2010-03-18

スペイン週間コルムナ&スペインギタ-週間コルムナ:2週間お休みのお知らせ

筆者帰国につき、3/233/30のスペイン週間コルムナスペインギタ-週間コルムナはお休みとさせていただきます。4/6分より再開します。

2010-03-15

414 クセは直らん 16-03-2010(火)

 実は筆者は前回日本から帰ってから2年半の間ずっと坊主にして来た。髪の活力が戻ればいいかなと思ったのだが、もう一つ、いっそのこと坊主にして髪の分け目を左から右にして心機一転を計りたいこともあった。
 実は従来の左の髪の分け目が若干危うくなって来たので、右にしようと思いついたのは何年も前の話。その時無理矢理右の分け目に変えてみたが、すぐ乱れて元に戻ろうとするクセが付いていたので上手くいかなかった経験がある。そこで、いっそのこと坊主にしてゼロから出直そうと思い付いたのが3年前。それ以来2年半の間、散髪に行く度に一分刈りにして、昨年秋からまた伸ばすつもりでボサボサにして来たが、先日やっと半年振りに床屋に行った。
 ところが、驚いたことに、それでも髪の分け目が右ではしっくり来ない。良く見ると髪の付け根から既に分け目左時代の方向に傾いてしまっている。こりゃアカンと思わざるを得なかった。

 若者をその行く道にふさわしく教育せよ。そうすれば、年老いてもそれから離れない。-----或る昔の偉い人

 何年か前、ラジオのある討論会で〝この木は根元から歪んでいるから矯正は出来ない〟とある庭師の言ったことが捻くれた子供との引き合いに出されたことを思い出しました。
 高一の頃からの筆者の髪の分け目ですら矯正不可能なのですから、三つ子の歪んだ魂ならなお更だと、今回妙な納得をさせられました。
 三つ子以降の躾や教育はある意味総て付け焼きなのかも知れません。

388 メ-カ-の名前で困惑ギタ-かな:②影武者ギタ-の場合(8) 16-03-2010(火)

 百聞は論より証拠。今週は影武者になりかけたが、勇気を持って悪魔に魂を売らなかったスペイン人ギタ-製作家の生々しい生の声をお届けしましょう。
 筆者の知り合いのマドリ-ド出身の若い無名製作家マリオ・フェルナンデスが以前マドリ-ドの、日本でも有名な○○・ラミレ○ギタ-工房に履歴書を送ったところ、忘れた頃に面接に呼ばれたそうです。
 確かに全世界的に名の通ったギタ-メ-カ-です。日本でも有名です。
 そう言う筆者も○○・ラミレ○の1932&1960年の骨董品を持っています。この時代のものですから製作者本人の作品ですが、今は!?
 これが最近のコルムナのテ-マであることを読者の皆さん、今一度再認識して下さい。続けましょう。
 さて、本人は仕事があればそれでいい位の軽い気持ちで赴いたところ・・・。仕事はもちろんギタ-製作ですが、自分のラベルは一切貼れず、○○・ラミレ○の名前でギタ-を作ること。しかも、プライベ-トでさえ自らの名前のラベルのギタ-は一切作ってはならない!?

2010-03-08

413 モロッコはモロッコ 09-03-2010(火)

