこのモロッコ・セウタ国境に従来より高い金網を設置したのが4年ほど前だったでしょうか。
 そして、1月31日早朝、1人のマリ人(西アフリカ)男性がこれを超え様として超えられず、敢えなく御用。
 ここまでなら何の変哲もない普通の違法入国検挙でニュ-スにさえなりませんが、今回だけはスペイン中で大々的に報じられる一大ニュ-スとなりました。
 何とこのマリ人は既に4年前からスペインに潜入しており、余りの仕事のなさにスペインに愛想を尽かしてセウタ・モロッコ国境を通って、徒歩でマリまで帰るつもりだったとか!?
 スペインからアフリカに帰りたい移民第一号実話となった、このほとんどブラックジョ-クにスペイン中が大笑いでしたが、一方、アフリカの移民にさえ見切りを付けられるほどスペインの不景気は深刻だと再認識するニュ-スの自虐的コメントもまた少なくはありませんでした。

 人よ、何が良いことなのか。-----或る昔の偉い人

 確かにユ-ロバブル期には建設現場に人手が足らなかったのでしょうが、バブッて弾けてジャジャジャジャ~ん(分からない読者はお父さんに訊いてね)!?
 スペイン人の濡れ手に泡の調べに合わせて、移民も一緒になって踊らされたと言えるでしょうね。
 しかし、新天地スペインの夢破れて山河なし。そしてロ-ンは残った(樅ノ木は残ったの派生語:分からない読者はお父さんに訊いてね)。そこで、払った念願のマイホ-ムのロ-ンは放棄して手放し、正規ル-トで国に帰った中南米の移民もたくさんいる様です。残念ながら、先々週のアルゼンチンの嫁はんもそうだと言えます。
 やはり、いくら途中経過が良くても、最後が悪ければ、途中経過もそれ以前の動機も良いことではなかったと言えるのかも知れません。
 

435 自ずと歌う良いギタ-の個性ある音 22-02-2011(火) 

 個性のない人でも見た目は人間です(失礼!?)。同様に個性のない音のギタ-も見た目はギタ-ですが、やはり、音に面白みがありませんから魅力も感じません。
 このギタ-(の音色)は個性があると故マヌエル・カ-ノ先生が良いギタ-を評した様に(コルムナ431)、ギタ-の音色にも個性があれば、それはまた奏者を弾く気にさせる自ずと歌う良いギタ-でもあります(先週のコルムナ)。
 では個性ある音とはどんな音でしょう? こう言う場合音量ではなく音質のことなのは明らかですが、ことばになるところでは甘い音乾いた音るい音軽快な音落ち着いた重量感のある音・・・。
 もう少し位は言えそうですが、これ以上は中々ことばにならない個性の世界かも知れません。例えば、このビ-ルが一番喉越し爽やかだとか(筆者は酒は用命酒だけですが)。他とどんな具合に違うか説明してくれる? 説明してくれと言われてもな~。とにかく、喉越しの感触が違うんだよな、とか。やはり、ことばにはなりません。
 それでも、個性が中々ことばにならないことは別にして、個性ある楽器の音にはギタ-に限らず共通点があります。次回からBlogして行きましょう。
 

2011-02-14

460 巧く逃げた経営者 15-02-2011(火)

 コルムナ339で登場してもらった倒産した呪いのスーパー。実は筆者の知り合いのおじさんの妹が勤めていました。筆者は妹とは面識がありませんが、そのおじさんに一昨日1年ぶりにバッタリ会いました。
 妹はあれ以来相変わらず失業中(おじさんも)。それで訴訟はどうなった?
 社員達が組合の支援を受けて賃金未払い分を払えと経営側を訴えていた訳ですね。
 経営側は破産宣告。その前に財産の名義変更しやがってな・・・。ま、それ位のことは日本人でもやるだろう、と筆者は言いませんでしたが・・・。

