2009-02-16

332 良い単板ギタ-は量産か手工か(1) 17-02-2009(火)

 量産ギタ-も手工ギタ-もよくよく注意して見ない限り目に見える木工として特別な違いは今日ないとも言えます。いえ、むしろ、木工としての出来なら日本製量産ギタ-の方がスペイン製手工ギタ-に勝るとも言えます。
 半年前に亡くなりましたが、グラナダ出身のAntonio Ariza(アントニオ・アリサ)と言う製作家がいました。日本でも『あのいい加減さが堪らない』と言う隠れファンがいた様です。目が悪かったこともありますが、フレットの溝をのこぎりでギコっと5mmも間違え放ったらかし(量産工場では総て機械で溝を掘りフレットを打つ)、ナットやブリッジの溝は隙間だらけで反対側が透けて見え、サウンドホ-ルのモザイクもガタガタ・・・。筆者は、もう20年以上前になりますが、このおじさんの工房の前でアルハンブラ宮殿に向かう旅行者相手にフラメンコと闘牛のポスタ-のテキ屋を2年間やっていました。たまに、ギタ-の客を回したりして楽しい時間を過ごしたものですが、おじさんは何と、客が若い女性なら必ずプロポ-ズしていました。半分冗談でしたが、半分本気でもありました。
 ギタ-の出来映えも性格丸出しで、結構当たり外れがありましたが、これがまた楽しみでもありました。因みにうちにはありませんが、日本のある所におじさんの、音は極上で見た目は量産ギタ-以下のギタ-が2本あります。ご希望の方はお尋ね下さい。
 それに引き換え、さすが几帳面な日本人は量産ギタ-に至るまで几帳面な出来です。
 しかし、この〝出来〟とは日本人にとって木工と言う面がかなりの比重の様です。それも結構でしょうが、楽器の出来とは主として〝音〟であること、良いギタ-の定義も木工より音であることを念頭において更に良いギタ-についてコルムナして行きましょう。

0 件のコメント: