それは知る人ぞ知る、近代スペインギタ-の開祖アントニオ・デ・ト-レスの小振りのギタ-でした(先週のコルムナ)。
本体はシコモ-ロ材。かえでの親戚のこの木は現在でも安い木材です。しかも、ギタ-全体節目だらけ。何せ1世紀以上前の話。生前のカ-ノ先生に拠れば、当時は木材の流通が現在ほどなかった時代だったので、ト-レスも現在個人製作家なら絶対使わない様な質の良くない木材でギタ-を作る以外手はなかったそうです。裏板が3枚寄せと言うのも、大きめの材料がなかったのでその辺にあった小さめの余った木を継ぎ足したとのこと。別に皆が2枚寄せにするから3枚寄せにしてみ様と言う奇抜な発想でも何でもなかったと言うのが真相です。
要するにどうでもいい木の、更に節目だらけの最低最悪の木材で作ったこのギタ-こそ弘井俊雄先生に拠ればカ-ノ先生のコレクションの中で最高のギタ-だったと言う訳です。
これ一本で十分背理法が成立して余りありますね(同359)。
歴史的名工の作とは言え、少なくとも悪い素材から必ずしも悪いギタ-が生まれる訳ではないことが十分証明されています。
2009-09-07
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