 ですから、あなた方は偽りを捨て、おのおの隣人に対して真実を語りなさい。-----或る昔の偉い人

 今スペイン中で華僑経営のス-パ-が増えています。言っちゃあ何ですが、連中は不況でも食いっ逸れのないス-パ-に眼を付けただけで、要するに金さえ儲かれば職種は何でもいい訳です。
 ビジネスを始める動機なんか各人の自由だろと言われればそれまでですが、やはり、儲けてやろう、一山当て様、今何が流行っているか、或いは、しょうがないから何かやるか、ではなく、何らかの社会的責任感使命感が根底にあれば、これこそ地に足を付けたビジネスだと言えるはずです。

434 車との相性は自ずと歌う良いギタ- 15-02-2011(火)

 故マヌエル・カ-ノ先生のこのギタ-は歌う歌うの意味は何でしょう?
 まず、どんな楽器でも歌わせることが目的です。何を? 弾いているその曲に決まってるじゃないですか?
 どうしても楽譜が目の前にあると楽譜通り弾こう、そこに書いてある指使いで・・・とあたかも楽譜や指の動きが目的意識になってしまいますが、楽譜や指使いや今週のレッスンはその曲を歌わせて表現する手段に過ぎません。極端な話、歌わせる演奏が出来れば、圧倒的大多数のスペインのフラメンコギタリストの様に楽譜は読めなくてもいいし、運指も理に適っている必要もありません。
 例えば、禁じられた遊びならアルペジオの、アルハンブラの想い出ならトレモロの基礎練習を繰り返すことが目的ではなく、禁じられた遊びを、アルハンブラの想い出を歌わせるのが目的です。アルペジオもトレモロもそれ自体は手段です。
 ただ、ギタ-が自ずと歌う良いギタ-なら、弾き手を自ずと上手いアルペジオやトレモロに誘ってくれます。
 思い切りアクセルを踏み込まないと走らない車はせいぜい60Kmまで。それ以上はドライバ-も気が気ではありませんが、アクセルを少し踏むだけでグッと加速する車はドライバ-を自ずとその気にさせる良い車だと言えば分かり易いでしょうか?
 良いギタ-も良い車も自ずと、です。

2011-02-07

459 金の切れ目は万国共通 08-02-2011(火)

 コルムナ289&296で出汁にさせてもらったフラメンコ会場の知り合いのガイドのおじさん。
 一昨日久し振りに顔を合わせましたが、筆者はどや調子は?と、いつも通りに惰性で会話を始めたつもりでしたが・・・。
 仕事も無い、金も無い。嫁はんにも逃げられた・・・。
 筆者は一瞬冗談かと思いましたが、いつもは冗談ばかりコキ飛ばしている奴が、一瞬えらく沈んだ眼差しになったので、筆者も一瞬面食らいました。
 嫁はんはアルゼンチン人。アルゼンチンの実家に逃げ帰ったそうです。
 その上本当に金がないらしく、フラメンコ会場のディナ-で余った食材をもらって帰って食べているとか。
 う~ん、こいつは中々いい奴なんですがね。子供はいない様ですが、もう55歳。正直まともな仕事が見つかるとも思えません。

 倒れたら起き上がらないだろうか。背信者となったら悔い改めないだろうか。-----或る昔の偉い人

 倒れたら起きろと言われてもそう簡単には行かんですよね、この場合悪い事した背信者でもない訳ですし・・・。
 一つ慰めがあるとすれば、世界的大不況の中、このおじさんの様な状況は今日例外でも何でもなくなって来ていると言うことでしょうか。
 自らがバカな事やって落ちたのならたのならともかく、人並みな人生を送っていて、それでも落ちたのなら仕方がありません。現実を見据えて上を目指して生きて行くだけです。

 

433 自ずと歌う良いギタ- 08-02-2011(火) 

 気の利いた人は何も言わなくてもやってくれる人なのかも知れません。色んな機械も勝手にやってくれる全自動の方がいいですよね。
  良いギタ-もそうかも知れません。ある意味奏者が弾くのではなく、ギタ-が自ずと歌えば、それは奏者を弾く気にさせる良いギタ-だと言えます。これが故マヌエル・カ-ノ先生のこのギタ-は歌うの意味でしょう(先週のコルムナ)。
 と言われても、これまた掴み所のない表現ですが、歌わない悪いギタ-は思い切りアクセルを踏み込まないと走らない車自ずと歌う良いギタ-はアクセルを少し踏むだけでグッと加速する車だと言えば分かり易いでしょうか?
 ただし、以上は奏者が歌心豊かな奏者であって初めてこのギタ-は自ずと歌うと吟味出来ることなのでしょう。
 次回は歌うの意味をコルムナしてみましょう。

