2008-11-10

318 弦に触れれば音が出るマヌエル・ラミレス(3) 11-11-2008(火)

 この交換したマヌエル・ラミレスの白(糸杉:シプレス)は(先週の続き)、白なのにフラメンコギタ-用にゴルペ板が貼られておらず、しかも100年経った割りに保存状態も良く、割れもありません。フラメンコの国スペインの当時のギタ-業界に現代の様なクラシックギタ-&フラメンコギタ-と言う明確な線引きの概念があったかどうかはともかく、仲介してくれたギタリストの言うには、持ち主はフラメンコを弾く人間ではなかったことは明らかで、また、長年弾かれていなかった可能性もある、それほど保存状態は良好です。
 とにかく小振りだと言うのが見た目の第一印象でした。正面から見るとそうでもないのですが、側面板が何と75~83mm。ところが、この超薄型ボディ-だからこそ、予想に反するそのバカでかい音量に一瞬たじろぎました。以前ベルンド・マルティンに製作依頼した小振りなタレガモデル同様、ギタ-が鳴るのに、必ずしも大きな箱は必要ないことを今回もまた教えられました。
 しかも、その音の出方が傑作です。弦に指先が当たるだけで音が勝手にスキっと出てくれます。これは実際体験しなければ分かりませんが、奏者の仕事は指先を弦に軽く当てるだけ。奏者がギタ-を爪弾いて音を出すのではなく、良いギタ-とは音が勝手に出てくれるものだと言うことを実感させられます。
 こうなると相乗効果で弾く方も指に力を込める必要が無く、コルムナ315まで散々述べて来た両手各指の独立性まで勝手に養われそうです。
 指が勝手に動く、音が勝手に出る・・・。この“勝手に”と言うのが意外とギタ-上達のキ-ワ-ドなのです(コルムナ6)。
 それを助長してくれる良いギタ-・・・。良い楽器を持てば上達も早いとは楽器商の宣伝文句の定番かも知れませんが、確かにこれは一理あります。

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