2009-12-14

401 薬中は獄中か獄中の薬中か 15-12-2009(火)

 グラナダ市郊外にアルボロテ(Albolote)と言う名の町がある。町自体は普通の町だが、スペインの他の地域の大物犯人もぶち込まれる大きな刑務所があるので、全国のスペイン人に聞き覚えのある町名だ。
 そこで一昨日ある収容犯が急性麻薬中毒で死んだ。御用になる前の後遺症ではなく、その日刑務所内で吸った薬の量が多過ぎたらしい!?
 読者は一体何のことか想像が付くだろうか? 筆者は容易に想像が付く。
 もう、ちょうど25年前の話になるが、以前はグラナダ市内にあった監獄に友人の知り合いの面会に随いて行った。今思えば若き日の貴重な体験だった。
 刑事ドラマで見る様なガラス越しの面会なのだが、それが確か3連で仕切りが無く、つまり、横の面会者が丸見えで丸聞こえ。
 そして、筆者と友人は左端のガラス、右隣が誰も居なくて、右端でもう一人面会している若い奴がいた。そいつは何とガラスの隙間から紙に薄く折りたたんだ薬の差し入れ!? 隙間と言うか結構な隙間だったのを良く覚えている。筆者と友人も入る際何の持ち物検査も無かったとは言え、獄中に薬の差し入れだけで驚いている様では読者もまだまだ人間の器が小さい。本番はこれからだ。
 何とその後ろで警官二人が立ち話!? しかも、麻薬差し入れ現行犯との距離僅か3m!? 天才バカボンの本官さんでもここまではやるまい。スペインの本官さんは公務員気分なのだ(コルムナ284)。
 つまり、この伝統が四半世紀後も生きていたとは、さすが情熱のスペイン。もちろん、一体どうやって麻薬が受刑者まで届いたかなどマスコミの話題にさえ上らないだろうし、責任者が薬中のせいで辞職するなど、そんな不条理は世論が許さない!?

 私はあなたがたが善には聡く、悪には疎くあって欲しいと望んでいます。-----或る昔の偉い人

 こうしてみると、今日の麻薬の氾濫は売人とそれに引っ掛かる当事者だけがアホだと言うのではなく、社会全体のバカさ加減から必然的に生まれた必然の実だとも言えます。そして、日本も日本人全体の善が激しく地盤沈下するに従って、そのバカさ加減が激しくレベルアップして来ているところに美しい日本が決して実現出来ない元凶があります。
 日本は日本の政治ではなく日本人次第です。しかし、それは善に聡くさえあれば自動的に悪には疎くなる意外と簡単な図式かも知れません。
  

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