2010-10-25

444 ひたすら飲むツア- 26-10-2010(火)

 国を挙げて深刻な不景気なのはスペインも例外でも何でもないはずですが、筆者の地元グラナダ市は昨年辺りから毎週末物凄い人で溢れています。さすが観光立国スペインの一大観光都市ですが、良く観察してみると、ウィ-クデ-も押しなべてやって来る外人旅行者とは別に、週末は結構スペイン人国内旅行者、特に若い連中が多いことに気付きます。もちろん、グラナダに来たからにはアルハンブラ宮殿には行くのでしょうが、インタ-ネットの普及に伴い、ここ2、3年旅行者の質が変わって来ているそうです。
 早い話が遺跡を観に行こうではなく、週末飲みに行こうツア-が主流だと地元飲食店から聞きました。金土と泊って浴びるほど酒を飲んで帰るだけのためにやって来るのですから、愚かさもここまでやればいい度胸です。確かに泊りですから宿泊施設は売上がありますが、不景気とデフレで随分安く出しています。ところが、連中も不景気で金がある訳ではないので、どのレストランも奥の食堂はガラガラで、入口の立ち飲みのカウンタ-が超満員と言うのが筆者が街を歩いても分かる傾向です。
 その金も無い若い連中はス-パ-で酒を買って、その辺の公園や広場で明け方まで飲み明かして大騒ぎで立ちションにゴミ捨て放題。おまけに飲む量が半端じゃない情熱のスペイン。
 グラナダ市はこれを解消するために何年か前から市の外れに1万人ほど入る野外公共飲み場を設置!? これがネット上で好評で、週末にますます他県からも若者が飲むためだけにグラナダにやって来る好循環。金を使ってくれるから好循環なんだそうです。

 自分の畑を耕す者は食料に飽き足り、虚しい物を追い求める者は貧しさに飽きる。-----或る昔の偉い人

 なるほど、消費者が金を使わないと回って行かないのが資本主義社会。おまけに、昨日の地元新聞によればグラナダ市も2億3900万ユ-ロの赤字財政。1ユ-ロ=約113円ですから、こりゃ大変です。国の将来を担う若者をアルコール漬けにしてでも、とにかく売上を上げていかなきゃいけません。しかも、とっくの昔に喉元過ぎて熱さもモラルも激しく忘れているのは当事者もホテルも飲食店も政治家も同じ穴の狢で一蓮托生。
 一蓮托生にされたんじゃ堪らんと言う奴も捜せばいるのですが、圧倒的大多数の反対なのですから多勢に無勢。
 世の中がどう狂おうが、筆者はただ自分の畑を耕すだけで、虚しい物を追い求める者が貧しさに飽き様が知ったこっちゃないのですが、こんな連中がとても筆者の年金を払ってくれそうにもないのが不公平ですよね。日本もかも知れませんが、スペインも年金はヤバイです。
 何せビ-ルが酔い覚ましの国で、誰も酒と思ってないのですから、やはり年金はヤバイです。警官が休憩中にその辺で制服を来たまま市民の前でビ-ルを飲むのが普通の国。それを見ておかしいと思う市民が誰もいない国!? おかしいのは筆者の方だったりして!?
 しかし、途中経過はともかく、最後に食料に飽き足りるか、貧しさに飽きるかによって人生の成果が明らかになることに国境はないはずです。
 

418 メ-カ-の名前で困惑ギタ-かな:④ラベルとは違う製作所の正真正銘スペインギタ-(4)  26-10-2010(火)

 もし読者が年産14、5本の売れている有名個人ギタ-製作家で、もっと収入が欲しければどうするでしょう?
 或いは、もし読者が年産14、5本の売れていない無名個人ギタ-製作家で、収入を何とかしなければいけないならどうするでしょう?
 確かに、年産14、5本なら安くは出せません。と言って、消費者に金もギターについての知識も無ければ高価な手工ギタ-など買いはしません。スペイン人個人ギタ-製作家の手工ギタ-は日本では最低100万円しますし、スペイン国内でも安くはありません。
 それじゃあ、もっと下のランクのギタ-をと言うことになります。自分では作りません。その辺のギタ-製作工場から仕入れて自分とこのラベルを貼って売ります。客に訊かれない限りまず自らは何も言わないでしょう、スペインでは。客に訊かれれば実は量産品だと正直に言う製作家はまだいます。そして、よく見ると自らのラベルの隅に直筆でArreglada por~(~によって仕上げられた)と書く製作家は筆者の地元グラナダではまだいますので、まだましかも知れません。そのまま仕入れて来たものを売っている訳じゃなく、フレットやブリッジ、ナットなどの最終調整はこの私がした量産ギタ-ですよと言う意味のこの手のラベルです。
 もっとも、客が少しギターを知っているなら、この小売価格じゃ本人が作ってないな、量産品を仕入れて自分のラベルを貼っているな、とバレバレなのですが、以上は取り扱い本数の少ない個人製作家の工房兼店の場合です。大勢に影響はないと言えます。
 問題は手広くやっている有名製作家の名前を冠するギタ-メ-カ-が大量に他のスペイン国内の他の製作所に丸投げしている、ラベルだけ本物の中堅量産ギタ-の場合です。
 

