2007-11-26

269 右手各指の独立性は歌心のスタッカ-ト 27 -11-2007(火)

 結局スケ-ルをアポヤンドでスタッカ-ト気味に弾く目的はスタッカ-ト気味に弾いて肉体的な右手各指の独立性を養うことではなく、そのスケ-ルの箇所を歌わせて音楽として表現するための手段です(先週のコルムナ)。この基本を忘れると本末転倒でコケます。手段を目的と取り違えると目的がない訳ですから結局どこの目的地にも行けません。スタッカ-ト自体ではなく、あくまで歌心です。
 以前も書いたと思いますが、高校野球の時期にあるピッチャ-が監督さんから『フォ-ムが良くなったからいい球が行くんじゃなくて、いい球が行く時にはフォ-ムも良くなっている』と言われ、最初は余り意味が分からなかったが段々分かって来た、と言った意味の記事がありました。確かにスポ-ツや楽器ではフォ-ムや姿勢が悪いと上達しないと言うことはあるでしょう。しかし、誰が見てもセゴビアとイエペスの右手のフォ-ムは明らかに違います。最後は各自に一番合ったフォームでいいはずです。先生も生徒を型にハメない様に、生徒も総てを鵜呑みにしない心がけが大切です。
 そして、必ずしも肉体的にスタッカ-ト気味に弾けば右手各指の独立性が養われるのではなく、歌心で弾けば結果として無意識の内にスタッカ-ト気味のタッチになっている。従って、そう言う歌心優先の奏者は無意識の内にスケ-ルに限らず右手各指の独立性が養われている。この監督さんの言った如く、これが正しい順序です。
 ですから、肉体的にimを意識してスタッカ-トではなく、歌わせるために心の中でスタッカ-トしてみましょう。imのタッチもその通りになってきます。人の肉体はその心の赴くままに行動するとすれば、この方が理に適っています。
 歌心度外視で長短24の音階をスタッカ-トするより、実曲の中からスケ-ルを抜き出して、或いは、機械的ではなく歌心を要求される様な音階練習曲を選んで歌わせてみましょう。いつの間にかimはスタッカ-ト気味のタッチになり、独立性も養われているはずでず。

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