2011-01-31

458 一喜一憂レ-ト換算 01-02-2011(火)

 今日から2月です。スペインでは通称2月の坂と言います。クリスマスとイ-スタ-の狭間で特別国民的催しも連休もなく金もなく、市民も商店も窮して上る坂と言う意味です。世界的不況で今年はなお更でしょう。
 日本国内で円で暮らしている日本人の皆さんには余り興味にないことですが、こちらに住んでいるとやはり円とユ-ロのレ-トが気になります。
 そこで、先週木曜日の日本の国債格下げのニュ-スに1ユーロ=113円代後半まで円が急降下。収入源のスペインギタ-が円決算の筆者はありゃ~と思わず頭を抱えましたが、同時に発生したエジプトの騒乱のおかげで、2日後には原油上昇⇒ニューヨーク株大幅下落⇒ついでに円が対ユーロでも上昇し、1ユーロ=111.78円まで急降下。そして、今日は少し持ち直して112円台半ば。
 日本の国債格下げですから、これは一時的ではなく、少々長期の円安が続くのではないかと日本の輸出メ-カ-が安堵したのも2日間。まさかのエジプト騒乱であっと言う間に元の木阿弥。風が吹いて桶屋ではありませんが、今度は筆者が安堵しました。ヨ-ロッパへの日本人旅行者もそうでしょうが、輸出に頼る日本経済全体の観点から見れば円高は良くないことですね。

 この世と調子を合わせてはいけません。-----或る昔の偉い人

 しかし、これじゃあまるでジェットコ-スタ-です。確かに、リ-マンショック前のユ-ロバブル全盛期に比べれば、ユ-ロはそれ相応のレ-トに落ち着いていると言えなくもありませんが、国債が格下げされるほど日本経済自体の景気が悪いのに、それに反比例するかの様に円が異常に強過ぎることが不気味ですし、今回みたいな国際規模の大事件が今後も頻発しそうな世界情勢はもっと不気味です。
 冷静に見つめれば、格下げされた国債に比例して、円ももう少し価値が落ちるべきなのが日本経済の現状であり実力でしょうが、そうならないところに不気味な不安定感を感じます。何かあったらあっと言う間にこける・・・。そんな現在のスペイン経済みたいな不安定感抜群で明けた2011年の日本経済と世界経済かも知れません。
 それもこれも金と言う価値観が根底にあるから起きる問題です。いえ、根底どころか金そのもの。
 日本語の言い回しで他に考えることはないのかと言うのがありますが、他に価値観はないのかと圧倒的大多数に調子を合わせないことが意外と人生幸せの秘訣の一つかも知れません。
 
  

432 マヌエル・カ-ノ先生のギタ-吟味(5) 01-02-2011(火)

 人間もそうですが、個性のない奴は面白くない。ギタ-もそうなのでしょう(先週のコルムナ)。それに、良いギタ-を形容するのにこのギタ-(の音色)は個性があるとは故マヌエル・カ-ノ先生だけではなく、筆者の経験では多くのギタリストの口にする表現ですので、これは万人に共通のギタ-選択基準と言えます。
 次に、これまたマヌエル・カ-ノ先生の口にしていた表現ですが、このギタ-は歌うと言うのがあります。
 これまた分かり難い言い回しです。つまり、歌わないギタ-は悪いギタ-だと言うことでもありますが、一体どう言う意味でしょう?
 マヌエル・カ-ノ先生に師事した先輩の吉川二郎氏に、ある時日本語情報センタ-でベルンド・マルティン作タレガモデルを試してもらったことがありました。まず、筆者が音合わせしていると、その時まだ触ってもいなかった吉川氏がこれはええと言いました。しかも、筆者の記憶では、筆者が僅かに①弦だけ単音を数音弾いた時点でのことでした。名人は名器を知る、しかも初見で知るとでも言いましょうか。単音を爪弾いて、或いは、コ-ドを押さえて掻き鳴らすだけで果たしてこのギタ-は歌うか否か、聴く耳を持っている人は即座に利きます。
 この時吉川氏がこのギタ-は歌うと言ったかどうか覚えていませんが、筆者がもう少し加えて説明するとすれば、それはこのギタ-は自ずと歌うと言うことです。

2011-01-24

457 異国で孤独死 25-01-2011(火)

 昨年末の話になりますが、今は観光ガイドをやっていない、マドリ-ド在住の昔の同業者がやって来ました。
 色々向こうの日本人観光ガイドの話を聞きましたが、皆不景気で参っているとのこと。仕事が無くて日本に逃げて帰った奴、そして、幸い筆者の知っている人ではなかったのですが、死後数日経って発見された孤独死が3人・・・。
 筆者もこちらで10年間やった日本人観光ガイドは個人業。仕事がなければ収入もありませんが、仕事がない日は完全休養日。日本に居て仕方がないから働く日本人読者から見れば何と自由気ままな生活、しかも、海外で。何と羨ましい・・・、と思うかも知れませんが、金の切れ目が滞在の切れ目。日本に逃げて帰るしかありませんし、国際結婚でもしていればもっと切れ目でしょう。

 卑しい利得を求めるのではなく、心からそうしなさい。-----或る昔の偉い

 それにしても、孤独死とは本人も想像してなかった人生の幕切れじゃなかったでしょうか? それも地球の裏側で。あこがれのスペインに来たのが良かったのか、悪かったのか・・・。
 そう考えてみれば、海外に出ようが、日本に残ろうが、それ自体は人生の本質でも何でもないのでしょう。ましてや、最近流行りの日本からの現実逃避で羽を伸ばすのが目的では人生の本質もへったくれもないのはどこの国に逃げて行こうが同じことかも知れません。大切なのはどこに行こうが自らの目的と意思をはっきり持って、軸がブレないこと・・・。
 と思って海外に出ようが、日本に居ようが頑張っている日本人だって結構いるはずです。筆者もそうかも知れません。しかし、自分の目的と意思をはっきり持ってはいても(持ってないよりはましですが)、それ自体実は卑しい利得を求める我田引水的人生だったりするのが、実は多くの人の生き方かも知れません。
 心からそうすることは軽薄より遥かにましですが、その動機と対象が不適切であれば、結果としてそれは心から卑しい利得を求めてしまっているのかも知れません。
 何を心からそうするのか・・・。ある意味これは人生のテ-マかも知れませんね。

431 マヌエル・カ-ノ先生のギタ-吟味(4) 25-01-2011(火)

 このギタ-(の音色)は個性がある。直訳すればマヌエル・カ-ノ先生はこんなスペイン語の表現を使っていました。もちろん、いい意味です。
 逆に言えば、個性のない音色のギタ-はどんなに音量があろうが、ただ単に大きな音が出ているだけ、それがどうかしたのか?
 肥えた耳のギタリストにとっては、どんなに音量が大きかろうが、音色に個性がなければ『それがどうかしたのか?』と思われてそれでお終いなのですね。
 指は良く動いてテクニックはあっても、表現力のない演奏みたいなものかも知れません。聴く耳のない聴衆ならコンサ-トでこのギタリストの指は何でこんなに動くんだろうかとか、おかしな感動をするかも知れませんが、肥えた耳の聴衆なら演奏が如何に歌っているかで感動もし、がっかりもするでしょう。
 同様にギタ-選択も、かなり弾ける人でも結構音量で選んでいるのが実情じゃないでしょうか? しかし、大きいコップと小さい盃の2杯の酒を利く利き酒職人(先週のコルムナ)が大きいコップの酒の方が飲み甲斐があるからこっちが旨いと訳の分からんこと言うでしょうか?
 個性のある音色かを利くには少し舐めれば十分です。音量ではありません。
 単に音が出ている以上の独特の味のある音。それが個性ある音色です。ますます分かりませんけど、ま、そう言うことです。

2011-01-17

456 猫以下の人間かクレクレタコラ 18-01-2011(火)