2010-10-19

443 ここまでやるか女強盗!? 19-10-2010(火)

 昔筆者が日本に居た頃女ねずみ小僧なんちゅうのがありました。今こんな映像が地球の裏側で見れるのですから時代です。時代劇とはミスマッチな歌謡曲みたいなこの主題歌にも聞き覚えがありますね。まだスペインに行く前の大学生時分、深夜の再放送で見ていた記憶がありますから32、3年振りです。
 さて、女ねずみ小僧なら義賊ですが、今週はただ単に悪党の女泥棒のお話。ただし、スペインの警察さえその手口に驚いたスペインの犯罪史上に名を残す悪党。しかも、先週筆者の地元グラナダ市で宝石店に押し入って現行犯でお縄。
 日本でも先日どこかのコンビニに覆面をした婆さんが包丁を持って押し入って捕まったそうですから、これだけなら驚きませんが、手口は何と100万ボルトの高電圧スタンガンで容赦なく被害者を殴り付け気絶させて盗んで逃げる!? 一般的なスタンガンが50万ボルト以下らしいのでこれは利きそうです。しかも、犯人は25歳の女!? ここのイラストを見た方が早いでしょう。 
 しかも、盗みの前科もあり、おまけに仮釈放中。この国の刑法も気合が入ってない様ですね。

 利口な者は災いを見てこれを避け、わきまえのない者は進んで罰を受ける。-----或る昔の偉い人

 災いを見て、これ幸いに進んで罰を受けるわきまえのない者。
 利口な者には利口な者なりの悟りの境地があるのでしょうが、わきまえのない者はわきまえのない者なりの悟りの境地があるのでしょう・・・ね?
 確かに人間とは貴賎富貴を問わず、皆多かれ少なかれ己を知らない罪深い存在であることには違いありませんが、もしその己を知らない範疇の中でも線引きが出来るとすれば、それは災いを見て利口にこれを避けるか、災いを見てわきまえなく進んで罰を受ける違いかも知れません。

417 メ-カ-の名前で困惑ギタ-かな:④ラベルとは違う製作所の正真正銘スペインギタ-(3) 19-10-2010(火)

 その辺のスペイン国内のギタ-工場に丸投げしているだけの話なら(先週のコルムナ)、製作はスペイン国内なのですから、確かに正真正銘スペインギタ-です。コルムナ413まで散々見て来た中国製スペインギタ-ではありません。ラベルの名前の有名スペインギタ-メ-カ-の製作ではなく、これらの日本でも有名なスペインギタ-メ-カ-が他のスペイン国内のギタ-工場に100%丸投げしているだけの話なのです。日本での販売価格およそ15~100万円であろう有名スペインギタ-メ-カ-のスペインギタ-のことです。
 整理しますと、コルムナ413まで散々見て来た同じ有名スペインギタ-メ-カ-の安いモデル(日本での販売価格およそ15万円以下)はラベル以外100%中国製。そして、今回コルムナしているそれ以上のモデル(日本での販売価格およそ15~100万円)はスペイン国内の他のギタ-工場に丸投げしているだけのこと。自社製はラベルだけ。これが実態です。
 個人製作家なら生産台数は年産14、5本ですから、それ以上のギタ-はこう言う仕組みだろうなと言うことは読者も容易に想像が付くはずですよね。こうしなければ注文が捌けない、ギタ-産業として成り立たないと言うのが正直なところでしょう。
 中には仰々しくラベルの名前の製作家のサインがあるラベルが貼ってあるかも知れませんが、本人製作の年産14、5本以外のギタ-は本人の製作ではありません。
 