 一昨日7日、観光立国スペインのドル箱アルハンブラ宮殿が臨時休館となった。名付けてEUモロッコ首脳会議が貸切。確かにモロッコ人の先祖が建てたアルハンブラ宮殿がその舞台に相応しいのは分かるが、既に入っていた予約は一方的にキャンセル。日本語情報センタ-にやって来た日本人旅行者の中にも予約しながら観ずに帰った人がいたが、当局はお構いなし。 
 そこまでして一体EUが寄ってタカってモロッコ一国に何の吊るし上げかと思うところだが、まずはやはり金の話。
 EUの大企業に隣国(スペインにとってはだが)モロッコに投資を促す談話が続く。サパテロ首相に拠ればスペインの経済危機脱却はもうすぐだからだそうだが、同じ日の新聞記事には大手銀行上層部のまだまだ底は突いていないとのコメント。こっちの方が信憑性がありそうだ。
 ついでにモロッコ国内の民主化の要望。EUと付き合いたければもっとましな政治形態にしろと言うことらしい。今でも貧困に喘ぐモロッコ人が原付ボ-トでスペインの地中海岸に仕事を求めて乗り付ける。北朝鮮よりはましだろうが、これだけでもどう言う国か読者も想像が付くだろう。
 一方議題に上らなかったのがモロッコの西サハラ問題。筆者が学生時分までは世界地図のモロッコの左横にスペイン領サハラなる植民地があった。独裁フランコ将軍の死でどさくさに紛れてモロッコがスペイン軍を追い出して以来モロッコ領なのだが、実はサハラ族と言ってモロッコ人とは民族が違い、今に至るまでモロッコ政府から差別政策を受けている。今回腫れ物には触れない会議ではあったが、地元グラナダに住んで(亡命して!?)いるサハラ系モロッコ人が市内をデモ。
 もう一つのデモはスペインの農業従事者。スペインはモロッコから大量の農産物を買っている。25年位前まではスペインの安い農産物を積んだトラックがフランス国境を越えるとフランスの農民が待ち伏せにして襲撃していたが、時代は流れて同じ図式がスペインとモロッコにも出来上がってしまっている。しかし、こうしなければモロッコもまた自国沖合いの世界有数の優良(有料)漁場で操業するライセンスをスペインの漁船に与えはしない。漁業のために農業を交換カ-ドにするつもりか、この野郎と言う訳だ。気持ちは分かる。
 これは一例だが、ある分野の問題がそこだけで済む問題ではないところが国際政治問題だろう。北方領土も同じかも知れない。

 人に思慮があれば怒りを遅くする。その人の光栄はそむきを赦すことである。-----或る昔の偉い人

 筆者の予想では今後EU+北アフリカの地中海共同体とでも言うべき経済ブロックが出来上がるはずです、遅かれ早かれ。
 マグレブ諸国(北アフリカ)自体はEUにとって旧植民地の取るに足らない弱小国ばかりですが、イスラム国家ですから頭に血が上ると何をしでかすか分からないのでなだめる必要があります。なだめるには金が一番。また、第二次大戦後これらの旧植民地から移民が相次ぎ、今では孫の世代。もちろん、ドイツ人、フランス人、イタリア人、スペイン人ですがイスラム教徒。なだめなければ獅子身中のテロリストになるかも。なだめなければ街でアルカエダにスカウトされて、いつの間にかアフガニスタンやイエメンで工作員の特殊訓練を受けていた例もあります。だからこそ地中海経済共同体で丸め込む必要があります。こう言うのを政治家は政治的思慮とでも言うのでしょう。
 人に思慮があれば当然怒りを遅くするのでしょうが、また、人に思慮があれば植民地支配も3K嫌い(故に移民がやって来る)もサハラ族抑圧も無かったはずです。
 誰でもどこの国でも思慮の無さを美辞麗句で上塗りすれば必ず歪みが来ます。政治家の美辞麗句の馴れ合いの協定ならなお更。しかし、そむきを赦すことこそが人の光栄だとすれば、これこそ真の思慮かも知れません。
 日本もスペインも思慮無く怒りをぶちまけたために起こる事件が後を絶たないとすれば、残念ながらこのことは反面教師で証明されていると言わざるを得ません。 

387 メ-カ-の名前で困惑ギタ-かな:②影武者ギタ-の場合(7) 09-03-2010(火)

 良く言えば、確かに量産ギタ-ではなく、職人の作るれっきとした手工ギタ-なのですが、そのギタ-内部のラベルの製作家の名前と実際作るその職人さんの名前が全然違う!? この意味不明ですが、より利潤を追求するための単純明快な構図を影武者ギタ-と言います。
 もっとも、無名の製作家がこれをやったところで無意味です。名の売れた歴史的名工の名前のメ-カ-(ややこしい表現ですが、元がややこしいから仕方がない!?)に限ります。正にこのところのコルムナのタイトル通り〝メ-カ-の名前で困惑ギタ-かな〟なのです。
 さて、ごちゃごちゃ言うより、来週は影武者さんの生の声をお届けしましょう。

