筆者がほぼ毎日朝食を取る何の変哲もないBar(コルムナ318)。先日もいつもの様にスタンドでコーヒーとトーストの一番安いコースを食べていると、近くで飲食店を営むご近所が『やられた~』とか言いながら入って来た。昨夜泥棒に入られて、レジ丸ごと持って行かれたそうである。
大不況下の中、こんなことは今日スペインでは普通の悪事なので筆者は大して驚かなかったが、カウンタ-の中に居た30年来のマスタ-の返すことばに、久々にスペインを満喫した。
閉店の際、レジには小銭だけ入れといて、一晩中開けっ放しにしときゃあ、泥棒も諦めて持って行きゃあせんし、レジを壊されることもない。
な、な~るほど。見事に泥棒の心理の逆を突いた活きた生活の知恵だ。来月でスペイン来訪30年の筆者もここまでは読めなかった。まだまだ甘い。
我も黄金(こがね)の釘一つ打つ。-----或る昔の偉い人
古くからの読者はご存知かも知れませんが、2004年は逆転の発想をテ-マにコルムナを書きました(コルムナ91~)。筆者は当時も5年後の今も人間とは基本的に身勝手な存在だから、身勝手な世の流れの逆を突けば大体人生正解だと確信を持っています。確かにそうですが、やはり経験者の一歩踏み込んだ逆転の発想の説得力には参りました。上には上がいるものです。
もっとも、それもこれもスペイン社会に悪が蔓延しているからこそのそれなりの生活の知恵です。そう言えば、スペインの街を歩くと分かりますが、一軒家やアパ-トの一、二階の窓が鉄格子入りで、日本人の目を惹くかなり頑丈な作りなのは昔から泥棒が多いからです。
それなりの生活の知恵は大いに結構ですが、それが負の要素に起因しているなら、何か肝心なことが丸っきり欠けている様な気がしますね。
もう少しまともなことで黄金の釘一つ打ちたいものです。そうでなければ世の中まともにはなりません。
2009-04-14
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