2010-10-11

442 戦慄のタイムマシ-ン 12-10-2010(火)

 話したことなんかなかったけど、昔近所に住んでいた同い年位の女性と先週街ですれ違いました。ほとんど20年振りじゃなかったかと思います。
 今週はコルムナ210と大体同じテ-マで同じ内容になりますが、違いがあるとすれば前回の女性には哀れさえ感じましたが、先週のこの女性には余りの変わり様に思わず戦慄しか覚えなかったことでしょうか。
 20年振りとは言え、タイムマシーンが間違って40年振りの未来で遭ってしまったのではないかと思えるほどの深いシワの婆さん顔。筆者も良く注意して見なければ分からなかったであろうほどの別人振りでした。
 20年前当時は美人でスタイルがいいなあとしか思いませんでしたが、歳を取って太って来ると、せっかくの長い脚も長くは見えなくなるから不思議なのが西洋人一般かも知れません。
 もっとも、筆者と同い年のスペイン人なら、おじさんもおばさんも既に完全に初老の面持ちで、おじさんは禿げてかなりおなかを出し、おばさんは禿げずにかなりおなかを出しているのが一般的な外見です。この女性は今回そこまで太ってはいませんでしたが、顔の肌の色艶がないどころかガサガサで深いシワ。日本人なら大病でも患ったのかと近所の噂に上ること間違いなしと思えるほどの病的な老け振りでした。
 スペインなら薬やってんじゃないかと近所の噂に上ること間違いなしの病的な老け振りだったりするかも知れません。

 力の限り見張って貴方の心を見守れ。命の泉はここから湧く。-----或る昔の偉い人

 確かに、カトリ-ヌ・ドヌ-ブでさえそうなのですから、ただ単に婆々っちくなるのが人様より少し早かっただけのことなのでしょうが、願わくば戦慄より、せめて哀れを醸し出して欲しかったですね。ああ無情・・・。
 しかし、やはり人は外見より内側、どんなに美しく咲いても、いつかは散って行く花より、花が散った後の実こそその人の人生です。
 その秘訣は外見ではなく心を見守ること。老け行く顔を鏡の前で力の限り見張って見守っても、顔から命の泉は湧きゃしません。何~がイケ面じゃ!!

416 メ-カ-の名前で困惑ギタ-かな:④ラベルとは違う製作所の正真正銘スペインギタ-(2)  12-10-2010(火)

 コルムナ414の続きです。ラベルがスペインのギタ-メ-カ-で、日本でスペインギタ-として販売されているギタ-のことです。
 100万円以上は手工ギタ-(有名メ-カ-ラベルなら箔付けされた量産品の可能性大いにあり)&15万円以下は中国製スペインギタ-。ここまでが一応先々週までの結論でしたね。
 それでは、日本市場の空白の15万円以上~100万円以下のスペインギタ-の出所は一体どこなのかをメ-カ-の名前で困惑ギタ-かな④と題してしばらくコルムナして行きましょう。
 まず、手工ギター(同379&380)ではないのですから量産ギタ-(同369~)であることは明らかです。そして、中国製スペインギタ-でないならばスペイン製スペインギタ-であることも明らかです。
 それでは、生産地が中国ではなくスペイン国内で作られる手工ギタ-ではないのですから、消去法で正真正銘スペイン製量産ギタ-と言う結論に至ります。
 筆者の皆さん、近年買ったスペインギターが15万円以上~100万円以下なら、どんなに有名スペインギタ-メ-カ-のラベルでもそのラベルの名前の製作家の作品じゃない可能性は極めて高いと思っても損はしません。
 その辺のスペイン国内のギタ-工場に丸投げしているだけの話です。

2010-10-04

441 ゼネスト? 何それ? 05-10-2010(火)

