2008-09-29

312 良いタッチと良い音は右手各指の独立性から:歌心で総括(2) 30-09-2008(火)

 今まで各指の独立性という観点から左手右手をコルムナして来ました(コルムナ244~)。今思い返せば、この各指の独立性と言うことば自体いかにも教則本的でお堅い響きです。
 実際日本に居た頃手に入れたホセ・ルイス・ゴンザレスのテクニックノ-トなるガチガチのギタ-教則本に載っていたことばです(同246)。ホセ・ルイス・ゴンザレスと同じ位音楽的才能豊かな人なら真似しても血となり肉となるでしょうが、我々その他大勢にとってあの様な基礎練習の連続波状攻撃は却ってギタ-を早々と投げ出す絶好のきっかけにすらなり得ますので、頭から辞めた方が身のためです。
 昔からの読者はご存知ですが、スペインギタ-週間コルムナの基本精神の一つは基礎練習ゼロで上手くなろうなのです。こちらの方が楽しいじゃあ~りませんか。
 しかし、筆者はそれでもこの教則本に出会って心から良かったと思っています。それはこの左右各指の独立性と言うギタ-演奏における基礎概念に遭遇したからです。人生は出会いで決まるとすれば、ギタ-人生もそうでしょう。筆者にとってはそうでしたので、今まで長々とコルムナして来た訳なのです。
 そして、左右各指の独立性は指の筋トレではなく、結局は歌心に比例して自然に養われるもの。それがコルムナの結論です。指が思う様に動かないと指で悩んでいる読者の皆さん。歌心で悩んで下さい。決してしっかり基礎練習して指を動かそうなどとバカな発想は辞めましょう。そうアドバイスする悪魔のささやきにも耳を貸してはいけません。左右各指の独立性なることばを教えてくれたホセ・ルイス・ゴンザレスには感謝しますが、その著書に書いてある詳細な基礎練習をすれば独立性は養われるかの如く読者に錯覚を与えるなら、これはまた別問題です。あれは天下の大ギタリスト、ホセ・ルイス・ゴンザレスだからこそ役に立った練習方法で、我々一般庶民がやっても時間の無駄です。ただ、天下の大ギタリスト、ホセ・ルイス・ゴンザレス故に左右各指の独立性と言う発想は大いに追及して価値あることです(同247)。指をいじくってではなく、歌心で追求すればの話です。
 歌心に乗って弾けば指は左右両手共に歌心程に勝手に動き、勝手に良いタッチになってくれ、勝手に良い音を探してくれます。これが各指の独立性です。

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