2008-07-28

303 アルペジオにおける右手各指の独立性:補足(2) 29-07-2008(火)

 故マヌエル・カ-ノ先生の教えを参考にもう少しアルペジオを考えてみましょう。
 師曰く『最後をしっかり締める』こと。これはある楽曲中のスケ-ルについて、つまり、そのスケ-ルの最後を曖昧にせず、しっかり弾き切る様にとのアドバイスでしたが、筆者はその後これを拡大解釈してありとあらゆる場合に適応することにしています。そうすると意外と上手く行くことが多いのです。
 アルペジオもそうです。pimの3連アルペジオなら最後のm、pimaの4連アルペジオなら最後のa、pimamiの6連アルペジオなら最後のiに注意を払って丁寧にアルペジオ全体を締めます。そうするとアルペジオ全体が締まった感じになります。やってみて下さい。
 昔どこかのギタ-雑誌で有名クラシックギタリストがトレモロ(pami)は最後のiを丁寧に弾くと上手く行くと書いていましたので、これは大いに通じる面があります。
 もちろん、pを力まず打ち込んで、imaはその勢いに乗せてしまうこと、そして、それが単に肉体的な指の技ではなく、歌心の成せる技であるなら、その時更にpima各指の独立性が養われていることは言うまでもありません。
 アルペジオの名手は皆各指に独立性があるからあそこまで各指が動くのです。それは指の肉体的な鍛錬の賜物ではなく、ある意味指の力を抜いた結果だと言う逆説の真理を今までコルムナして来ました(コルムナ276~)。中々抽象的で掴み難い真理かも知れませんが、指は鍛えないで歌心に乗せて煽てて勝手に動いてもらいましょう。この指が勝手に動くことこそ正に文字通り指の独立性の最適な説明かも知れません。

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