 クリスマス終わって現実の山河有り。
 それでなくても人生は山有り谷有り河有りなのに、1月6日に消費経済泥酔クリスマスが終わってふと自らを省みれば、金はないが確かに掌中にあるクレジットカ-ドが現実の多くのスペイン人。
 そのない金さえ使わせ様とクリスマスが終わった翌日から国家総動員体制で雪崩の様な50~70%割引バ-ゲンで儲けはないが金を回して行かなければもはや立ち行かない中小規模商店。それでも首都マドリ-ドにおけるバ-ゲンでの平均消費額は一人約95ユーロ(約11200円)、筆者の地元グラナダで約85ユ-ロ(約10000円)。
 我慢が出来ないスペイン人はクレジットカ-ドでの買物が増えているそうです。
 ところが、新聞記事を良く読めばその理由は、例えカ-ド後払いロ-ンで利子を払ってでも生活レベルを落としたくないから!? この生活レベルを落としたくないからと言うのは日本でも詐欺師が捕まって良く口にする苦し紛れの言い訳じゃないですか?

『欲望の墓』とは何と余韻に富んだことばであろうか。世の真相はこの一語に尽きている。人は欲の化身として存在しているではないか。彼等の終わりはみな『欲望の墓』である。-----或る昔の偉い人 

 飛んで火に入る夏の虫さんも、実は飛んで行けば焼身自殺と分かっているのかも知れませんが、それでも魅力的に映る火を見れば頭から飛んで入りたくなるのがその習性なのでしょう。
 同様に猫に鰹節、金銭物欲礼賛者にクレジットカ-ドだとしたら、目の前にチラつかされると我慢出来ないその共通の習性を差し引いても、まだ猫の方がましな人間ですよね?
 いや、タコかも!? クレクレタコラにクレジットカ-ド持たせちゃマンガです。
 筆者はどんなに安かろうが必要ない物は一切買わないことにしています。資本主義の敵でしょうね!?

430 マヌエル・カ-ノ先生のギタ-吟味(3) 18-01-2011(火)

 日本の利き酒も、スペインで言えばワイン、オリ-ブオイルを利く職人も、そして、ギタ-を見極める故マヌエル・カ-ノ先生も、僅かの試飲でギタ-の良し悪しを見極めていました。利くためにはコップ一杯時間をかけて飲み干す必要はありません。肥えた舌の職人なら一口二口で十分なのはギタ-に限らず楽器も同じことなのでしょう。
 ではマヌエル・カ-ノ先生に限らず耳の肥えたギタリストは弾き始めてすぐ一体何を感じるのでしょう?
 一口二口で酒を利く利き酒職人と同じなら、ほとんど一瞬で良し!!と納得する食感です。舌触りです。耳に心地良い音色です。
 そんなこと言ったって、ギタ-ならどんなギタ-でも弾けば音色位するでしょう? それは一体どんな音色なんですか、先生?
 そりゃあ、味とコクだよ。違うのが分からんのかね? と言われても、利く耳を持ってない我々凡人にはそう簡単には分かりません。
 確かに味とコクが違うだろと言われても、個人の感性ですから所詮ことばにはなりませんが、それでも何とか次回からマヌエル・カ-ノ先生の感性をことばにしてみましょう。
 

2011-01-10

455 伊達直人かクレクレタコラか 11-01-2011(火)

 継続は力なり。これは日本語情報センタ-サイトTopペ-ジに設立当初からデカデカと書いてあります。確かに人生何をやっても続くでなければそれでお終い。力とはなりません。
 例えば、今日本で去年のスペインのサッカ-ワ-ルドカップ優勝凄かったなとか言っている奴がまだいるでしょうか? いないでしょうね。スペインでさえ皆無です!? もう過去のことなのです。どんなどデカイ打ち上げ花火も、続くでなければ連続テレビドラマにはならないのです。
 その点今年早々これこそ時空を越えた継続は力なりじゃないのかと思わされたのがタイガ-マスク&伊達直人のランドセル配布事件。40年前のマンガですから、これはもう時空を超えたと言っていいでしょう。
 このニュ-スを最初に読んで筆者が最初に思い付いたことばが継続は力なりでした。当時は高度成長期をそのまま反映したかの如く元気が良かった日本スポ-ツ界はメキシコオリンピック後ミュンヘンオリンピック前の全盛時代。バレ-は男女とも必ずソ連と決勝を争い、プロ野球は王長島の円熟期。追随する様にアタックナンバ-1巨人の星などスポ根テレビマンガが大ヒットとなったのも時代の流れだったのでしょう。そして、プロレス界は後に袂を別つ20代の故ジャイアント馬場&アントニオ猪木がまだ同じリングで闘う毎週金曜夜8時のゴ-ルデンタイム。その同じ団体に所属するタイガ-マスクの時代背景と設定でした。それてにしてもこんなおじさん(当時はお兄さん)が主題歌(一瞬タイガーマスクと若き日の馬場さんが見える)&副主題歌を歌っていたんですね。上手い。