 先日9月29日はスペイン全国ゼネスト。理由はギリシャと同じです。
 おかげで飛行機列車バスはほとんど動かず、言葉の分からない外人旅行者が一番割を食ったのではないかと思います。アルハンブラ宮殿も公務員のストで開かず。
 困った日本人旅行者が日本語情報センタ-にやって来ましたが、皆ゼネストだったことを知らない人が多かったですね。しかも、今回一番筆者の印象に残ったのが、日本人の若者達はゼネストなる単語を知らなかったこと!? 筆者の方がたまげました。もしかしたらワ-プロ、トランシ-バ-、ラジカセ、ラムネ(アグネスラムネなんちゅうのもあった!?)、底抜け脱線ゲ-ムなんかも今の日本の青少年の間ではもはや死語なんでしょうかね?
 そのゼネスト。理由は6月から公務員の給与5%カット。7月から消費税値上げ。今月から電気水道値上げ。公共事業の多くは工期が遅れ(と言うか金が無いので無期延期!?)、社会福祉関係も大幅予算カットにあれやこれやと芋蔓式で失業者が急増。

 人が変わらなければ社会は変わらない。-----或る昔の偉い人

 ギリシャみたいに公に国がポシャッてない内からこれです。もっとも公にポシャらないためのあれこれ増税に引き締めなのですが、今後ゼネストとは行かないまでも、色んな業界の部分ストなどかなり多くなるでしょう。
 ついでに今年スペイン全国で多くなって来ているのが保険金詐欺だそうです。どうもラテン民族はどんなに切羽詰ろうが働くと言う思考回路が無い連中がかなりの数に上ります。勝手に空き巣や窃盗被害を自作自演して警察が被害届けを受理すれば保険金がもらえる、といとも簡単に思い付く奴等が今後も後を絶つことはないでしょう。自作自演がお家芸でロクな奴がいないのは北朝鮮だけじゃない様です。
 おまけに昨日の新聞によればこの1年間地元グラナダ市内で盗まれたケ-ブルは約40キロ。40Kgではなく40Kmです。金が無いので、その辺の電話線盗んでくず鉄屋に売り飛ばす!? バカボンのパパでも思い付かない様なことがスペインでは起こります。買う方も買う方だ。もっと手っ取り早いのはマンホ-ルの鉄のふたですが・・・。筆者は予言者ではありませんが、当りそうな気がする情熱のスペイン。
 日本もかも知れませんが、こんな様子では筆者はスペインで年金がもらえるかマジで心配になって来ました。今現在こんなんで一体15年後どこから年金が出るのか? ましてや今の若者の多くはアル中に薬中。とても働いて他人の年金を払ってくれそうな顔はしていません。
 本当に世の中良くなってくれればいいと努力している政治家、そして、中にはまともな労働組合員もいるのかも知れませんが、ゼネストで一日国を止めて気勢を上げたところで何も変わりゃしません。
 社会はその構成員である人の人となりの如く変わって行く。ただそれだけのことです。

415 マヌエル・カ-ノ先生没後20周年記念コンサ-ト 05-10-2010(火)

今週は一息入れて、去る9月10日行われたマヌエル・カ-ノ先生没後20周年記念コンサ-トの話題です。
 場所は先生のお宅の近くのパラシオ・デ・キンタ・アレグレ宮殿
 こんな場所があったとは筆者も知りませんでした。昨年からこの地区の集会所に先生の名前が付き、先生のことを知らない新しい世代も珍しくなくなったので、改めて先生の偉業を地元住民に再認識してもらう意味合いもこのコンサ-トにはあった様です。
 80半ばの奥さんが名前だけの名誉会長。ソリストはもちろん息子のホセ・マヌエル・カ-ノ。市長さんも祝辞を述べる一大イベントとなりました。
 筆者は両者に師事しました。こうして聞いてみるとさすがにマヌエル・カ-ノ先生はアルペジオ(分散和音)の名手。速度が増しても音量が落ちません。しかもこれはソ連時代のサン・ぺテスブルグでのコンサ-トの模様をスペイン国営テレビTVEで放映したものを誰かがUpした様です。軽く30年以上前のものではないでしょうか? 筆者が先生と太刀打ち出来るのは大きな頭位です。
 これもまた凄いですね。先生の曲の中で筆者の一番好きなソレア(ソレアレス)です。髪の毛もたっぷりあるし、かなり若い時の映像でしょう。
 息子は本当はモデルノ(モダンフラメンコ)もこなしますが、どうしても親父の名前がありますので、ご覧の様にやや古臭いスタイルになります。
 親子共に楽譜は読めません。クラシックギタ-を弾く読者の皆さん、驚くことはありません。皆さんも日本語の文法は知らないのに日本語はペラペラでしょう? 英語は英語で理解するのが理想だとすれば日本語も、そして、ギタ-はギタ-で理解する!? いや~、やはり、最後は才能ですね。