2007-11-19

268 右手各指の独立性はアポヤンドでスタッカ-トで歌心 20-11-2007(火)

 そう言われてみれば(先週のコルムナ)、スケ-ルをスタッカ-ト気味に弾けば、当たり前のことですが、そう弾かないよりはimが際立って来ます。つまり、imの独立性が際立ち、演奏全体も締まった感じがします。また、いつもスタッカ-ト気味に弾いて、いざ普通に弾けと言われれば弾けるでしょうが、逆なら難しいのではないでしょうか? いつも“気を付け~!!”状態で、たまに“休め”と言われて休むより、いつもだらだら“休め”ばかりで、急に思い出した様に“気を付け~!!”と言われても、中々気合が入らないのと似た様なものかも知れません。
 この時腕や手の軸がぶれては何にもならないと先週書きましたが、更に詳しく言えば、それは腕や手の軸がぶれず、それと同時にimのアポヤンドならimだけ動いていればいいと言うことでもあります。“imだけ”とはimの独立性、そして、“imだけ動いていればいい”とは、同時に腕や手の軸がぶれてグラついていれば出来ない芸当でもあります。
 ただ、アルアイレの方が弾き易いと言う読者もいるかも知れません。アポヤンドの場合、どうしても指先が弦に当たった時の衝撃がアルアイレより大きく、手や腕が動揺し易いからです。これは誰でもそうでしょう。そして、一度この様にアポヤンドの衝撃で腕や手の軸がぶれれば、それ以降のimは更に不安定になり、独立性どころではなくなります。足腰がグラついているバッタ-がいくらバットの真っ芯でボ-ルを捕らえても、せいぜい球足の鈍いシングルヒットにしかならないのと同じです。こうなるとバットの真っ芯と言う弦を爪弾く理想的な指先の位置や角度や当て方と言う目先や指先の問題ではなく、足腰のグラつきが諸悪の根源と言えます。
 そして、スケ-ルやアポヤンドに限らず、この足腰のグラつき、腕や手の軸のぶれと言う諸悪の根源に起因する連鎖反応の悪循環を断ち切れば得られるのが各指の独立性でもあります。その方法の一つがスタッカ-ト気味アポヤンドだと言っても宜しいでしょう。ただし、単なる音階ではなく、実曲の中からスケ-ルを抜き出してスタッカ-ト気味アポヤンドで弾く方が遥かに独立性が養えます。ハ長調やイ短調の音階を繰り返したところでそこに歌心など存在しないからです。 

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