 継続は力なり。-----或る昔の偉い人

 孤児の伊達直人が覆面レスラ-となってファイトマネ-をみなし子ハウスに寄付するとは日本人好みの浪花節過ぎるかも知れませんが、今回のランドセル事件で伊達直人を知らない世代にまで伊達直人を日本中に広く認知させたことは紛れもなく時空を越えた継続は力なりじゃないのかと筆者は思った次第です。それが40年後なら、なお更そうに違いありません。仮に正体が割れてどこかの金持ちがゲ-ム感覚でやっていたとしても、継続の力の原動力は40年前のタイガ-マスクにあるのですから、それ自体は大した論点ではありません。
 それは取りも直さず、受けたファイトマネ-を与える価値観がこの40年前のテレビマンガの根底にあったからじゃないでしょうか? 与える価値観だからこそ40年の時空を超えて時代と天の摂理が再びヒ-ロ-伊達直人を歴史の最前線に呼び戻したと言えば飛躍し過ぎでしょうか?
 それが証拠に、一体どこの誰が今頃何でも欲しがるだけの価値観クレクレタコラなんか覚えていますか? 筆者は良く見てましたけど。
 人生は究極のところ自己愛か隣人愛か、受けて嬉しいのか与えて嬉しいのか、そして、人生は突き詰めれば伊達直人クレクレタコラか、人はどちらかの価値観に支配されて賞賛か罵声の冠を受けるのです
 今は40年前に比べて同棲に不倫に離婚ラッシュに幼児虐待は目を見張るものがあります。伊達直人タイガ-マスクも知らないクレクレタコラ世代同士が発情期を愛情と間違えた結晶の子供達が一番の被害者です。もしかすると40年後の今こそより多くの伊達直人が必要な時代であり、我々は2011年正月早々甦った伊達直人の正夢を見ているのかも知れません。

429 ギタ-と理学療法士 11-01-2011(火)

 先週理学療法士の男性と話をする機会がありました。ギタ-も弾く人なので、少しためになることを教えてもらいました。
 まず、誰でもいつの間にか無意識の内に右の肩だけ上がってしまったりすることがあります。それは人間の筋肉には自律性(とかそんな医学用語を使っていた)があり、つまり、常に脳からの指令に従うのではなく、勝手に作動する性質も持ち合わせているそうです。
 例えば、筆者はペンを持つとそれだけで右腕に必要以上に力が入るのが分かります。そこで力を抜こう抜こうとする、つまり、脳から右腕に力を抜けと命令が行く筈なのですが、筆者の脳がおかしいのか、腕がおかしいのか、何故か力は上手く抜けてはくれません。
 そこで、この場合腕から力を抜く秘訣は何でしょう、先生? それは腕のこと忘れることだよ!?
 一見無責任な答えの様で、ギタ-を弾く筆者には当を得た答えであることがすぐにピ~ンと来ました。
 アルペジオを弾きながら段々腕が力んで音が小さくなって来た。力むなと脳が命令しても急に力が抜ける訳じゃない・・・。そこで、力まず弾くコツは指のこと一切忘れること。人間忘れた所に力は入らないことになっているのです。それには演奏中指のことは忘れて歌心に興じていること、この曲を如何に歌わせるかに神経を集中すること。そしたら、忘れられた指は力むことなく最小の力で最大の音を奏でていますよ・・・。
 以前確かにギタ-は如何に指で弾かないか、結局最後は指ではなく歌心に帰着することをコルムナしましたね。そんなことを再確認したこの理学療法士さんとの会話でした。