2010-03-01

412 燃え尽きて予選落ち 02-03-2010(火)

 やはりと言うか、スペインではさっぱり盛り上がらなかったバンク-バ-冬季オリンピック。元々ウインタ-スポ-ツが脚光を浴びないお国柄でもあり、今回冬季オリンピックが開催されていること自体知らないスペイン人も相当いるだろうなと思わざるを得ないほどの報道の僅少さだ。過去総ての大会で銅メダル僅か2個、今回もメダル候補がゼロではこれも致し方ないが、国内にスキ-場がない訳ではない。フランス国境のピレネ-山脈、そして、筆者の地元、グラナダ市郊外車で30分のシエラ・ネバ-ダ山脈
 この麓の町出身のリエンダ選手は4年前の前回オリンピックでは有力メダル候補として注目されたが力を出し切れず6位。それから大きな膝の怪我2回に手術2回。今回が最後のオリンピックとなった。何と計5回出場。国内で大したライバルがいなかったこともあるが、これは凄い記録だ。
 この動画は負傷前の全盛期2005年の世界ランキング3位の頃のもの。こうして見るとスキ-競技に興味の無い筆者でも凄い迫力が伝わって来る。あれで転倒せずコントロ-ルしながらあのスピ-ドだから、かなりの脚力だろう。蹴られたらかなり利きそうだが、万が一転倒すれば死んでも不思議は無い加速度だ。
 今回は本人自身が怪我と手術で絶好調には程遠いとインタビュ-に答えるほどコンディションは悪かったらしく、あっさり予選落ち。直後今後は後進に譲ると発表。事実上の引退宣言。

 人が若い時にくびきを負うのは良い。-----或る昔の偉い人

 1975年生まれのリエンダ選手は9歳の時初めて両親にスキ-を買ってもらい、14歳でスキ-選手を志したと言います。そして、僅か19歳で1994年ワ-ルドカップ初出場。もちろん、常人にはない生まれ持った体力才能運動神経があったことは確かでしょうが、不断の努力があったこともまた事実です。
 リエンダ選手は14歳で自ら負うことを決めたそのくびきを今回自ら降ろすことを決断したとも言えるでしょう。
 これはいわゆる日本語の諺で言う“若い時の苦労は買ってでもしろ”と言う意味のくびきに近いですが、今の日本やスペインの青少年を見ているとくびきなんかとんでもないと言う連中が多過ぎます。可愛い我が子にくびきなんかとんでもないと心からそう思っているバカな親もです。
 ではどうすれば我々は結果的に我々自身や青少年に有益なくびきを課すことが出来るでしょう?
 誰でも課されて強いられて嬉しい奴はいません。ましてや、くびきならなお更。しかし、誰でも目的とそれを推進する意志とがあれば、人は皆強いられることなく自らが自らにくびきを課すものではないでしょうか?

386 メ-カ-の名前で困惑ギタ-かな:②影武者ギタ-の場合(6) 02-03-2010(火)

 しかし、聴けば聴くほどいい歌ですね(先々週のコルムナ)。影武者ギタ-の引き合いに出すには恐れ多いかも(先週のコルムナ)。続けましょう。

 各部分を弟子に用意させ、それを師匠本人が組み立てるならまだ話は分かりますし、多くの歴史的名工達もおそらくそうして来たことでしょう。また、そんなことを一々購入者に言う製作家もいないでしょうが、仮にそう言われてもこの程度なら納得出来ます。しかし、問題は本人作年産14、5本の手工ギタ-どころか、100%他人の作品で本物はラベルとサインだけの有名製作家ラベルのスペイン製手工ギタ-が多数存在すると言う現実です。
 確かに、工場製の量産ギタ-を仕入れて、自らのラベルを貼って大衆ギタ-として販売することは昔から有名製作家の工房でもされて来たことです。例えば筆者は相当古いホセ・ラミレスラベルのくるみギタ-を持っていますが、その雑な造りやヘッドの形からして当時の量産ギタ-であることは間違いありません。この様に比較的安価なギタ-なら話は分かりますが、相当高いギタ-まで全く他人任せとなると・・・。これこそ影武者ギターの定義とも言えます。