2011-01-03

454 与えて嬉しい謹賀新年 04-01-2011(火)

 新年明けまして大変な一年でしょう。今年も宜しくお願いします。
 こちらは明後日までまだクリスマス。長い。え~加減にして☆~。しかし、明日5日は東方三賢士の日と言って、子供へのプレゼントの日。これが子供だけに終わらず、大人も結構欲しがるのが始末に終えないスペイン人の大の大人。そして、6日最終日は当れば数億円のクリスマスドリ-ムジャンボ宝くじ第2弾。これが終わらなければ、いや、このためにこそクリスマスはあると思っているスペイン人が圧倒的大多数なのはその行いから明らかです。
 早い話が徹底的にキリスト様を利用しまくる一人欲望クリスマス(バレ-の一人時間差から引用)。
 しかし、そこに密かに公然と忍び寄る現実の魔の手(厳密に言えば現実さんは悪くはないのですが)。元旦から早速電気代9.8%値上げ。値上げも情熱的に一気飲みみたいなスペインだったりするのが庶民の正夢なのですから、宝くじに総てを賭けて当らなかった連中には戦意喪失のカウンタ-パンチでしょう。世の中デフレでも、借金財政の市町村は公共料金を上げざるを得ません。もちろん、給料は据え置きかカットで公共予算も軒並みカット。
 リ-マンショックの時は庶民はまだ貯金があったので持ち堪えたが、今度は貯金も大してないと言うのが巷の噂。
 例えば、ちょっと古いですが、先月12月20日の地元新聞の一面は埋葬費も払えない連中は親族の遺体を医学部への検体するのが増えている!? ほどんどブラックユ-モアです。日本じゃウィ-クエンダ-ものでしょうね。

 何が原因であなたがたの間に戦いや争いがあるのでしょう。あなたがたの体の中で戦う欲望が原因ではありませんか。-----或る昔の偉い人

 戦いや争いの代わりに金欠病と置き換えても十分味わえる金言じゃないでしょうか? 回り回って欲望故の、欲しがるからこその世界的不景気に金欠病なのです。
 欲望は人のことは思いません。自分とせいぜい自分の家族のことだけです。
 それが何で悪いんだと言う人もいるでしょう。一生懸命仕事して自らと家族を養うのは当り前です。それ自体悪くも何ともありません。しかし、これに世のため人のためと言う社会的責任感が伴わなければ、それは広い意味で自らの欲望を満たしているだけの話です。
 こんなこと一生やっている奴は利口じゃないですよね。自ら好んで絶え間ない戦いや争いに巻き込まれて巻き込んでいるんですから。
 体の中で戦う欲望とは欲しがることでしょう? だったら、欲しがる価値観から与えて嬉しい価値観に換えりゃあいいだけのことなんですよ。

428 マヌエル・カ-ノ先生のギタ-吟味(2) 04-01-2011(火)

 筆者の師匠故マヌエル・カ-ノ先生のギタ-選択基準と言いますか、弾き始めてせいぜい1分ほどで見極めていた様です。
 まず、どんなギタ-でもこりゃ酷いとか言うことはなく、どんなギタ-でもそれなりの良い評価を口にする先生でした。ただ、それは例えば生徒が持って来た如何にも中堅クラスのギタ-で、弾く前から特別秀でたギタ-ではないことが分かっていた様な場合で、やはり、ギタ-コレクタ-としても有名だったマヌエル・カ-ノ先生の耳は、少し舐めただけで微妙な味の違いも看破する利き酒職人の舌の様に敏感でした。  
 そして、利き酒職人が少し舐めただけで善し!!と相槌を打つ様に、先生もいいギタ-に初めて出会った時の反応は即座でした。利き酒職人が利くためにコップ一杯の酒を時間をかけて全部飲み干す必要はないこと位想像がつきます。同様に、良いギタ-かどうか見極めるのに、熟練者はほんの僅かな時間で十分なのでしょう。
 もちろん、第一印象が良くても、弦楽器ですからフレットによって音量にバラつきがあるとか、そう言ったことは大いにあり得る話ですが、そう言った細部は別として、あくまで初見で良いギタ-かどうか大まかに、しかし、確かに聴き分ける耳のことです。
 それは・・・。